2022年6月27日月曜日

質疑応答が自問自答に変わる

 いつもお世話になっている母校の社会人向け勉強会で、某著名人の方の講演会に参加してきた。上場企業の創業他とても真似できないような実績を残していらっしゃる方で、この機会に質問しようとしていたことがあった。しかし、他の人が以外にも質問の手を挙げていて、なんとなく機会を伺いながら自分なりに考えていたら、いつの間にか答えに達してしまっていた。それでも自分の答えと比較するためにも質問すればよかったのだが、控えめな性格が災いしてとうとう聞かずじまいだった。そんな自分に呆れながら、せっかくなのでその考えをあらためてまとめてみることにした。

 質問したかったのは、新しいことをやろうといろいろと会社で提案するのだが、必ずといって良いくらい抵抗に遭う。抵抗は良いと思う。それもその人の意見であり、自分と違うからといって否定的に考えるべきものでもない。真摯に受け止め、それをどうクリアするか考えれば良いだけである。そういう抵抗をどう考えるかを聞いてみたいと思ったのである。

最近、抵抗を受けたのは以下の二つ。
1. 業績連動性の福利厚生の導入
2. 技術を評価する新たな制度(公的資格、社内資格の創設)の導入

  いずれも若手を中心に人事面談を実施し、会社への帰属意識が希薄下する懸念、業績への無関心、給与への不満等を解消するため、そして会社の生命線である技術力の向上を図る必要性を感じてのものである。なんの問題もないように思うが、それでも反対論は出る。いわく、「利用できない者がいる」「仕事そっちのけで資格取得を目指す者がいる(いた)」。いずれもごく少数の例であり、個人的には反対意見として不十分だとは思うが、ご本人は大真面目であるから無視するわけにもいかない。

 そもそもであるが、反対される所以は一つには個人の価値観の違いがあると思う。考え方の問題もあるし、立ち位置の問題もある。まずはなぜ反対するのかを考える必要がある。1の場合は、人事面談を実施する中で、私が抱いた危機感を共有できていないということがある。それに一社員が業績に関心がなかったとしても仕方がない(会社の業績なんか知る必要もない)と考えているのかもしれない。福利厚生費としての支出に対する懸念かもしれない。一つの解決策としてまずそこの意識合わせが必要だということは言えるだろう。

 2の場合、そもそも仕事に資格はあまり役に立たないという意識はある。それは私も思い至るものがある。私の持っている「宅建」も「マンション管理士」も実務上の役に立つものだとは言い難いものがある。しかし、実際に経歴書には各人のスキルが掲載されるわけで、それが受注に至ることは現実である。ならば国家資格などではなく、そういう実際のスキルを評価する仕組みに変えるのも良いかもしれない。仕事そっちのけという問題については、資格は評価し、仕事は評価減とすればいいだけだろう。

 これ以外にも、船に喩えるなら社長は船長であり、操舵室にいるものである。取締役ももちろん操舵室にいて、船が進むべき進路を決める役割がある。しかし、事業部長を兼務していたりすると、しばし取締役としてよりも事業部長として発言したりすることがある。操舵室ではなく機関室で意見を言うのと同じで、「見ている景色」が違うから意見が合わないのも当然である。船が進むべき進路とスピードを指示する船長に対し、機関室の負担が大変だと返答するようなものである。もちろん船長はそれも考慮するべきであるが、同じ景色を見ていたら、それでも機関室の問題はなんとかしようと考える方向に行くかもしれない。

 議論は一度で結論に至る必要は必ずしもない。まずはお互いの考え方のすり合わせから始めるのも良いかもしれない。反対意見は飛行機の向かい風にしばしたとえられる。向かい風がなければ飛行機は飛び立てない。そう考えて反対論にいちいちストレスを感じていても仕方がない。冷静に反対論の内容を分析して対応策を考えていくしかないだろう。新入社員からスタートして、取締役になったのはサラリーマンとしては成功だが、事業部長の延長の意識しかないところはある。「取締役とは」という教育訓練を受けていないという原因もあるかもしれないし、それであればまずそこから始めるべきだと思う。

 かくしてみんなの質疑応答を聞いているうちに、自分自身も結論に達してしまった。こういう思考訓練も良いかもしれない。こういう事は、実はよくある。講演会などで最後に質疑応答コーナーがよくあるが、質問を考えているうちに自分自身でそれに対する解答も考えてしまい、いざ質問しようとするとわざわざ人に聞きたいとは思わなくなってしまうのである。それでも質問すれば自分とは違う回答が得られて、そこからまた新たな気づきを得られるかもしれないので、聞くのは悪くないと思う。引っ込み思案な性格も時にはなんとかしないといけないかもしれない。

 いずれにしても、一度くらいで諦める気は毛頭ない。次の機会にまた対案を練って再提案をしようと思う。見事通れば拍手喝采。そんなことを考えると、会社に行くのがまた楽しくなるなと思うのである・・・



【本日の読書】

 



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