2011年4月21日木曜日

自衛隊を考える

震災当日の自衛隊の初動は次のようであったと言う。

14:46 三陸沖を震源とする最大震度7の大地震が発生
      発生と同時に陸上自衛隊東北方面隊第6師団、同第9師団は、部隊全部を第3
      種非常勤務態勢に移行し、海上自衛隊大湊地方隊、航空自衛隊北部航空方面隊
      も同様に災害派遣準備に着手
14:50 首相官邸危機管理センターに官邸対策室設置
14:52 海上自衛隊自衛艦隊司令官、出動可能全艦艇に出港命令
      岩手県知事が自衛隊に災害派遣要請
14:56 海自P3C哨戒機による状況偵察開始
14:57 海自第73航空隊のUH60J救難ヘリ1機が離陸
15:01 陸自東北方面航空隊からUH1映像伝送ヘリ1機離陸
15:02 宮城県知事が自衛隊に災害派遣要請
15:05 三沢、百里、小松の各空自基地からF15戦闘機計6機が離陸
15:15 海自第2航空隊のP3C哨戒機1機が離陸
      陸自東部方面航空隊のUH1映像伝送ヘリ1機が離陸
15:20 海自第4航空隊のP3C哨戒機1機が離陸。
      以降、海自や陸自の各航空隊から航空機・ヘリ等が相次いで離陸
15:25 横須賀の海自艦艇全13隻が抜錨、三陸沖へ。
      大湊、舞鶴、呉、佐世保からも護衛艦などが三陸沖に向け次々出港、計42隻

阪神淡路大震災の時は、自衛隊アレルギーの自治体が派遣要請を渋り、自衛隊の出動が4時間後であったと言うが、その教訓を活かし今回は実に素早い展開となったようである。
テレビでも海から迫る津波を上空から捕えた映像が流されていたが、それもこうした早い展開の為せるわざということらしい。

大災害時にはやはり自衛隊の力が群を抜いている。
やはり国家にはこうした軍隊というものは必要なのだとあらためて思う。
しかし、世の中にはまだまだアレルギーの強い人たちはいる。
それはやはり戦争の結果ではあるのだが、だからと言ってその憎しみが軍隊や国歌や国旗に向かうというのは、どうにも理解できない。

例えば太平洋の真ん中で遭難したとする。
その時北に米海軍、東に英海軍、南に中国海軍、西にリビア海軍の軍艦が現れたとしたら、どの方向へ助けを求めに行くだろうか。
日本人なら英米だろう。

例えばまったく同じ種類の銃が2丁あったとする。
一つは警察官、一つはヤクザが持って街中を歩いている。
どちらが怖いだろうか。
答えるまでもない。
同じ種類の銃なので、銃それ自体が脅威ではない。
持つ人が脅威なのだ。

軍隊も銃と同じ。
きちんとシビリアン・コントロールが効いていれば、それ自体は脅威ではない。
米英の軍隊に恐怖を抱かないのと同じである。
歴史をきちんと学び、シビリアン・コントロールの仕組みをきちんと作れば、軍隊が自然にクーデターを起こして暴走するなど、現代の日本では到底考えられない。
自衛隊はそういう組織になっているのである。

そういう私も中学生のある頃までは、確かに軍隊など持つべきものではないと考えていた。
まだイラクのクウェート侵攻なんて起こっていなかったから、侵略されても無抵抗でいれば良いじゃないかと無邪気に考えていた。
そんな私の目を覚を覚ましたのは、中学のある社会科の先生だ。

国連では、もしも日本がどこかの国に侵略されたら、加盟国がそれぞれ軍隊を出して国連軍を形成し助けに来てくれる。
アフリカの小さな国からも兵隊が来て戦ってくれる。
でも今度は逆にそのアフリカの小さな国が侵略された時、国連から軍隊を出せと言われたら、日本はそれを断れるだろうか?

先生のその問い掛けで、自分の考えのおかしな点に気がついた。
「もしも嫌なら国連には加盟していられないんじゃないの」と言われてその通りだと思った。(まあ現実的には各地域での安全保障があるので、あくまでも『理屈では』という話だ)
今から思うとあの先生は日教組ではなかったのだろう。
まだ世間知らずの頭に現実を教えてくれたので、今でも印象に残っている。

しかし世間にはいい大人になってもまだ夢みたいな事を考えて、自衛隊を毛嫌いしている者が大勢いるのは困ったものだ。大臣でさえ「暴力装置」とのたまうのだから呆れてしまう。
本当は学校できちんと教えるべきだと思うのだが、その学校に日教組みたいなものがあるから如何ともしがたい。

まだまだ東北地方も瓦礫の山だし、原発周辺は手つかずみたいだし、現場ではいろいろと大変だろうと思う。何より現場が一番大変だ。
命令一つで危険な場所に行かなければならない。
それが可能なのは軍隊だからだ。
自分にできる事の一つとして、自衛隊の人たちにエールを送りたいと思うのである・・・


【本日の読書】
「ハーバード白熱教室(下)」マイケル・サンデル
「ザ・ベロシティ 製造業・起死回生のシナリオ」ディー・ジェイコブ/スーザン・バーグランド

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