2022年6月1日水曜日

誕生日に思う(2022)

 58回目の誕生日を迎えた。今さらであるが、早いものである。数えで言えば59歳。ラグビーの世界では、数えで60歳になると赤パンツになる。つまりあと1年で赤パンツとなるのである。なぜ「数え」なのかはよくわからない。一刻も早くと考えた先人たちの思いなのかもしれない。それになぜ「数え」というものがあるのだろうと思う。数えとは、生まれた時を1歳とする考え方。昔は数えで考えるのが当たり前だったそうだが、いつから今の数え方になったのか、考えてみると興味深い。

 

 しかし、よくよく考えると、「数え」の方が多かったりする。学校は入った年が1年生。「入学して3ヶ月です」とは言わない。会社も然り。「新入社員です」とは言うが、「3ヶ月です」とは言わない。新人あるいは1年目、1年生と言ったところが一般的である。「いくつですか」と聞かれて「3ヶ月です」と答えるのは、人間(あるいは動物も)の年齢ぐらいかもしれない。一説によると、胎内にいる時から数え始めるので、生まれた時が1歳だとするのである。「人間1年生」と考えれば、それもスッキリくる。

 

 そうしていつの間にか58回目、生まれた時を入れると59回目の誕生日を迎えたが、例によって特別の感情はない。いつもの時間に起き、いつものように髭を剃り、朝食はいつもの通りヨーグルトのみ。いつもの時間に家を出て仕事に向かう。そういう「いつもの」ルーティンを心地よく思う。違うのは仕事の中身。これは日々異なり、だからこそ面白かったりする。仕事では問題山積。問題があるからこそ仕事なのかもしれないし、それをこなすからこそ自分の存在意義を示せるのかもしれない。そう考えると、問題も歓迎すべきものである。

 

 先日、高校時代の同級生が亡くなった。それなりに親しい仲だっただけに少なからずショックを受けた。同じ年に生まれ、縁あって同じ高校に通い、同窓会ではともに幹事を務めた。互いにブログにリンクを張り合っており、自然と更新するたびにチェックしていた。ある時、ずいぶん長く更新されないので、メールを出したところ、病気で入院したり大変だとの返事が返ってきた。今は医療も進んでおり、大して心配していなかったが、突然の訃報で驚いた。死ぬということが実感としてはわからないが、友人が生きられなかった今日を生きているということは、やっぱり11日をしっかり生きようという気にさせられる。

 

 幸い、両親はまだ健在。母親はそろそろ認知症が危なくなってきている。すでに料理はおぼつかなくなり、それなのに冷蔵庫には食材が溢れ、次々と賞味期限を迎えている。最近は、毎週末に実家を訪ね、スマホアプリ片手に料理しているが、冷蔵庫の中の食材の賞味期限を見ながらレシピを探し、これならできそうというものを作っている。なかなか大変であるが、「孝行したいときに親はなし」とならないように、今は苦痛に思わずやっている。今日はその母親からメールをもらった。息子の歳を忘れたと嘆くが、誕生日を覚えているだけいいと思う。

 

 前勤務先の元社長とは現在法廷闘争中である。その強欲さにはほとほと呆れるが、裁判はなかなか面白い。先方は金に困らぬ身ゆえ弁護士を立てて契約書の穴をついて訴えてきている。資金力に劣るこちらは後輩の弁護士に割引価格でアドバイスを受けつつ、独力で対抗している。あれこれ悩みながら答弁書を書き、自ら裁判所に赴き、裁判官の前で自らの考えを主張し、先日はまず1勝を挙げた。一時期ハラハラしたが、これもなかなかいい経験である。形勢は有利。「実質的」には勝てる見込みであり、のちの武勇伝の一つにしようと考えている。

 

 人と争うというのもあまり気分の良いものではない。できれば穏やかに、みんなと良好な関係を築いて過ごしていきたい。しかし、「降りかかる火の粉は払え火事の空」とも言う。基本的に「目には目を」が信条であり、売られた喧嘩は正面から買うしかない。人間的に元社長は軽蔑すべきところであるが、よくよく考えてみれば狭い範囲内でしか物事を考えられないという哀れな部分もある。我が身を守るのは当然であるが、終わればスッキリ忘れてしまおうと考えている。「水に流す」のが日本人であり、ラグビーの「ノーサイド」の精神である。

 これからまた1年。今までは当たり前のように59回目(生まれた時を入れれば60回目)の誕生日を迎えられるものと信じていたが、友人の例はそれが定かではないことを教えてくれる。友人が迎えられなかった58回目の誕生日を迎えられた幸せを噛み締めたい。そして身の回りの人に少しでも「いて良かった」と思われるように振る舞いたい。良き息子、良き父親、良き友人、良き夫、良き同僚であり続けられるようにしたいと改めて思うのである・・・


Jan SteinerによるPixabayからの画像

【本日の読書】

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