2010年9月23日木曜日

お受験雑感2

妻が近所のお受験情報を仕入れてきた。
なんでも近所の某私立有名大学付属高校からは、9割が上の大学へ進学できるという。
それに比べてもう一つある付属の実業高校は、同じ付属と言いながら上の大学に進学できるのは1割程度。しかも学部もあまり選べないという。
近所のママ曰く、「小学校受験で付属の実業を受ける人の考えがわからない」らしい。
「当然付属高校を選ぶべきでしょう」と。

私も二児の父親。
子供の将来の事もあれこれ考える。
だがこうした受験情報に心を動かされる事はまったくない。
そんなの意味ない事だと思っているからだ。
かのご近所ママはたぶん経験していなくてわからないのだろう。

私の学生時代も「受験戦争」などという言葉が使われていた。
私立の付属高校へ行く友人も多かった。
しかしながら、たまたまだが、私の友人たちはみんな入ってから遊んでいた。
大学受験は確かに私より遥かに楽できたと思うが、その差がどうだとも思う。
浪人して予備校に通っていた先輩や友人達も結構遊んでいた。

ライバルと呼んでもいい友人O。
彼は家庭が経済的にあまり恵まれていなかった。
彼は親に負担をかけまいと塾にも予備校にも通わず、国立大学へストレートで進学した。
受験の時も私立には行けないからと受ける事すらせず、今と違って複数受験もできなかったから、文字通り一本勝負だ(ちなみに私も一本勝負だったが、負けて浪人した)。

Oは、「もし落ちたら受験勉強の傍ら、バイトして家に2万円入れる」と私に宣言していた。
落ちていたら奴はきっとそうしていただろう。
学校の勉強とラジオ講座というリーズナブルな勉強方法で彼は合格した。
もともと頭が良かったかというとそれほどでもない。
小学校時代から目の前で見ていたからよくわかる。

そもそもであるが、学校の勉強なんて極論すれば「やったかやらないか」だ。
頭の良し悪しはあまり関係ない(あくまでも学校の勉強だ)。
せいぜい凡人が1時間かかるところを天才は30分でできるという程度だ。
1時間かければ追いつくし、2時間かければ追い抜ける。
お受験ママは、それをやらずに「頭の良い子は違うから」と妙な理屈をこねて、この簡単な理屈を受け入れようとしない。彼は(だふん)相当やっていた。ただそれだけだ。

親が熱心に塾だ、家庭教師だと騒いでも、肝心な子供の心にスイッチが入らなければ何にもならない。学生時代に私が家庭教師で教えていた子は歯医者の息子。良い家に住んで、広い自室があって(トイレだって今の我が家の2倍の広さはあった)、こずかいだってたぶんたっぷりもらっていて、友人Oなら泣いて喜ぶ環境だ。
なのに勉強はやる気ゼロ。

高校時代のラグビー部の先輩たちは、浪人しながら気楽な予備校生活を満喫していた。
がけっぷちの必死さなど微塵も感じなかった。
机に向かっていても頭の中はゲームの事を考えているのかもしれない。
「水辺に連れて行っても水を飲ませる事はできない」のである。
お受験ママがどこまでそれをわかっているだろうか。

親が腐心すべきは学校選びではなく、いかに子供の心のスイッチを入れるかだ。
スイッチが入れば、自分で考え進んで行く。
親はそれを見守り、時に自分の経験に基づいてアドバイスし、必要なサポートをしてやればよい。
どこへ行くかだって、自分で決めた方がやる気だって出るだろう。

長女はまだ小学校4年生。
まずは我が子が学校の勉強についてどんな事を思っているのか。
好きな科目は?嫌いな科目は?それはなぜ?
教科書にも目を通し、できれば同じ目線でどんな事を考えているのかわかるようにしたいと考えている。うまくスイッチが入るかどうか。我が子にはそんなことをしていきたいと思うのである・・・


【昨日の読書】
「これから『正義』の話をしよう」マイケル・サンデル
「Invitation」小池真理子他
    

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