2009年4月7日火曜日

オヤジの背中

   
花は盛りに、月は隈なきをのみ、見るものかは。
 雨に対ひて月を恋ひ、垂れこめて春の行衛知らぬも、なほ、あはれに情深し。
       徒然草  第百三十七段

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 桜も満開のこの季節。
学校の新学期も始った。
待ち焦がれた満開の桜であるが、これから散るばかり。
風に舞う桜の花びらほど風情のあるものはなく、桜吹雪ともなれば圧巻だ。
咲くのを待つも良し、満開を見るのも良し、そして散りゆく様を見るのもまた良し、である。

 ところで、ランドセルなどの合成皮革を手がけるクラレが新入学の児童を対象に「将来なりたい職業」を聞いたアンケート調査を目にした。
男の子は「スポーツ選手」、女の子は「お菓子屋さん」が不動の1位となったようである。

 <男の子>            <女の子>
  1位 スポーツ選手   (1)        1位 お菓子屋    (1)
  2位 職人          (5)     2位 花屋      (2)
  3位 警察官      (4)     3位 芸能人     (3)
  4位 運転士      (3)     4位 教員      (5)
  5位 消防士      (2)     5位 看護師     (4)(  )は前年順位

 ちなみに、親が男の子に就かせたい職業は、17年連続で「公務員」が首位だったのに、今年はなんと子供の夢と同じ「スポーツ選手」。また、親が女の子に就かせたい職業では、「お菓子屋さん」が前年の9位から1位に躍進。どうやら今年は親子の意見が一致したらしい。
 
 驚きなのは、これまで不動の1位だった公務員が後退した事だ。
この不況下では、公務員に対しては嫌味をいいつつも、「我が子は公務員」と思うのだと思っていたら違うようだ。そう言えば、私もその昔「公務員になったら」と親に言われた事がある。その時は歴史が好きだったから、「歴史学者になりたい!」と言ったのだが、母親に「よしなさい、食べていけないわよ!」と言われてしまった。純真な子供の夢に向ってなんて事を言う親だと、今でもたまに母親をからかう。
 
 ただ、逆に親の立場ともなると複雑だ。
今のうちはどんな職業でも笑って、「そうか、そうか」と言っていられるが、本当にその職業に就くとなったら正直悩ましい。スポーツ選手はいいとして、2位~5位だとついつい年収はどうなのだろうと考えてしまう。
 
 そういえば、流行りのキッザニアに行った時も、子供たちの人気は制服系の職業だった。知的労働系などは閑古鳥だった。世知辛い話だが、やっぱりついつい考えてしまう。
ガソリンスタンドで楽しそうに働く我が子に向って、「せいぜい学生時代のアルバイトに留めてくれよ」と心の中で語りかけたものである。翻って自分はどうかと言えば、まあ仕事の内容も大変であるが、それなりに楽しんでいる。少なくとも「嫌々ながらやっている」という事はない。
 
 以前よく「自分の仕事は子供には継がせたくない」というセリフをあちこちで聞いた。
大変なのだろうが、そんな親父の働く姿こそ子供には見せたくないものだ。やっぱり仕事自体もさることながら、どんな仕事であれ、中味よりも仕事との関わり方こそ重要だ。
嫌だ嫌だと思って働く親にはなりたくない。どんな仕事にも共通する「働き方」はあるはずで、それだけはしっかりと背中で語れるようになりたいと思うのである・・・
    

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