2010年9月29日水曜日

就職難の真実

今は就職難、氷河期という言葉も使われているほど。
私などは超売り手市場の時代に就職したため、そんな苦労などしなかったものだから、今の若い人たちは誠に気の毒としか言いようがない。ただ一方で若い人たちの中には非常に勉強熱心な人たちもいて、やはり最初に就職で苦労するという事も結果的には良い事なのかもしれないとも思える。

さて、政府はそんな就職氷河期の学生に対し、企業に卒業3年目までの新卒採用に補助金を出すなどの支援策を発表している。
それはそれで良い事のような気もする。
ただちょっと気になるデータを見てしまった。
それは企業規模別の有効求人倍率だ。

有効求人倍率、すなわち新卒一人当たりに何倍の求人があるかという事だ。
従業員1,000人以上の企業が0.77倍。
つまり100人の学生に対し、77人の採用枠しかないという事である。
これに対し、従業員300人以上1,000人未満の企業だと2.16倍。
つまり100人の学生に対し、216人の採用枠があるという事になる。
さらに300人未満だと4.41倍。
100人に対し441人の採用枠である。

なんの事はない。
就職難とは、大企業の場合であって、中堅・中小企業では「引く手あまた」なわけである。
テレビなどでも就職が決まらなくて焦る学生の姿を映して、「大変だ」とやっているが、それは大企業だったわけである。そう考えると、どうして政府が税金を使ってまで就職サポートまでやらないといけないのかと疑問が湧いてくる。ないならともかく、働き口はあるわけで、好き嫌いを言っているだけなのになんで税金を使うのだろう。

そもそも大学全入時代に入っているわけである。
つまりすべての就職希望者が大企業に入れるわけではないのである。
溢れるのは自然の原理で、その人たちは中堅・中小に就職すればいいわけで、むしろそれが当然。
放っておけばいいのだ。どうしても大企業でなければ嫌だといって、卒業しないでいるのもフリーターになるのも個人の自由だ。我々が汗水たらして働いて納めた税金で、どうしてそこまで面倒をみてやる必要があるのか。

競争社会ゆえどうしても大企業に入りたかったら、努力して工夫して勉強して採用されるだけのものを身につければいいだけだ。
4年間遊ぶのもいいが、そのつけは本人が覚悟すればいい。
安易に税金を使う政府にも腹立たしい気持ちを持った。

ところが、先日某上場企業の人事担当をしている知人にこの支援策の話を振ってみた。
彼曰く、この程度の支援策ではとても採用意欲など湧かないそうである。
考えてみれば人一人を採用するにはかなりの経費がかかる。
政府の支給する「おこずかい程度」では話にならないそうである。
つまり作ったはいいが、“使えない”制度だと言う事だ。
今の政府のやる事ときたらこの程度なのだろう。

いや、待てよとそこでまた思う。
そんな事は百も承知なのかもしれない。
ただ事実をきちんと考えないマスコミがうるさいからとりあえず策を作ると。
しかし、予算もないしわざと使い勝手を悪くして誰も手を挙げないようにする。
そうすれば何もしないわけでなく、お金も使わない。
そこまで考えての事だろうか?

そこまで考えての事だったら、「さすが」と座布団一枚差し上げるところだが、真実は果たしてどうであろうか。深読み過ぎだとすれば、それもいいのか悪いのか。
いずれにせよ、若者たちには自分たちで何とかしろと言いたいところである・・・


【昨日の読書】
「これからの『正義』の話をしよう」マイケル・サンデル
「新参者」東野圭吾

    

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