2024年4月21日日曜日

中東紛争

 昔から中東情勢には興味を持っていたが、昨年10月にハマスがイスラエルを攻撃し、民間人を虐殺して人質を取るという大胆な作戦を実施。それに対してイスラエルがガザ地区へ侵攻して反撃と人質奪還を目指している事態には面が離せない。ウクライナ・ロシア戦争と加え、このイスラエルのガザ侵攻も私の興味を引っ張られる出来事である。いつになったら平和が訪れるのだろうと思わずにはいられない。今回の出来事は、平和的解決がまた遠のいたように思えるが、もしかしたら逆に近づくのかもしれないと思ってみたりする。

 国際世論は、犠牲者が増加の一方であることをもってイスラエルに厳しい。しかし、イスラエルからすれば、自国の民間人を虐殺され、人質まで取られたら強硬策に出るしかない。例えパレスチナの民間人に犠牲者がでようとも、であろう。そもそもであるが、以前からハマスは自国民を平気で盾に使っている節がある。病院からロケット弾を発射し、イスラエルが発射拠点としての病院を叩けば、「病院を攻撃した」と非難する。それで国際世論を味方につけようとしているのだろう。

 その国際世論を味方につけるという作戦は、今回は有効に機能している。イスラエルの絶対的な後ろ盾であったアメリカも、イスラエルに対して渋い顔をし始めている。これこそハマスが狙ったことであるのだろう。軍事力ではイスラエルに勝てない。ならば国際世論を味方につけるというのは、極めて合理的な作戦であると言える。今回、イスラエルは残るガザ南部地区に侵攻を図ろうとしている。それに対し、更なる犠牲者の増加を回避すべく、国際世論はイスラエルの攻撃に反対している。

 まさにハマスの狙い通りである。だが、味方の民間人を犠牲にするという戦術は、果たして当のパレスチナ人たちにどう思われているのだろうかと疑問に思えてならない。自分たちの選んだ代表だから仕方ないと思っているのか、それともハマスの戦術に気が付かずに利用されているだけなのだろうか。各国もイスラエルに対して自制を求めるだけで、ハマスに対して人質を解放しろと要求しているようなニュースは、国連事務総長とロシアくらいであまり目にしない。

 本来は、イスラエルを非難する前にハマス非難が先だと思うが、軍事力の大きさだけでイスラエル批判の声の方が大きく感じる。そしてここに来て、イスラエルがイラン大使館を爆撃し、新たな展開に発展する可能性が出てきた。イランも報復を宣言し、どうなるかと思われたが、事前予告付きのドローンや巡航ミサイルでの空襲で、しかもほとんど撃墜されたのにも関わらず、イランが報復終了と宣言した。これは「形ばかりの報復」のように思えて安堵していたが、イスラエルが更なる報復をした。これがどうなるのだろうか。

 双方とも、体面を維持するための「形ばかりの報復合戦」であればいいが、本格的な衝突となればどうなるかはわからない。かなり危険な傾向に思えるが、イスラエルもガザと北のヒズボラをも相手にしているだけに、イランにまで手を出すのは危険なように思う。あまりエスカレートしなければいいなと思わざるを得ない。長く続くパレスチナ問題であるが、そろそろ本格的に平和的解決を目指していけないのかと思う。

 ただ、それには「イスラエル殲滅」を掲げるハマスの方針変換が必要であり、それは内部的な動きを期待するのは難しく、やはり外圧によるしかないのかもしれないと思う。そしてその外圧とは、今回のイスラエルによる侵攻なのかもしれない。イスラエルの侵攻によってハマスが壊滅的な打撃を受け、これまでの路線変換となればそういう可能性もあるのかもしれない。そう考えれば、今回の紛争にも意義があると言える。

 どちらにせよ、平和的な解決が早く訪れことを願いたいと思うのである・・・

Eduardo CastroによるPixabayからの画像

【今週の読書】

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