2015年9月23日水曜日

タクシー業界

 いつも観ているテレビ東京の『ガイアの夜明け』。先日の放送は、タクシー業界であった。大手の日本交通と国際自動車の2社の取り組みが採り上げられていた。両社ともサービス向上はもちろん、人材に至っては大学新卒採用も始めているのだという。

 この番組は、同じテレビ東京の『カンブリア宮殿』と並んで毎週欠かさず観ているのだが、「自分だったらどうするだろう」と考えながら観るのが楽しみでもある。自分がタクシー会社の経営者だったらどうするだろう。自分が学生に戻ったら、卒業してタクシー会社に就職するだろうか、したとしたら入社して何をするだろうか。

 タクシー業界も規制緩和したり再規制したりとなかなか生き残りも大変だというのは、薄々知っている。そしてこの業界は、我らが不動産業界とどこか似ているところがある過去の投稿)免許があれば簡単に参入でき(父もその昔『食えなくなったらタクシーの運転手をやればいいやと思っていた』と語っていた)、簡単に参入できるということは、簡単には儲からないということであり、したがってインセンティブ(歩合制)で尻を叩きながら利益を上げざるを得ない。流れてくる人も労働意欲が低いから、ガラも悪い。そんな業界にあって、両社とも「接客」を意識し、ITを導入し、工夫を凝らしている。

 番組では、日本交通が全国展開を視野に、経営困難に陥った大阪のタクシー会社を買収している様子が紹介されていた。ドライバーの平均年齢が62歳というその会社、さっそくお客様が乗車した時の挨拶から指導を受けていたが、そんな「新しいやり方」に頭の古いドライバーがついていけるわけがない。放送ではやっていなかったが、実際は挨拶などできていないであろうことは想像に難くない。新卒から鍛えて、新しい血と入れ替えていくのは、賢いやり方だと思う。

 そもそも利用者からすると、タクシーはプライベートでは利用しにくい。料金も高いし、「贅沢」というイメージがどこかにある。ここ1年でも私がタクシーを利用したのは、先日の叔父の葬儀の時だけで、東京郊外の葬儀場で駅から徒歩20分のところだったので、やむなく利用したぐらいだ。都心では交通網も発達しているし、せいぜい終電がなくなった時ぐらいだろう。

 ビジネス利用だって、経費節減の中小企業にあっては、都内ではまず利用できない。大企業でもそれは同じで、銀行員時代だって同様だった。一度出向して外資系の金融機関の人と机を並べて仕事をしたことがあるが、彼らは移動は基本的にタクシーだった。「時間を買え」という理屈で、「経費は好きなだけ使え、その代わりたっぷり稼げ」という明確なやり方だった。自分たちもそうしたいと思ったが、日系思考ではなかなか難しいかもしれない。

 タクシーの利用となると、そんな法人需要か、セレブな方たちの買い物とかの移動か、あるいは車の運転が覚束ない高齢者などの利用が多いのではないかと推察される。我々庶民レベルでも気軽に利用できるようになったら、タクシー業界も潤うのではないかと思う。そのためには、やっぱり料金がネックになるだろう。

 初乗り730円は鉄道やバスに比べると圧倒的に高い。目的地までいくらかかるかわからないという不安もある。都内の道路は渋滞というリスクもあるし、やはり庶民が気軽に利用するにはハードルが高い。独身時代は、毎週飲みに行ってタクシー帰りだったが、今はもう体力的にも真似できないところである。

 テレビを観ているだけの業界素人に、何か経営の妙案が浮かぶわけでもない。キッズタクシーという取り組みや、高齢者需要などは、我が不動産業界にも通じるキーワードかと感じた程度である。まぁもうちょっと稼いで、気軽にタクシーを利用できる身分になろうというモチベーションにはつながったかもしれない。

 何はともあれ、これからもいろいろなヒントを求めて、毎週観るのを楽しみにしたいと思うのである・・・


【本日の読書】
ようこそ、わが家へ (小学館文庫) - 池井戸潤





   

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