2022年9月8日木曜日

円安

 円安が止まらない。ついこの間、130円を突破なんでやっていたと思ったら、とうとう140円を超えてしまった。一体、どこまで行くのだろうかと興味はそそられる。それにしても、記憶の中には、過去1ドル80円を超えて円高になった時にも、大騒ぎしていたことがある。円高の時も大騒ぎしていたし、今回の円安もまた大騒ぎしている。「大変だ」というマスコミの論調はどちらも同じ。一体、円安と円高、どちらがいいのだろうか、そしてどちらが悪いのだろうか。

 そもそもであるが、円高になれば海外のものが安くなる。円安になればその逆。となると、海外から物を買う人は円高が良くて、海外に物を売る人にとっては円安がいいということになる。逆に海外から物を買う人は円安は悪く、海外に物を売る人は円高が悪いとなる。なんのことはない。円高の時は海外から物を買う立場で「大変だ」と言い、円安の時は海外に物を売る立場で「大変だ」と言っているに過ぎない。「大変だ」と言えば、ニュースらしくなる。つまりマスコミが適当に騒いでいるということに他ならない。

 円安で輸入に頼る石油や天然ガスが割高になる。ただでさえ戦争の影響で価格が上昇傾向にあるからダブルパンチである。しかし、逆に輸出している企業は潤っているわけである。我が社でも先日、銀行とのお付き合いで導入していたドル建ての仕組み債が償還期を迎えたのであるが、想定以上の円安で思わぬ為替差益が出た。個人でも外貨建ての保険に加入しているが、ドル建ての解約返戻金の評価額は大きく上がっている。その分、保険料は高くなっている(ドルベースでは定額だが円換算額が引かれるのである)が・・・

 この円安下でホクホク顔の人たちはいるが、そういう人の笑みを載せてもニュースにはなりにくい。だから、円安で打撃を受けている分野を取り上げて、「大変だ」とやっているわけである。それが証拠に今度また円高に触れたら、そこでまた「大変だ」とやるだろう。もうだいぶ前からマスコミのニュースなど斜めからしか見ていないからそんな冷めた目で見られるが、日経新聞をまじめに読んでいるサラリーマンは注意しないといけない。冷静にいい悪いではなく円安を捉えないといけない。

 では、そんなマスコミのことなど無視して、日本にとって果たして円安と円高はどちらがいいのだろうか。これは正直言って、その人の立場によるだろう。海外から物を輸入する仕事をしている人なら円高がいいし、輸出しているなら円安がいいとなるだろう。実に明快である。日本全体にとってもどちらがいいとは言いにくいように思う。ただし、個人的にははっきりしていて、私は「円高信者」である。円安より円高がいいという考えは昔から変わらない。

 なぜそうかと問われれば、「国の通貨が高く評価されるのが悪いわけがない」と思うからである。実にシンプルである。海外旅行に行った時は、円高だと割安になる。お土産も余分に買える。円安より円高の方がいいに決まっている。円安になったら国内で過ごし、円高になったら出かけて行くという風にしたいものである(と言ってもここ10年近く海外に行く機会がないが・・・涙)。円安は国の通貨が安くなってしまっているわけであり、今の「大変だ」の方が本来は正しいのである。

 というわけで、本来正しい円安危機に晒されている現在、何より物価の値上がりは深刻である。いつも買っていた近所のお弁当まで値上がりし、サラリーマンの乏しい財布は大打撃を受けている。それで物価も上昇しているが、「デフレが問題」と称して「2%のインフレ誘導」と言っていた日銀の見解はどうなんだろうと思う。こういう形の物価上昇は満足なのだろうか。個人的には「デフレの何が悪い」と思っていたから、物価の上昇はとんでもないという一言に尽きる。

 日本経済にとってどうだとかは関係ない。マスコミに踊らされることなく思うことは、個人としてはあくまでも「円高、デフレ」歓迎である。その両方に反する現状は、やはり早く改善されてほしいとつくづく思うのである・・・




【本日の読書】

 



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