2020年11月26日木曜日

プラチナチケットをもらったら

 先日読んだ本(『キラッキラの君になるために ビリギャル真実の物語』)の中で、恩師である塾の先生が著者の弟にしてくれた質問として次のものが紹介されていた。

「あなたの前に、今、神様が現れたとします。そして、光る銀色のプラチナチケットをくれました。そこにあなたがしたいことを書けば、実力や環境、そして希望の結果をもたらしてくれる。そんなすごいチケットをもらったあなたは、そこに何と書きますか?」

 前後の文脈とは別にして、ふと、自分だったら何と書くだろうかと考えた。先っぽが三角の尻尾をはやした悪魔が突然現れて3つ願い事をかなえてやると言ったり、いろいろなことを妄想するのが好きなタチなのである。これはドラえもんのポケットに頼る系ではないので、現実的にできることが前提になっていると思う。ちなみに出題された弟は「何もない」と言って泣いてしまったそうである。

 それはそれとして、自分だったら何を書くだろうか。考え始めてしばしフリーズしてしまった。仕事は6年前に銀行を辞めて今の中小企業に転職してきた。それ以降は、会社を動かす仕事を任せてもらえているので、やり甲斐も感じているし、満足している。ただ、いかんせん中小企業であり、しかも厳しい状況にあり、1年は何とかなるがその先となると心許ない。この先、本当に大丈夫だろうかと不安に襲われることしばしばである。

 不安に襲われる最大の理由は、まだ下の子供が中学3年ということだ。高校・大学と普通のルートを辿るとしたらあと7年は収入を維持しなければならない。住宅ローンも半分以上返済したとは言え、まだあと14年残っている。自分一人ならカップラーメン啜ってもやっていけるが、家族を養うということを考えるとそこそこの収入は維持し続けたい。そんなことを考えると、逃げ出したくなるような不安に襲われるのである。

 しかし、だからと言ってもっと安定した大手企業に転職したいとは思わない。それは今の会社のメンバーと悪戦苦闘したいと思うからである。仮に最終的にダメになったとしても、最後までやり尽くしたというレベルには達したいと思う。左団扇の安定した会社だったらどんなに良かっただろうと思うが、自分の巡り会わせとして今の会社に辿り着いたし、自分の選択なのであるから、そこはプラチナチケットに頼らず最後まで背筋を伸ばしていたいと思う。

 週末にはシニアラグビーに参加し、楽しく練習している。ずっと慣れ親しんだフォワードから、いつかはやってみたかったバックスにポジションチェンジし、試行錯誤を重ねながら練習している。思うように動けなかったりダメだしされると凹むし、うまい選手と比較すると気後れするが、だからと言ってプラチナチケットに頼って上手くなりたいとは思わない。楽して上手くなるより、自分で創意工夫し努力してうまくなりたいと思う。その過程もまた楽しいと思うからである。

 資格はもう取ってしまったが、マンション管理士の資格は試験が無茶苦茶で、受かる気がしなかった。大して意味がある資格でもなく、名刺の肩書にしかならない(それでも名刺の肩書が欲しくて取ったのであるが・・・)のに、難しすぎるのである。根を上げたくなったが、それでも実力で取った方が気分がいいし、「意味がない資格」だと言い放てるのも実力で受かったからこそである(受かると逆に意味のない難しさも意味があるように思えてくるのであるが・・・)。

 そう考えると、チケットをもらっても何に使うとなってしまう。望む結果は手に入れたいが、それはプラチナチケットによって叶えてもらうのではなく、自分の力で叶えたいと思うからである。結果はほしいが、プロセスを踏んで手に入れたいというところだろうか。それでもそんな風に考えられるのは、まだ余裕があるからだろう。本当に会社が立ち行かなくなって収入を失ったら、そんなことは言っていられないだろうと思う。

 今の職を失ったら、果たして収入は確保できるだろうか。アルバイトぐらいは何とかなっても、掛け持ちしたところで家族を支えるのは無理だろう。そうなると、「神様、仏様」となるかもしれない。それは考えるだけでも恐ろしい未来である。その時そのタイミングでチケットが手に入ったら、また違う答えになると思う。結局、チケットの話は、今自分に何ができるか、自由にやるとしたら何をやるかという問い掛けに他ならない。そういう意味では、現状は「やれている」と言えるかもしれない。あとは結果がついてくるかどうかである。

 それでももしも本当にそんなプラチナチケットが手に入ったらどうするだろうか。その時はたぶん、それを欲する人に高く売って一儲けしたいと不純にも思うのである・・・


OpenClipart-VectorsによるPixabayからの画像 

【本日の読書】
 



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