2025年6月1日日曜日

誕生日に思う〜論語雑感 子罕第九 (その4)〜

論語を読んで感じたこと。解釈ではなくあくまでも雑感
【原文】
子絕四。毋意、毋必、毋固、毋我。
【読み下し】
子(し)、四(し)を絶(た)つ。意(い)毋(な)く、必(ひつ)毋(な)く、固(こ)毋(な)く、我(が)毋(な)し。
【訳】
先師に絶無といえるものが四つあった。それは、独善、執着、固陋、利己である。
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 6月は誕生月である。毎年、その時に思うことを綴っている。この1年を振り返ってみて思うのは穏やかに過ごせてきたなという事。何か劇的な事が起こったわけではないが、何もないのが一番だとこの頃は思っている。娘は社会人、息子は大学生のそれぞれ2年目を迎えている。心を病んだりして、休職したり大学へ行けなくなったりという事もない。家族も病気になったりする事もない。両親はますます短期記憶が怪しくなっているが、それは年齢もあって止むを得ない。まったくもって平穏な毎日がありがたい。

 友人から招待券をもらい、ラグビーリーグワンの決勝戦を観戦してきた。新国立競技場は2回目であるが、その威容といい、雰囲気といい、秩父宮とはまた違った良さがある。招待されたのはプレミアムシートで、一般席とは椅子が違い座り心地がいい。秩父宮も一般席とちがって座席間の間隔が広く、背もたれもあったが、国立競技場はそれ以上である。廊下も絨毯であるし、人が少ないために静かでゆったりしている。そんな中での観戦は最高の誕生日プレゼントであり、友人には感謝しかない。

 会場では大学時代のラグビー部の先輩や後輩も来ていた。同じ友人の招待であるが、前回会ったのがいつかも覚えていないくらい久しぶりで、そうすると一瞬お互いがわからない。それでも「会ったことある」という思いから一生懸命記憶の糸を辿り、「あぁ◯◯さん」、「□□!」となったのである。30年ぶりくらいに会った先輩は言われないとご本人とはわからなかった。記憶にあるその先輩は、もっと痩せていて、カッコ良かったものであるが、今やただの親父であった。自分もそう思われていたのだろう。

 同期の友人2人はもう定年退職していた。家では奥さんに疎ましがれていて、一生懸命家事手伝いをしているという。今の時代は定年退職した後も家で威張ってゴロゴロしていられるわけではない。私は妻とは老後は別々に暮らしたいと思っているが、一緒に暮らすと家事をあまりやらなかった男は特に大変である。しかし、どんなにやってもベテラン主婦には敵わないし、それを良しとしない妻とは対立必至であり、ならば別居するのがお互いにストレス回避でちょうどいい。密かに温める私の老後プランである。

 両親を見ていると、いずれやってくる「老い」を意識せざるを得ない。この頃、被害妄想が出てきていて、近所の人が倉庫に盗みに入ったなどと言っている。そこで感じるのは、その人の根底にある人間性である。人に対しての根底にある想いが、認知能力が衰えていく中で現れるのではないだろうか。人に対して攻撃的になるか、寛容になるかである。残念ながら、我が母は攻撃的だ。以前はそれほどでもなかったから、たぶん表には出さなかったのだろう(妻には出していたのかもしれない)。人の振り見てではないが、自分は寛容でありたいと思う。今からしっかり人間性の奥底に刻みつけないといけない。

 この先も安定して今と同じ暮らしが送れるのかはわからない。会社が生き延びていければ大丈夫のように思うが、AI時代を迎え、システム開発の世界はどうなるかわからない。もしかしたら一気に仕事がなくなる時代がすぐそばまで来ているのかもしれない。そこは運命共同体。自分だけが助かる道を考えるのではなく、みんなで困難を乗り越えていくことを考えたい。今の会社に対して自分ができる事は何か。常にそれを意識していきたいと思う。最低でもあと9年は何とか今のまま働きたい。そのためにはできる事をやり続けよう。

 これから意識していきたいのは「いい老い方」。人間は歳をとれば若者の見本にならないといけない。そのためには日頃の行動からそれを意識していかないといけない。それこそが孔子に絶無と言われていたものであるように思う。「独善的になっていないか」、「何かに執着しすぎていないか」、「頑迷固陋になっていないか」、「利己的になってはいないか」がまさにそれではないだろうか。人生90年としたら、すでに自分は第四コーナーに差し掛かっているわけであり、その先のラストスパートに備えないといけない。いいゴールのイメージを描いて、みんなにスタンディングオベーションを受けられるように、これからやっていきたいと思うのである・・・



【本日の読書】
 百年の孤独 - G. ガルシア=マルケス, Garc´ia M´arques,Gabriel, 直, 鼓




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