2022年9月4日日曜日

仕事はなぜ辛いのか

 ビジネスマンも50代後半となると、そろそろ「定年後」を考え始めるようになる。もっとも、私もそうであったが、もっと早くから考え始める人も当然いる。先日、大学時代のラグビー部の集まりがあったが、誰彼ともなくそんな話題となった。大企業に勤める者は60歳で定年となり、65歳まで雇用は保証してくれるものの、給料はガクンと落ちる。今相当もらっているという関係もあるが、年収が1/5になる者もいる。当然、そこからどうするとなる。

 外資系企業の社長をしている者は、60歳でキッパリ辞めるという。収入も十分もらっているし、あとはその時ゆっくり考えるという。再雇用制度を利用して嘱託社員になるしかないという者もいるが、仕事は面白くなくて本音は辞めたいと語る。贅沢と言えば贅沢であるが、本人にすれば切実な悩みなのであろう。そんな中で、私も定年後のことを聞かれた。否、「いつまで働きたいと考えているのか」と問われ、「70歳まで」と日頃考えている通り即答した。

 私は幸いにして、今の会社で役員に昇格したので、定年による年収ダウンはない。働きが悪ければもちろんクビになるが、とりあえずは大丈夫であろう。あとは会社がきちんと存続するかであるが、それは頑張るしかない。それはともかく、70歳まで働きたいと思うのは、収入面の問題(何せ住宅ローンは70歳まで続く)もあるが、たとえ十分な蓄えがあっても、やはり働きたいと思うだろう。それは働くことは、収入だけではなく、何かをやろうとする時、仕事ほど刺激に溢れるモノはないと思うからである。

 現在も会社では次々に生じる問題にどう対処するかで満ち溢れている。ちょうど決算期にあたるが、来期の事業計画はどうするか、役員間での意見の不一致や社員のモチベーションアップ、営業戦略等々問題は山積している。仕事とはこうした問題を解決していく連続だと考えているので苦にはならないが、まるで問題のモグラ叩きにいささか閉口しているのも事実。すべて思い通りに行ったら仕事もさぞや楽しいだろうと思うが、思い通りにいかないのが仕事でもある。

 仕事が辛い、あるいはつまらないというのは、考えてみればそれが自分の好みに合っていないからに他ならない。学校の勉強もそうだが、人間嫌なことをやらされるのは誰でも苦痛である。だが、勉強でも仕事でも面白いと思っている人間がいるのも事実。だから「やりたいことを仕事にしよう」などという意見が出てくる。それはその通り。仕事をやりたいことと一致させれば、仕事は辛いこと、つまらないことではなくなる。生活のために仕方なくやるモノではなくなるから仕事も楽しくなる。

 しかし、誰もがそういうやりたい事を仕事にできるはずもない。先日の集まりでも昔話で就活時の話になったが、当時は真剣に考えいるつもりでも今から思うといい加減だったと思う。学生の限界でもあるが、そんな学生が「やりたい事」を仕事に選ぶのはかなり難しい。かくいう私も、最初は仕事を好きになれなかったのも事実である。されどそんな私も、いつの間にかやる仕事を好きになることを覚えてからは変わったと思う。と言うより、正確に言えば、「与えられた仕事を好きなようにやる」あるいは「与えられていなくてもやりたければやる」ようにしてからだと思う。

 今の会社では総務部の部長という役職を与えられていて、そのメインの仕事は財務である。日々の会計記帳をチェックしたり、銀行と交渉したり、計画と実績をまとめてフォローしたりという仕事を与えられたが、今はそれにとどまらず、今までなかった経営計画を作ったり、役員会議のやり方を改めたり、誰も手を出していなかった人事の仕事に手を広げたり、総務の仕事も気がつくそばからどんどん変えたりしている。営業の話にも現場の話にも顔を突っ込んで意見を述べている。

 そうして気がつけばいつの間にか頼られる存在になって、役員にも引き上げられた。仕事は問題のモグラ叩き状態であるが、それを片っ端から叩いている。モグラ叩きも考えようによっては、叩いても叩いてもモグラが顔を出すという嫌なモノであるが、それをゲームにしているから楽しいのである。仕事もそんな感じでやっているから、大変ではあるが楽しくもある。できればずっと続けていきたいし、できれば役員報酬ももっともらいたい。もっともらうためにはそれなりの実績を出せばいいだけで、このモグラ叩きはお金をもらえる楽しいゲームである。

 みんなの話を聞きながら、ようは考え方次第だと改めて思う。60歳でリタイアできるほど高収入を得ているのは羨ましい限り。されど人を羨んでも仕方がない。自分は自分が置かれた環境の中で、楽しんで働くしかない。悠々自適の生活には程遠いかもしれないが、働かざるを得ない現役生活も悪くはないと思う。明日からまた仕事。憂鬱な日曜日の夜とは無縁の生活。楽しい1週間をまた迎えたいと思うのである・・・


Wolfgang EckertによるPixabayからの画像 

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