ラグビーのワールド・カップが始まった。日本ではそれほど世間の関心を集めていないが、実はラグビーのワールドカップは、「サッカーのワールドカップ」、「オリンピック」に次いで世界で3番目に大きなスポーツイベントなのである。日本では、そもそもラグビーがそれほど人気となっていないがゆえに、注目されていないのが残念な気もする。
イングランドで行われているこのワールドカップは、日本は常連メンバー。もはや出場することは当たり前で、いかに勝利するかが最大の目標。なにせ過去のワールドカップでは、1勝しかしていない。前回もそれまで国際試合で連勝していたトンガに敗れ、わずかな希望も砕けてしまった。ワールドカップというと、どこも特別な力が出るようである。
今回は、日本の所属するプールには、過去2回優勝の南アフリカ、強豪スコットランド、太平洋の強豪サモア、そして唯一IRBのランキングで日本より低いアメリカが所属している。普通に考えれば、南アやスコットランドやサモアに勝利するのは困難。「何とかアメリカに勝って1勝してほしい」というのが、ささやかな期待であった。
ところがなんと、初戦の南ア戦に奇跡の大勝利を挙げてしまった。メディアもさすがに報道しているが、そのインパクトの大きさは、開催国を始めとする各国のメディアの方が正確に伝えている気がする。
Historic win for ‘Brave Blossams’ (CNN)
Japan in massive World Cup shock(BBC)
BBCでは、過去の大金星の例を5つ挙げ、そのどれにも勝る大番狂わせだと報じている。私も夜中にJsportsで観ていて、大興奮してしまった。
となれば、「南アより世界ランキングが低いスコットランドやサモアにも勝って決勝トーナメントにも」と期待も膨らむが、そこは冷静に次のスコットランド戦を観るとしよう。この大会で弾みをつければ、次の2019年は日本での開催となるし、地元での決勝トーナメント出場という夢にも現実味が帯びてくる。
日本のラグビー界の将来に明るさが見える気がするが、しかしながらそこには期待よりもやはり不安の方が大きい気がする。何せ足元では少子化の進行。私がラグビーを始めた母校の高校も、今のところ部員の人数は足りているが、その内容はとなると、中学の時に運動をしていなかったような学生が多く、野球やサッカーに流れる人材と比べると、たぶん見劣りする気がする。もちろん強豪校は別だろうが、「底辺が小さければピラミッドの頂点も低い」という持論からすると、この状況は十分危惧すべきだろうと思う。
今でも日本代表のメンバーを見ると、1/3が外国人だ。もっとも、帰化した人や高校からずっと日本でプレーしているとか、「ラグビーの世界では十分日本人」とも言うべき人もいるから一概には言えない。日本代表になれば、もう母国の代表にはなれないわけで、そういう意味では全員日本人としての意識でいると思うし、差別はしたくないが、やはりそういう「日本人離れ」した力がないと、世界では勝てないのかと思えたりもする。底辺が広がらないと、「日本人のDNAでは世界では勝てない」となりそうで嫌である。
経済分野においては、「女性の活用」、「定年の廃止による高齢者の活用」などで、まだまだ働き手を補える方法はあると思うが、ラグビーはそうはいかない。男女別のスポーツだし、体力が影響するから高齢者の活用もできない。どうしても若い男の関心を集めて底辺を広げていかないと、頂点は沈むばかりだと思う。ラグビーだけに限った話ではないと思うが、若者たちには人生の一時期にしか使えない体力をできるだけスポーツに使ってほしいと思わずにはいられない。
さて、興奮さめやらぬシルバーウィーク。次は23日のスコットランド戦。南アほどではないが、これに勝っても大番狂わせには違いない。是非とも期待したいと思うのである・・・
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