当時その感動をずっと保ち続けたいと思い、ビデオが市販されると、迷わずそれを買い求めた。
その値段、なんと15,000円。
迷いはなかったが、躊躇はあった。
その後、そのビデオを観たのは、24年間で2回くらいである。
今ではツタヤに行けば100円くらいでレンタルできる。
VHSのビデオテープはそのままではもう観たくとも観られないし、今から思うと無駄な買い物であった。もう既にその予兆は現れているが、いずれこうした映画などは、劇場公開後はすべてオンデマンドで観られるようになるだろう。
観たい時に、いつでも観られ、ストックしておく場所も不要である。
当時はそんな” 未来”は予想すらできなかったが、今はあれこれと予想を試みている。
仕事では昨年から不動産業界に身を置いているが、やがて来るべきは「お一人様」の終活だろう。
つまり伯父の家系は私の従兄妹の代で途絶えるわけで、それまで築いた財産を相続する者はいない。
そうした例は身近にかなりある。
まだ兄弟に子供(つまり甥とか姪)がいればいいが、そうでなければ財産を残す相手はいない。
何もしなければ国庫に行くだろう。
そうした高齢者のための快適な住まいを提供するビジネスは、世の中のニーズに応えられるような気がする。
自らの行く末にも活用できるかもしれない。
一説によると、日本人は死ぬ時平均3,000万円を残していくらしい。
子孫がいればまだしも、いなければそれはみな国庫に行くことになる。
人口予測によると、今後50年間で3,000万人超が減るとされているから、トータルすると何と遺産総額は1,000兆円近くとなる。
これがすべて国庫にいくわけではないが、今の国家の累積債務とほぼ同じ金額になるわけで、そうなると、「子孫に借金を残すのか!」と目くじら立てなくてもいいんじゃないかと素人考えで思ってみたりする。
まぁそんなことはともかく、友人たちも独身比率は高まっているし、奥さんに粗大ごみ扱いされるなら、そんな独身の友人たちとともに過ごすのも悪くはないかもしれない。
自分の都合だけではなく、そんな考えを持つ人のニーズに応えるようなビジネスをこれからやっていったら面白いかもしれないと思ってみたりする。
大銀行の一本のネジだった頃と比べ、今はそんな考えに基づいて動いて行くことができる。
変化する時代において、15,000円のビデオを買って一生楽しめると思った間違いを繰り返してはもったいない。
未来を予測し、変化を楽しみつつ、自らの身の置き所を作りながら、楽しく働ければ最高である。
間違いと言っても、買ってしまった以上、ビデオも観られるうちにもう一回くらい観ておこうと思うのである・・・
【本日の読書】
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