2011年4月18日月曜日

原発問題について考える~その2~

震災から早や1カ月超。
原発はまだ6~9カ月かかるとの見通しが発表された。
なんと言うべきか言葉もない。
しかしお陰で原発については詳しくなってしまった。
良いのか悪いのかわからないが、詳しくわかればわかるほど、これまで無知であった事に対する恐怖心が出てきてしまっている。

日本人にはもともと原子力アレルギーがある。
反対している人もそんな人たちなのだろうと、今までなんとなく思っていた。
事故が起こらない限り、そんなの杞憂だろうと思っていたのだ。
先輩Hも地方から問題を発信していたが、私は読み流していた。

今あらためて、世の中の人はどのくらいこれらの問題を知っているのだろうと思う。
原発の問題は、地震などがあっても緊急停止すれば安全なのかと思っていた。
ところが事実はそうではない。というか、そもそもその前に大きな問題点があるということが、いろいろ見聞きした結果わかってきた。

まず、原発はウランを加工して作った核燃料を使って発電する。
そして使い終わった核燃料は、今やすっかりお馴染の「
使用済み核燃料」である。
これはウランとプルトニウムが大量に含まれる高レベル放射性廃棄物である。
この使用済み核燃料は、一般的には原子炉で使用された後、冷却するために貯蔵プールで保管される。福島の4号機ですっかり有名になったやつだ。

そしてここで冷やされるわけであるが、その崩壊熱を冷却するのに必要な期間はなんと50年だと言う事である。 さらに使用済み核燃料からはウラン及びプルトニウムを抽出することで核兵器への転用も可能であるため、大量に貯蔵することは好ましくないとされている。
核兵器を持たない国がプルトニウムだけ増やし続けるのは、いらぬ疑惑を招くらしい。

そこで、それをさらに再処理する事で、再度高速増殖炉での発電用の燃料に加工できる。
これがプルサーマルという技術で、ここから出る廃棄物はさらにパワーアップしていて、強力な放射線と崩壊熱を出し、その冷却に必要な期間は、なんとなんと500年らしい。
もう絶句である。

 そしてその廃棄物は、実は捨てる場所がない。
海に捨てるわけにもいかず、原発内部の貯蔵プールに入れておくか、青森県にあるまだ完成していない再処理施設に送るか、そこの施設内で長期保存するしかないようである。
しかもそんな廃棄物が、日本では54機の原発で年間1,000トンも排出されているという。
「そんなの聞いてねぇよ」と思わず言いたくなる。
地震以前にそれだけの問題があるのだ。

今年の流行語大賞に間違いなくノミネートされるであろうと思っている「想定外」。
便利な言葉だ。どれだけ想定しているのかは知る由もない。
震災後、慌てて削除された東京電力のホームページには、津波に関しては以下の説明が記載されていたらしい。

『津波への対策
 原子力発電所では、敷地周辺で過去に発生した津波の記録を十分調査するとともに、過去最大の津波を上回る、地震学的に想定される最大級の津波を数値シミュレーションにより評価し、重要施設の安全性を確認しています。また、発電所敷地の高さに余裕を持たせるなどの様々な安全対策を講じています。』

今さら、ではあるが大した想定だ。
さらに耐震強度については、『M6.5』までの直下型地震に耐えられる構造なのだそうである。ちょっと不安になるが、東京に一番近い原発である静岡の浜岡原子力発電所は、耐震基準が一段と強化されていて、理論上『M8.5』まで大丈夫だそうである。
それ以上の地震は起こらないらしいから、安心してもいいらしい。

 1,000年に一度と言われる災害に、必要以上に怯えても仕方ない。
だが年間1,000トンは現実問題だ。
我々は子供の代に借金を残すばかりか、末代までにわたって放射能のゴミを残す事になるらしい。電力がふんだんにある生活は確かに便利で快適だが、見えないところでそのつけは着々と溜まっている。

そろそろ自分の問題として、真剣に考えないといけないと思うのである・・・

【本日の読書】
「民の見えざる手」大前健一
「春秋山伏記」藤沢周平
 
     

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