2020年8月9日日曜日

論語雑感 公冶長第五(その1)

論語を読んで感じたこと。解釈ではなくあくまでも雑感。
〔 原文 〕
子謂公冶長。可妻也。雖在縲絏之中。非其罪也。以其子妻之。子謂南容。邦有道不廃。邦無道免於刑戮。以其兄之子妻之。
〔 読み下し 〕
こうちょうう、めあわすべきなり。縲絏るいせつうちりといえども、つみあらざるなりと。もっこれめあわす。南容なんようう、くにみちればはいせられず、くにみちきも、刑戮けいりくよりまぬかると。あにもっこれめあわす。
【訳】
先師が公冶長を評していわれた。――
「あの人物なら、娘を嫁にやってもよい。かつては縄目の恥をうけたこともあったが、無実の罪だったのだ」
そして彼を自分の婿にされた。
また先師は南容を評していわれた。――
「あの人物なら、国が治まっている時には必ず用いられるであろうし、国が乱れていても刑罰をうけるようなことは決してあるまい」
そして兄上の娘を彼の嫁にやられた
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 将来結婚したら、何となく子供は男の子と女の子それぞれ1人ずつがいいなと思っていた。「一姫二太郎」という言葉があるが、その通りに娘が生まれ、息子が生まれた。自分の人生は恵まれたものかどうかはわからないが、こういうところでは望み通りになっている。そしていざ娘が生まれてみると、可愛いのは当然であるが、世間で言われているような「娘に対する父親の感情」とはちょっと異なる感覚を持つようになっていた。

 「娘に対する父親の感情」は、とにかく娘可愛くて「悪い虫がつかないように」とピリピリし、結婚に際しては「とにかく反対!」というイメージである。実際、「娘は嫁にやらない」と公言するお父さんも身近で見てきたが、私は不思議とそんな感覚はない。まぁ、自分で選んだ相手ならいいんじゃないかという感じである。ボーイフレンドを連れてきても、相手に対する好奇心こそあれ、反感は持たないだろうと思う(たぶん・・・)。

 かと言って娘の幸せを願わないわけではなく、やはり幸せな人生を送って欲しいと思っている。それゆえに、もしも結婚するとなると、果たしてどんな相手がいいだろうかとはよく考える。イケメンで優しくて一流企業に勤務していたら文句はないだろうが、それよりも何よりも「生命力」のある男がいいなと父親としては思う。生命力とは、「危機にあってもなお逞しく生きていける精神力」である。

 一流企業に勤務しているからいいかというと、そんなことはない。今や上場企業でも倒産する時代であり、倒産しなくてもリストラはある。仕事のプレッシャーで鬱になるかもしれないし、良かれと思ってやったことが大失敗につながることもある。世の中のお母さん方が考えているように「いいところに勤めていれば安泰」というわけでは決してない。となれば、「安泰」の条件にとらわれるより、「何があってもへこたれない」精神的な強さこそが大事だろうと思う。

 いざとなれば、たとえアルバイトに身を落としたとしても、それを2つ3つ掛け持ちしてでも妻子を養うという気概のある男だったら、安心して娘でも何でも嫁に出すだろうと思う。娘にも「本当にいい男」とはそういう男のことだと教えたいと思うが、たぶんジャニーズ大好き娘には通じないだろうなと思う。そして考えてみれば、それはそのまま息子に望むことと同じであったりする。「こんな男になって欲しい」という願望である。

 妻は単純に、「いい高校に入ればいい大学に行ける、いい大学に行ければいい会社に入れて将来安泰」と考えている。おそらく日本中のお母さんはみんなそう考えているかもしれない。だから子供を一生懸命塾へ通わせるのだと思う。それはそれで否定するわけではないが、塾は本来「手段」であるはずのもの。「手段」とは、「目的」があってそれを達成するための方法であるはず。「目的」もないまま(いい会社に入るのもまた「手段」である)、一生懸命「手段」を目指しても何かは成せない。

 そしてそれは突き詰めると、「自分がかくありたい」という姿でもある。すでに「安泰」であった銀行を辞めてしまったので、世間の荒波の真っ只中。しかも乗っているのは心もとない小さな中小企業という船。大きな波が来れば一発で転覆するだろうし、そうしたら誰も助けてはくれないだろう。そして事実、大きな波が迫ってきている。メチャクチャ不安なところがあるが、転覆したとしてもなんとか泳ぐしかない。

 偉そうに言っていて、自分がそうなったら溺れて何もできないというのも恥ずかしい話。されば歯を食いしばってなんとかするしかない。娘に「こういう男と結婚したら」と言い、息子に「こういう男になれ」と言えるように。そして自分自身に対して、「自分はこういう男だ」と証明できるように。そんな風に考えて、自分を励ます日々をこのところ過ごしている。

 試練とも言える日々であるが、自分自身、娘を嫁にやっても良いと思えるような男でいられるように歯を食いしばって生きていきたいと思うのである・・・

Pham Trung KienによるPixabayからの画像 

【今週の読書】
  




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