2012年1月19日木曜日

中国から見た日本2012

先週末に、母校の財団法人で主催する社会人向け勉強会「寺子屋小山台」があった。
今回の講師は、東洋学園大学の朱健榮先生。
毎年お招きしている方なのだが、テーマとしては中国について語ってもらっている。
文化・習慣の違いといった手軽な話題から、政治経済のお堅い話までいろいろと熱く語っていただいた。

その中で中国人の「お礼」についての話があった。
中国人は、実はお礼を言わないそうである。
と言っても「謝謝」という言葉はあるから、まったく言わないというわけでもないだろう。
あくまでも日本の感覚とは違うお礼感覚という意味である。
それは「大恩、不言謝」という言葉に表れていて、日本式のお礼とは異なるもののようである。

例えば最近、妻が私にお菓子を勧めてくれた。

黒糖入りの珍しいゴーフルだった。
普段そういうものは、私のいないところで子供たちと食べてしまうようなのだが、その時は機嫌が良かったのかもしれない。
あるいは、手紙の効果かもしれない。

どうしたのかと聞いたところ、「ママ友にもらった」とのことだった。
何でも子供の服だか何かを貸してあげたら、お礼にくれたのだと言う。
日本人の感覚では不思議でもなんでもないこういう行為だが、中国人から見れば違和感があるらしい。

曰く、「貸し借りをその場で清算してチャラにしている」ような感じに映るのだと言う。
中国人は、その都度の「お返し」という感覚はなく、次の機会にもっと大きくして返すのだと言う。それまでは親密な関係でいられる感覚らしい。

そう言えば、かつて日本は中国にかなりのODAを貸与していた。
それに対して、中国は感謝の意を表明するわけでもなく、それをマスコミは随分と批判して取り上げていた。あれも中国式ではむしろ当然なのだと言う。
なかなか我々日本人には馴染まない感覚だ。

また、家族間では「おはよう」などという挨拶もしないらしい。
親しくなればなるほどそうらしい。
これなんかは、「いくらなんでも挨拶くらいするべきだろう」と思ってしまう。
しかし、考えてみれば日本人だって夫婦間では「愛してる」なんてほとんど言わないだろう。
まあ新婚カップルやよっぽど仲の良い夫婦なら別だろうが、一般的にはそうだろう。

だがアメリカでは、映画を観ていてもわかるが、常に“I love you”と言っている。
聞くところによると、夫婦間・家族間ではいつも互いにそう言いあわないとダメらしい。
そんなアメリカ人から見れば、「愛してる」と言わない日本人は奇異に映るのかもしれない。

どのスタイルが優れているというわけではない。
ただそれぞれ違うという事だ。
要は異文化間では、自分の物差しで相手を見ない事が大切なのだ。
そんな事をいつも感じさせる朱先生の講義である。
マスコミの報道からは伺い知れない中国の話を伺えて、いつもいい機会だとありがたく感じている。

しかし思い起こしてみれば、我が妻も新婚時代は、毎日のように「私の事愛してる?」と聞いてきたものだ。今となってはもう遠い過去の話となってしまったが、当時とは別人のような今の妻を見ていると、やっぱり家族の間では、中国式よりも日本式よりもアメリカ式の方がいいなぁと、つくづく思うのである・・・


【本日の読書】

スティーブ・ジョブズ I - ウォルター・アイザックソン, 井口耕二  どうする? 日本企業 - 三品和広



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