2012年4月29日日曜日

純情

3月から週3日塾に通う事になった我が娘。本当は塾になどやらせたくはなかったのであるが、行かせたいと思っていた近所の都立校がなんと中高一貫教育校になってしまい、娘も行きたいという事で、来年受験をする事になってしまったのである。競争率10倍の難関で、とても学校の勉強だけでは解けない問題が出る。そんなわけでの塾通いである。

親の思いとは裏腹に、塾に楽しそうに通う我が娘。一緒に通うのは、同じクラスの男の子3人、女の子1人。女の子は、娘にいじわるをするグループのコアメンバーで、何とも微妙な関係らしいのだが、そこは男の子3人が中和剤になってくれているようで、とりあえず問題は起こらないようである。

帰りは暗くなるのでいつも5人で一緒に帰ってくる。家の近所まで来て三々五々散っていくわけであるが、一人の男の子はご近所さん。夜ともあってお母さんのご指導で、その男の子は自分の家を通り過ぎ、わざわざ我が家の近くまで娘を送ってきてくれている。みんなと別れ、数百メートルの間を二人っきりで歩いて帰ってくるのである。

実はこの男の子は、娘がただいま大好きな男の子ナンバーワン。このエスコートタイムが至福の一時らしい。先日義母が上京した際、せっかくだからと義母と妻と息子の3人で娘を迎えに行ったそうだ。娘がみんなと別れたところで、「お帰り~!」。そこから5人で帰って来たらしいのだが、私が帰ってみると娘は烈火の如く怒っていた。

先日の事、塾で開催された特別授業に参加しなかった娘は、その代わりの補習を受けてきた。お弁当持参で行き、いつもより帰りも遅かった。いつものメンバーで参加したのは、娘とその男の子の二人だけ。帰りは最初から最後までずっと二人だったという。しかも補習の途中から雨が降り出し、相手の男の子は傘を持っていて、娘は忘れてしまったらしい。仕事から帰ってきてここまで聞いた瞬間、私は思わず「やったじゃん!」と言ってしまった。

「ところがねぇ」と妻が続ける。
「この子びしょ濡れで帰って来たのよ」と。
「何で?」と思わず私の声も裏返ってしまう。
何でも男の子は一人傘をさし、その隣で娘は傘に入らずに歩いて帰って来たのだという。
予想もしない回答であった。

理由を尋ねたところ、娘曰く、恥ずかしくて入れてと言えなかったらしい。ならば相手の方から「入りなよ」と傘を差し出してもよさそうなものだと思ったが、相手はそう言わなかったという。娘の話では、それは意地悪ではなくて、相手も恥ずかしくて言えなかったようなのである。雨の中、傘をさした男の子とさしてない女の子が一緒に歩いている。そんなシーンは滑稽だし、そっちの方が恥ずかしいだろうと思うのだが、それは大人の感覚なのだろう。

もうちょっと大きくなったら、女の子に傘を渡して男の子は雨の中を駆けていくのだろう。
そしてもうちょっと大人になると、さっと傘を差し出して一緒に歩くんだろうし、もうちょっと年を取ると、「どこかで雨宿りしていく?」となるのだろう。
ひょっとしたら自分も傘を忘れた事にするかもしれない・・・
(あくまでも一般論なので誤解なきよう・・・)

そう言えば、私も小学校の頃運動会のフォークダンスの練習で女の子と手をつなげなかった事があった。本番ではさすがに親の目もあって手をつないだが、練習ではできなかった事を思い出した。あの頃の自分と同じなのだと考えると、今の娘の行動はよく理解できる。誰もが経験することなのだろうし、それが人生の大事な一ページなのだろう。今のうちにそういう感覚を味わっておいてほしいと思う父なのである・・・



【本日の読書】

いじめと戦おう! - 玉聞 伸啓   

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