2022年6月19日日曜日

面談

 会社で現在、人事面談を進めている。私は総務部所属であるが、小さな会社の総務部は経理部兼人事部兼用である。人数も少ないため、主な仕事は「経理部」としての機能。人事部的な機能は給与計算だったり、雇用関係の事務的なものが中心。それで問題なく回っているのであるが、せっかく私も入社したので、これまで手薄だった人事部の機能を拡充することにしたという次第である。

 

 始めてみればいろいろな社員がいる。若手には、今どんな仕事をしているのか、困っていることはないか、いい会社であるためにはどんな事が必要か、などと聞いている。最初の質問の答えで、だいたいその社員の能力がうっすらと見える。レンガ積みの職人の話ではないが、自分のやっている仕事の説明で、まさに「レンガを積んでいる」のか「大聖堂を建設している」のかが見事にわかってしまう。もちろん、「大聖堂を建設している」人は優秀であるなと感じさせられる。

 

 優秀だなと思える社員とは会話も弾む。笑顔で答えてくれるし、話していても楽しくなる。将来会社の中心で活躍してくれるのだろうと思える。それに対し、質問にたいする答えは最小限で、表情が固く、「壁」を感じさせる社員はどうも会話が弾まない。返ってくる答えも明らかに毎日「レンガを積んでいる」と感じさせられるもの。在宅勤務の社員だと、会社への帰属意識が薄れるという問題がある。簡単に転職できる世の中だし、離職防止も意識しないといけない。「レンガを積んでいる」社員だからいらないというわけにもいかない。そこは意識を高めていく必要性を感じている。

 

 一方、中堅クラスになると、さすがに説明もきちんとしてくる。話す内容も自分のことだけに留まらず、会社に対する問題意識なんかも伝えてくるようになる。それなりに会社に対する提案も出てくる。「将来どんな仕事をしたいか」という質問にもそれなりの答えをしてくる。こちらも大いに参考にさせてもらうことになる。役職者にはこちらも質問を変えていく。そういう人たちには、主として「提案」を求めていく。会社に対する要望、改善点等を含めたものである。

 

 意識しているのは、要望や提案などがあった場合、必ずすぐ検討して現時点での答えを返すこと。いいなと思った提案はいくつか実施している。そうすることで、「言っても無駄」という意識をなくす事が狙いである。「困っている」と聞いたこともすぐ検討して対応する。中にはどうすることもできないものもあるが、それについては理由とともに今後のフォローを約束する。自分の意見を聞いてもらえたという感触は、誰でも心地よいものだと思う。それは自分自身の体験談でもある。

 

 若手は仕事よりも私生活に関心が高いようである。我が身を振り返ってみてもそれはそうかもしれないと思う。仕事に関する関心と言うなら、残業が少なかったり給料がもっと多かったりという関心が主で、将来どんな風になっていたいとか、今後こうしていきたいとかはあまり考えていない。自分もそうだったから人のことは言えない。身の回りの人を見て、自分もそんな風になるのかなと思う程度のものだろう。自分だったら、もう少し自分の技術を高めることに関心を持つとか、本を読んだりするだろうとか思うも、それは「今の自分」だからだろう。

 

 管理職の中には、早くも自分はしよう来役員になると公言する者もいる。我が社は同族企業ではないのでそれは可能である。現に今の社長も創業家の出身ではない。そういう管理職がいるのは企業としては大事なことだと思う。実に頼もしいし、たぶん「次の次」の社長候補の筆頭だろう。私の場合は、大きな銀行組織の中だったから、ここまで大きな野望は持っていなかったし、あまり評価してもらえなかったのは、若い頃の躓きが原因だったのだろうと思う。もう少し、将来を視野に入れた上で仕事をしていたら良かったと思う。

 

 そう思うのも、自分がさまざまな経験を経てきたからだと言える。今の自分もいきなり今の自分になったわけではなく、理不尽な思いをしながら、人とぶつかりながら、今の自分に辿り着いている。若手の人を見て「物足りない」と感じたとしてもそれは仕方がない。逆にそうした価値観から若手に対して「もっとしっかりしろ!」などと言っても通じないだろうと思う。そこはどうしたらきちんと伝わるのか。まだ若い価値観にどうしたら響くのか。それは自分で考えないといけないだろうと思う。


 なかなか大変だけれど得るものは大きい。自ら創り出した仕事であり、余計なことなどしなければその分楽ができると思うが、そんな事をしているから、今度役員にしてもらえることになったとも言える。そう言えば、銀行員時代、人事部の面談を受けながら自分も面談する方をいつかやってみたいと思ったものである。夢が叶ったと言うと大袈裟であるが、自らの力で実現させたという思いはある。まだまだ全社員の半分しか終わっていない。残り半分、自ら始めたことであるし今後も継続的に続けていくようにしたいと思うのである・・・

Robert HundleyによるPixabayからの画像 

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