2011年4月15日金曜日

春の夜雑感

「さだめなき 風にまかせて 散る花を 花とばかりに 思い眺むる」
                          (詠人不知)
「ちりぬべき 時知りてこそ 世の中の 花も花なれ 人も人なれ」
                          (細川ガラシャ)
「花の命は短くて 苦しきことのみ多かりき」
                          (林芙美子)
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この時期、朝は少し遠回りして駅まで歩いている。
通勤路からちょっと離れた先の桜の木を観賞するためである。
毎朝すこしずつ、緑が増えていくが、風にあおられて舞うピンクの花びらが何とも言えない風景を作り出す。そんな風景を朝の忙しい一時に、楽しむ心の余裕を持ちたいと、ちょっと贅沢な遠回りである。

死者は増え続け、行方不明者は減らない、原発は解決の兆しも見えない。
そんな混乱が続いている中、小沢さんの名前がまた新聞紙上を賑わしている。
リーダーシップを発揮できない菅さんを総理から下ろそうとしているらしい。
小沢さんという政治家は、私はかなり評価していたのだが、ここのところどうも眉をひそめたくなる行動が目立つ。

震災でだいぶごまかせているとはいえ、今は民主党にとって大きな危機にある時だ。
ここを乗り切らないと、もう小さな波でひっくり返るだろう。
菅さんがいくらダメだと言っても、今は総理を代えている場合ではない。
一致団結して民主党自体を浮上させないといけない時だろう。
そうでなければ、菅さんを下ろしたところで、次の椅子に座った途端、足元から台座が崩れ落ちるという事態になりかねない。台座さえしっかり固めておけば、時間はかかってもやがて玉座に座る順番が回ってくる。どうしてそう思わないのだろうか・・・

小沢さんには小沢さんなりの戦略があるのかもしれない。
ただ民意というものは、小沢さんの考えているものとは違うように思える。
それは庶民の側からの方がよくわかるのかもしれない。
あるいは、とにかく自分が総理になれば、そこから猛烈な勢いで挽回できるという考えでもあるのかもしれない。政治家になるような人間は我が強いから、チームプレーに徹するなどと言う事は苦手なのかもしれない。

ラグビーでは、敵を自分に引きつけ、味方をフリーにしておいてトライを取らせるプレーは、称賛されるべきプレーである。ところが小沢さんは、自分がトライを取るために味方からボールを奪い取ろうと汲々としているように見える。
自分がトライを取るのとチームの勝利とどちらを優先するかだ。

夜の7時半を過ぎると職場に放送が流れる。
我が職場でも節電で、8時には全館消灯になるのだ。
ご丁寧に15分前には2/3の照明が落とされる。
何ともはやというところだ。
明日できる仕事は明日に、という精神でこなすしかない。
それにしても2/3の電灯が消えたオフィスというのも乙なものだ。
机の上で浮かび上がるパソコンの明かりが何とも言えない雰囲気を醸し出す。

外に出て周りのビルを見渡せば、ところどころに同じような試みをしていると思われるビルが見える。我がビルの目の前には某商社が入っているビルがあるが、一角は真っ暗だ。
世界中を相手にする商社が、とも思うが、出来る部署だけしているのかもしれない。

来年の今頃は元の生活に戻っているのだろうか、とも思ってみる。
しかし、それがいいかどうかはわからない。
ここで一度立ち止まって、これからの行く末を見直すべきなのかもしれない。
特に原発問題は喉元過ぎればというわけにはいかないだろう。
そういう意味では、来年桜が咲く世の中は、今より少し良くなった世の中であってほしいと思うのである・・・


【本日の読書】

「民の見えざる手」大前健一
「春秋山伏記」藤沢周平

【本日の漫画】
「JIN-仁⑳」村上もとか
「ONE PIECE⑥」尾田栄一郎     

     

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