2016年5月1日日曜日

都知事の言い分

ここのところ舛添東京都知事が批判にさらされている。なんでも贅を尽くした海外視察をし、湯河原の別荘に毎週公用車で通っているのだとか。海外視察の行く先はロンドンで、ファーストクラスの航空券が266万円、スイートルームの宿泊が5泊で100万円、借り上げた車両が623万円、ラグビーW杯の観戦が128万円などトータルで5,000万円を超えるらしい。一週間ほどの期間の話であるが、庶民感覚からすれば確かに桁外れの感がある。

批判意見としては、ロンドン市長のそれとの対比がわかりやすい。東京出張でビジネスクラスの航空券が66万円、宿泊は一泊35千円、借り上げ車両が65万円などトータルで626万円だったそうである。もちろん、ロンドンの方が物価が高く(東京の1.5倍くらいらしい)、随行員の人数の差もあるし、ラグビーのワールドカップもないから、都知事の方が高くなるのは当然である。あとはその差である4,400万円ほど(8)が妥当か否かの判断だ。

橋本徹元大阪市長も批判者の一人である。大阪の場合、都市部でもホテルの宿泊費は13,200円が上限だそうで、こちらは実に慎ましい。財政難の大阪は、知事が使えるお金もずっと厳しいだろうし、公務員の給与を下げていた手前、知事としてもそうせざるをえなかったこともあるだろうが、実に「庶民納得」の数字である。

それに対し、舛添都知事は、スイートルームは警備上の都合らしいし、湯河原の別荘はじっくりと仕事について考察する環境なのだそうであり、「ルールに従っている」と説明している。だが、橋本さんからすれば、「ルールなんて変えればいい」と手厳しい。知事経験者だけにトンチンカンな批判とは言えないし、相変わらず筋が通っているだけに、舛添さんの説明は苦しいものにしか聞こえない。

確かに贅沢だと思うが、個人的に批判する前に知りたいことがある。
その一つは、まず「歴代の知事はどうだったのか」ということだ。湯河原の別荘は舛添さんだけかもしれないが、石原さんなんかはどうだったのだろう。もしも同じような状況だったのであれば、批判の対象は「舛添さん」ではなく、「都知事」にしないといけないだろう。東京都は財源が豊富だとは言っても、国家財政の厳しいこのご時世であり、そのあたりは考えてもらわないといけない。

もう一つは、「それに見合う実績を上げているのか」というところである。我々都民の生活向上に多大な貢献をしているのなら、それはそれでいいじゃないかと個人的には思う。桁違いの報酬を取るアメリカのCEOとまではいかなくても、ある程度は許したいと思う。だが、オリンピック誘致は前知事のことだし、都民税も格段下がっていないし、舛添さんになって何か生活に変化があったかというと、そういう実感に乏しい。何かあるならそれを教えてもらいたいと思う。

本来、そうした役割はマスコミに期待したいところであるが、なぜかあまり積極的には取り上げていないように思える。政治家も「説明責任」というものをきちんと果たしていないような気がする。舛添さんにしても、今の説明はなんだか苦しい言い訳に終始している。「これだけの実績を残しているのだから当然だろう」くらいは主張してほしいところである。

確かに問題視されている部分はおろそかにしてはいけないところだとは思う。だが、議論の中身を見ていると、どちらもスケールの小ささを感じてしまうところがある。トップに立つ人には、清廉潔白清貧も大事だが、それ以上に大きな実績を期待したいと個人的には思う。

都知事としての歴史の評価が、「ロンドン豪遊」ではあまりにも寂しい。やはりここは後世に残る大きな実績を期待したいと思うのである・・・



【今週の読書】
 
     

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