2011年9月2日金曜日

戦争と平和の表と裏

2011/09/02, 01:26, 日経速報ニュース,

新興国で戦闘機の大量導入相次ぐ 軍事バランス変化の懸念も
 経済成長が続く新興国で新型戦闘機を100機以上と大量に導入する計画が相次ぎ、財政難から自国向け販売が伸びない米欧メーカーが契約獲得へしのぎを削っている。開発・製造を継続しないと戦闘機に関わる技術力を維持できないため、先進国は自国の防衛産業の基盤を維持する目的で新興国向けの輸出を奨励。大型商談の成約が続けば、世界の軍事バランスにも変化を及ぼしそうだ。
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今朝はこんなニュースを目にした。
歴史の授業で、20世紀初頭の大恐慌をアメリカはニューディール政策で乗り切ったと教わった。
公共事業で需要を喚起し、経済を盛り上げたのだ。
しかし、アメリカの景気を回復させた真の公共事業は、実は「第2次世界大戦」だ。
ドイツもヒトラーが台頭し、軍備増強に走って一気に景気を回復させて国民の人気を得た。
軍事産業も立派な一大産業なのだ。

ニュースでは、今年のパリ航空ショーで、防衛産業大手が最新鋭機を対リビア軍事作戦での「コンバット・プルーブン(実戦で使えた)」を謳い文句に売り込んでいるらしい。
かつてはいいお客さまだった先進諸国が財政難で購入を控える一方で、新興国が100機単位で発注しているらしく、「実践使用済み」で箔がつくのだろう。

対リビア軍事作戦では、フランスが主導的な立場を取っていたが、フランスもダッソー社のミラージュという戦闘機を作っているし、今回の作戦では多国籍軍に空軍を派遣した事のないスウェーデンも突如として作戦に参加したが、自国のサーブ社の戦闘機を売り込むハラもあったようである。

そう考えると、独裁制に反対して立ち上がった反カダフィ派を、「民主化を後押しする先進国側が支援のための空爆を行った」という表面的な事実だけで考えるわけにはいきそうもない。
その裏で、「大チャンス」とばかりにそろばん片手に、政治家に戦闘機を送るように働きかけるメーカーの姿があったのかもしれない。

本来、兵器というものは自国を守るもので、当然相手よりも優れていればそれを維持して渡さないようにすべきもの。それが「商売道具」となっているのは、何より「売れる」からだし、友達に売れば大丈夫という安心感からなのだろう。

それでもアメリカが技術供与には慎重な一方で、欧州のユーロファイターという戦闘機は、『ブラックボックス・フリー(非開示の武器技術一切なし)』を売り物にしているという。
敵も多いアメリカは自国製兵器が敵に渡るのを恐れている。
しかしながら、ヨーロッパは割と敵も少ないという背景からなのかもしれない。

いまや軍事産業は一大産業であり、産業である以上は収益を追求する。
セールスには「実戦での効能」が一番の宣伝なわけで、そのための機会を関係者は虎視眈々と狙っている。かつて武器の闇商人を描いた「ロード・オブ・ウォー」という映画を観た。
今朝のニュースは闇商人の話ではないが、正規の商人だからいいというものでもない。
武器輸出国のトップは国連常任理事国5大国だと言うし、これが世の中の裏側というやつなのだろうと思うのである・・・


【本日の読書】


ユダヤ人大富豪の教え ―ふたたびアメリカへ篇
卒業 (講談社文庫)
    
     

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