2016年8月3日水曜日

敗因

勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし
松浦静山
*********************************************************************************************************************

 小池百合子さんの圧勝で終わった先週末の都知事選。ふと何気なくネットのニュースを見ていたら、3大候補の一人である鳥越氏の敗因について分析しているものを目にした。

専門家ではないので、選挙の結果についてあれこれと論じられるほどのものを持ち合わせてはいないが、何となく読んでいて違和感の残るものであった。本当にそうだろうか、と疑問に思い考えてみた。

 鳥越氏の敗因の一つとして、「準備不足」が挙げられている。この「準備不足」であるが、選挙ではしばしば敗因の一つとして落選した候補が語っている。しかし、鳥越氏が「準備不足」というのも、なんだか疑問に思う。鳥越氏は、告示2日前に立候補を表明し、野党4党の統一候補となっている。そして、「陣営にビラ3千枚が届いたのは14日の告示日当日」だとし、これを「準備不足」の根拠としているようである。

 さらに、「《あなたに都政を取り戻す。》。そんなキャッチフレーズを掲げた三つ折りの名刺サイズで、印刷が追いつかず、15日に3万枚が追加で届くという状況」で、「その時のビラの両面には、鳥越氏の経歴のほか、《コンパクトでシンプルな東京五輪の成功》など6項目の簡潔な訴えが並びました。より詳しい政策などは、鳥越氏のフェイスブックなどで補うという形にせざるを得ませんでした」と続く。要は、有権者に政策を十分にPRできなかったと言いたいのだろう。

 しかしながら、では「もしも十分な準備時間があれば小池さんに勝てたのだろうか」と単純に思う。告示日の前に余裕をもってビラが届き、追加の3万枚も一緒に届いていたら当選できたというのだろうか。個人的には、ほとんど影響がないのではないかと思わざるを得ない。そもそもであるが、私が小池さんに投票したのも、候補者がメディアに取り上げられる過程で何となく「小池さんかな」というイメージで捕らえていて、そもそも鳥越さんに入れる気などサラサラなかった。選挙公報で鳥越さんの政策は読んだが、その気持ちを変えるほどの内容ではなかった。たとえ1年くらい選挙活動をやったとしても、気持ちは変わらないだろう。「準備不足」が真の理由とは到底思えない。

 選挙で大きな要因を占めるのは、まず「知名度」ではないかと思う。選挙公報では候補者の政策には一通り目を通したが、政策が良くても初めて名前を聞く人だとためらいを覚える。政策だけならマック赤坂氏の政策も立派だったと思う。都政で「護憲」「脱原発」と言われてもピンとこないし、そうすると政策で勝負にいっても限度がある。やはりこの知名度の影響は大きいのではないかと思う。その点、鳥越氏は有利だったと言えるだろう。

次に「政党色出し過ぎた」という指摘があるが、これはその通りだろう。鳥越氏が立候補を表明した理由の一つとして、「参院選で改憲勢力が3分の2に達したことへの危機感」を挙げていたが、「それで都知事になってどうするの?」と素直に思う。それで集められるのは「反安倍政権」の票だけだろう。そしてそれらの票は「準備不足」など気にしなかったに違いない。

最後に無党派層の支持を得られなかった(無党派層のうち鳥越氏に投票したのは19%だけで、51%が小池氏に回った)としているが、これはそもそも理由ではない。「なぜ無党派層の支持を得られなかったのか」まで深堀りしないと理由にはならない。記事を書いた人の分析能力の浅さがわかる部分である。まぁ「準備不足」としたいのかもしれないが、「3つの理由」といいつつ、結局理由は「反安倍だけでは支持を得られなかった」というところなのではないかと思う。

 この記事を書いた方がどういう素性の方で、どういう取材に基づいて記事を書いたのかは知る由もないが、原因分析という点では悪い見本と言えるだろう。もっとも真の原因と言っても、実は明確な理由などなくて、「何となくイメージで」といったもっと単純な理由なのかもしれない。鳥越さんを支持する人たちからは、ネット上で「都民はいつになったら目が覚めるのか」といった嘆きの声が見られた。しかし今回に関しては、イメージだけだとしても案外賢明な選択だったのではないかと思うのである。

 鳥越さんが正確に敗因分析ができていれば、将来捲土重来の可能性もあるかもしれないが、この記事程度の分析しかできていないとすれば、何度やっても同じだろうと思うのである・・・



【本日の読書】
 
     

0 件のコメント:

コメントを投稿