2024年8月14日水曜日

娘に時計

 先週末の3連休、娘と買い物に行った。娘はこの春大学を卒業して就職。そのお祝いに何かプレゼントしようと希望を聞いたところ、「時計」という答えが返ってきたので、それを買いに行ったというわけである。就職したのは4月だからずいぶんのんびりした話なのだが、一度買いに行ったところ、娘もどれがいいか決めかね、少し時間が欲しいとなったのである。娘なりにあれこれと調べていた結果、ようやく欲しいものが決まったとなってこの時期となったというわけである。そういうわけで、娘と再度一緒に出掛けたのである。

 出かけて行った先は池袋のヤマダ電機。家電量販店で時計というのも異な気がするが、その品揃えは下手な専門店より充実している。前回は時計専門店を数店回って見たのだが、娘の気に入るものはなく、結局のところ家電量販店に落ち着いたという次第である。商品は各メーカーのものがいろいろとあって、価格帯もそれなりに幅広くある。就職祝いという事で、やはりそれなりのモノにしたいと思っていたが、結果的にはそれなりの価格で、本人の気に入ったものが買えたので良かったところである。予算的にも覚悟していたほどではなく、親子ともに満足であった。

 就職祝いをと思ったのも、これで「子育て」は終わりという自分自身への一つの大きな区切りであり、また社会人となる娘に対する激励の意味もある。資金は私のポケットマネーであるが、どこから出してきたのかと妻に問いただされないかヒヤヒヤしたが、杞憂に終わったのも良かったところである。やはりこういう時のために自由になるお金は手元に置いておきたい。そうした余裕を持てるようになったのも(秘密の収入を確保したからなのだが)、これまでいろいろと努力して身につけてきた仕事の能力の成果だと密かに自負している。

 思い起こせば、私も大学に合格した春に父親から腕時計を買ってもらった。それまで親にあまり何かを買ってもらう(ましてや父親から)という事がなかったから、突然言われて驚いたものである。そうして迷って今でも使っている腕時計を買ってもらったのである。時計を買ってもらったという事以上に、何かその時の父親の思いのようなものを感じて嬉しかったのであるが、自分も父親となった現在、同じ事をしたかったという事もある。娘が今回の買い物についてどんな感想を持ったのかはわからないが、記憶に残ってくれれば嬉しいと思う。

 想定していた予算の半分で済んで良かったのは確かだが、もしかしたら娘も遠慮したのかもしれないという思いもある。実際はどうだろう。支払いを終えた時に娘から「ありがとう」と言われた。それは当然のようにも思うが、ふと思った。その感謝の気持ちはどちらからだろうかと。父に時計を買ってもらい、自分も娘に時計を買ってあげられた。無事に生まれ育って社会人となってくれた。お金は私が出したが、それで娘に時計を買ってあげられたという喜びが得られた。むしろ私の方が感謝したいという気持ちである。

 普段、娘とはあまり話をしない。何を話していいかわからないという戸惑いもあるが、娘の好みなんかもほとんどわからない(好きなアイドルくらいはわかるが・・・)。今回は2人だけで買い物に行き、帰りに2人でフラペチーノを飲み、いつになく充実した時間を過ごせたのも良かった。まだ仕事の愚痴は聞かないが、これからいろいろと大変な事も出てくるだろう。親に何ができるという事もないだろうが、相談くらいには乗れるかもしれない。頑張って人生の試練を乗り越えていってほしいなと思う。

 親父に買ってもらった時計は41年経ってもまだ普通に動いている。私もそれを週に1回はつけて出勤している。娘がその時計をどれくらい使うかはわからいが、同じSEIKOだし、長持ちしていつまでも「父親に買ってもらった」事を覚えていてくれたらいいなと思う。次は4年後に息子が社会人になる(きちんと大学を卒業して就職してほしい)。息子にもやっぱり何かお祝いに買ってあげたいと思う。そしたらもう一度感謝の気持ちを持てるだろう。その時までにまた秘密の資金をしっかり貯めようと思うのである・・・

【本日の読書】
「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか? 認知科学が教えるコミュニケーションの本質と解決策 - 今井 むつみ



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