2010年7月1日木曜日

長嶋と落合と野茂2


落合と野茂は長嶋とはちょっと違うパターンだ。
昔は「人気のセ、実力のパ」と言われ、パ・リーグには意外な実力者が多くいたものだ。
そんなパ・リーグで2年連続で三冠王に輝いたのが落合だった。
どんなバッターなのかと興味を持った。
そして見たのが独特の神主打法。
当時はダウンスイング(上から叩きつけるバッティング)全盛の時代。それをあえて下からすくいあげるアッパースイングを実践。

少年野球では振り遅れない為にバットを寝かせるように構える事を教わっていた。
それをあれだけ高く掲げる。
それで自在に振り切るのだから、プロの凄さを感じたものだ。
それに有名な「オレ流」。
天の邪鬼な私の心を捉えるのは十分だったのだ。

私は野球でもラグビーでも、教わった事を忠実に実行する「教科書通り」のプレーしかできなかった。大学に入って少しずつ工夫して自分流を研究していったが、やっぱり独自の道を歩む人には惹かれるものがあった。ちなみに初めて手にした野球選手の本が、落合の「勝負の方程式」だった。その本の中では、「4割も狙おうと思えば狙える。ヒットを打ちにいけばいいのだから。ただ僕はホームランバッターだから」と語っていたが、もし安打製造機に徹していたら、張本の3,000本安打の記録を抜くのはイチローよりも先だっただろう。当時は本まで買うほどまで入れ込んでいたのだ。
    
野茂を好きになったのもその流れからだ。
あのトルネード投法。
普通にやったらコーチが目をむくようなセオリーに反した投球フォームだ。
8球団からドラフト指名され、なんと近鉄に入団する。
テレビでトルネードを観たかったが、近鉄だとそれもなかなか叶わない。
随分とストレスを感じたものだ。

新聞ではバッタバッタと三振の山を築き、ミスターKと報じられ、デビューの年から数々の記録を作った。
そんな野茂が一躍日本中で話題となったのは、メジャー挑戦を表明してからだ。私自身は野茂が見られなくなるのかと(それまでも見る機会は少なかったくせに)残念に思ったものだ。ところがその後の活躍は周知の通り。皮肉にもかえって野茂を見る機会が増えてしまったからわからないものだ。

たぶん、あのフォームの事だ。
いろいろと批判はされたのだと思う。
「出る杭は打たれる」のが我が国の社会。
ところが「出過ぎると打たれない」のも我が国の社会。
落合も野茂も出過ぎたために打たれなくなった。
みんなと同じ、言われた通りにする、そうした事が特にスポーツの世界では重視されがち。
子供の頃は外人選手というとみんな個性的なフォームばかりだった記憶がある。
それだけ日本人選手が型にはまっていたとも言える。

基礎はどうしたって大事だから、それはきちんとやらなければならない。
だが、ある程度いけば自分流に創意工夫というものが必要になってくる。
「誰がなんと言おうと自分はこのスタイルでいく」というものがあれば、やっていて自信にもなり、また面白くもある。ラグビーで、高校時代の(コーチの教えの)呪縛から逃れられた時、それが私がタックルに開眼した時だった。教えられた通りではなく、自分で一番効果的なタックル方法を身につけたのだ。

落合と野茂の二人からは、「我が道を行く」という強い姿勢を感じる。
そんな強烈なオーラが私には眩しく感じる。
こういう選手がこれからもたくさん出てきて、たくさんの子供たちが影響を受けたら、野球もサッカーもラグビーも、ひょっとしたらもっと面白くなるのかもしれないと思うのである・・・



【本日の読書】
「史上最強の人生戦略マニュアル」フィリップ・マグロー
「ぼんくら(上)」宮部みゆき
     

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