2012年4月26日木曜日

欧州に学ぼう

今年はアメリカの大統領選をはじめとして、世界の1/3の国でトップを巡る選挙があるらしい。世界的な選挙イヤーなのだという。我が国は毎年代わっているから感覚が鈍っていると思うが、やはり国のトップが代わるというのは大きなインパクトがあるものだ。

そして先週末、先進国で先陣を切ってフランスの大統領選が始った。第一回目の投票では過半数を得た候補がなく、上位2名による決選投票へと進んだ。下馬評通り、現職のサルコジ大統領は分が悪く、オランド氏優勢が伝えられている。そのオランド氏が勝利すると、せっかく安定しかけたユーロ圏の混乱が再び起こるのではと危惧されている。

そんな中で注意を惹いたのが、苦戦を強いられているサルコジ大統領が極右勢力の取り込みが必要という分析だ。今回極右の国民戦線のルペン党首が、第3位と健闘しているのだ。さらにはオランダでも閣外協力していた極右政党である自由党が、財政政策に反対して連立政権が崩壊した。オランダでも極右政党が、キャスティングボートを握るところまで支持を集めている。

極右というと、ネオナチとか我が国では街宣車に乗った人たちなどのイメージを持つが、要は国粋主義者の集団だ。どこの国でもそういう人たちはいるし、それを支持する特殊な思想の人たちがいるのは不思議ではない。しかし、政局を左右するほどの支持を集めるとなると、もはや特殊思想の人たちばかりではなく、普通の人たちが支持し始めているという事だ。

ヨーロッパの極右政党の大きな主張は「移民排斥」だ。
つまり高まる失業率や、フランスでも先日連続殺人事件があったように治安の悪化なども背景にあって、移民に対する反感が極右政党の支持へと結びついているのだろう。
これは極めて重要な点だ。

我が国も少子高齢化社会の到来を迎え、低迷する経済を背景に移民政策を主張する意見がある。人口が少なくなるから外国人を連れてきて頭数だけ揃えればいいという、なんとも安易な発想だが、こういう無責任な意見を言う人たちには是非ともこうしたヨーロッパの現状をよく観察してもらいたいものだ。

ヨーロッパでは、ドイツだってメルケル首相自ら移民政策は失敗だったと語っているし、フランスでもオランダでも極右政党への支持という形で反移民が盛り上がっている。にこにこ笑ってみんな仲良くなんて具合にいくわけがない。もって他山の石とすべしだ。

移民がいけないのは、日本のか弱い文化・国民性が台無しになってしまう事だ。例えば過去にも中国人の例を取り上げたが、日本の譲り合いの文化は、中国の強烈な自己主張の文化には対抗できない。朱に交われば赤くなるというわけにはいかない。劣性遺伝子は優性遺伝子の影に隠れてしまうが、日本の文化は遺伝子で言えば劣勢遺伝子である。

昨年の東北大震災でも、被災地では略奪が起こらなかったと日本は世界から絶賛された。そんな当たり前の事で絶賛されるという事は、世界では略奪が起こるのは当たり前だという事だ。ハリケーンカトリーナのアメリカでも、イングランドでもハイチでも略奪は起こっている。
そういう国になっても構わないというのだろうか。

人数が減るなら観光に来てもらう方法を考えればいいわけだし、他にもいろいろと工夫はできるはずだ。安易な移民政策には、これからも強く反対していきたいと思う。最近のヨーロッパのニュースに触れて、ますます我が意を強くした次第である・・・


過去のエントリー
「移民政策を憂う1」
「移民政策を憂う2」


【本日の読書】

頭のいい人が儲からない理由 (講談社BIZ) - 坂本 桂一 謎解きはディナーのあとで (小学館文庫) - 東川篤哉





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