2022年5月1日日曜日

部下が働いてくれれば

 我が社は従業員100名未満の中小企業である。いろいろと課題が多いが、人材育成もその一つ。中小企業ゆえに都内の大学からの人材を獲得できるということはなく、地方の大学併卒を含む専門学校卒業生を中心に採用している。中途も難しい。そういう人材を育てる方法は、もっぱらOJTと言えば聞こえは良いが、「とりあえず仕事をさせて覚えさせる」という方法。それでも悪くないが、もう少し専門的なことをやろうと思えば研修だろうと思い、今あれこれと探している。

 人材育成となると、下からというよりも上からの方が大事かと考えている。つまり、「部下をどう育てるか」である。それを考えていると、「自分はどうだろうか」という考えにたどり着く。人のことより自分はできているのか、と。自分は今総務部の部長職にある。総務部と言っても、小さな会社ゆえ、「経理」「人事」「総務」が複合された「総務部」である。下には課長がいて、パートと派遣と若手社員と実にバラエティに富んでいる。そんな中で、部長として心掛けているのは、「いかにスムーズに気持ち良く部下に働いてもらうか」である。結局、仕事をしてくれるのは部下であり、きちんと仕事をしてもらうことが自分の仕事につながるからである。

 意識しているのは、「情報公開」である。自分のところには社長や他の部の部長からいろいろな情報が入ってくる。また、自分なりの方針や考え方もある。それをなるべく部下には伝えるようにしている。中には経営の根幹に関わることもあり、伝えても直接に部下の仕事に関わるものではないものもある。それらはともかく、それ以外はほとんどすべて伝えているし、課長には経営の根幹に関わるものもなるべく伝えている。特に課長に伝えるのは重要だと考えている。なぜなら、部内の仕事はほとんどが課長がいれば回るからである。部長である私は、最終的な確認をしているに過ぎない。

 実際、経理においては、日々の入出金の伝票を記帳しているのは部下である。私は最終的に内容を確認しているだけである。それも課長がチェックしているので事務的な間違いはない。内容的に無駄な支出がないか、金額的におかしなものはないかという確認だけであり、私がいなくても仕事は回る。ただ、部としての考え方を統一しなければならない時に、それを示す役割は重要だと考えている。なぜなら、そういう方針を私が決めることによって、その部分の責任は私にくる。すると、課長はその負担がなくなり、その方針に従って仕事を指示できるようになる。

 会社では、「報連相」ということがよく言われる。そして「部下にこそ報告せよ」ということも。それは真実だと考えている。報連相は部下が上司に行うだけでなく、上司が部下に対しても行うべきだと思う。それは自分の考えを知っておいてもらうと、部下にスムーズに仕事をしてもらえると思うからである。それに不満の回避にもつながることも多いと思う。例えば、部内では一番良い方法であったとしても、会社内の他の部との関係で二番目に良い方法を採択するケースがある。「全体最適」という考え方である。しかし、それを知らなければ、「なぜ一番良い方法を取らないのか」と部下の間に疑問と不審を招いてしまうだろう。自分も経験したことがある。

 先日も部長判断で、ある費用を経費で処理することにしたが、課長にも相談した。課長は「それならこういうようにしたら」とアドバイスをしてくれたが、黙ってやらせれば変な疑いを招いたかもしれない。基本的に部内の仕事はすべて共有しておこうと考えている。そうすることで、自分自身にも緊張感が保てるし、あらかじめ考え方を示しておけばそれに沿って仕事をしてくれる。なるべく自分がいなくても仕事が回るようにしておくと、自分自身も楽である。それが部下の成長にもつながると思う。

 人は誰でも「言われたことをこなすだけ」だと仕事に面白みを感じないだろうと思う。何より自分自身そうである。であれば、あらかじめ大枠の考え方だけ示しておいて、あとは自由にやってもらう方がいい。自分なりの仕事の工夫も提案されれば認めているし、むしろ推奨している。自分で提案した仕事であれば積極的にやってくれるし、何よりこちらは細かい仕事のやり方まで一々考えるのは大変だし不可能である。部下が自立して仕事をしてくれれば、何より私自身が楽である。

 そうしたことが、結局部下の成長につながるのではないかと思う。「自分で考えて仕事をしてもらう」ことを意識するのであれば、「オープンにして任せる」のが一番だと思う。あとは山本五十六の言葉のようにすることだろうか。
 やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ 
 話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず
 やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず

 自分も意識してやっていきたいと思うのである・・・

mohamed HassanによるPixabayからの画像

【今週の読書】



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