2024年1月15日月曜日

働く目的

 人は何のために働くのか。その理由は人それぞれだが、共通しているのは「生きるため」。すなわち、「お金を稼ぐため」である。動物は餌を獲る。肉食動物は獲物を狩るが、食べて満足すればあとは自由気ままに過ごす。人間もまずは食べることが生存に絶対必要な条件であり、食べられなければ必死になるが、満腹になれば満足して自由気ままに過ごす(あるいは次の食糧確保の準備をするかもしれない)。次の食べ物の心配がなくなれば、動物も人間も自由気ままに過ごす。つまり「余暇(レジャー)」である。生きる目的は食べるためか、余暇を楽しく過ごすためか、は人によるのかもしれない。

 人間は社会を築き、貨幣制度を構築し、今は働いてお金を稼ぐ事がすなわち生きる事である。必要なお金を稼ぐためには必死に働くし、ある程度余裕ができればその関心は「余暇」に向かう。世の中にはその日暮らしの人もいれば、ダブルワークを必死でこなすシングルマザーの人もいるが、たいていの人はそこそこ余裕を持ち、「余暇」に関心を移すのだろう。あるいは「余暇」のために必要最低限だけ働くという人もいるだろう。生きる目的が「生存」という社会は発展度が低く、「余暇」という社会ほど発展したゆとりある社会だとも言える。

 我々の国は発展したゆとりある社会であり、働く目的も「生きる」という本質に近いところではなく、「余暇」に比重を移している。かく言う私も、住宅ローンはまだまだ残っており(居住確保)、まだまだ子供の養育・教育が必要であり(生存)、家族を含めて生活を維持しなければならないのはもちろんであるが、余暇に比重を乗せるゆとりもある。そうなると、ただ働くのではなく、より楽しく働きたいと思うようになっている。働くことと余暇が一致している人は幸せだろうと思う。

 仕事も余暇にできればいいが、そうでなくてもより効率的に、つまり「より多く」稼げれば、それは余暇の拡大へと繋がる。生きるためとは言え、「辛い仕事」より「楽しい仕事」がいいに決まっている。では「楽しい仕事」に就くにはどうしたらいいのだろうか。私の場合は、楽しい仕事に就くより就いた仕事を楽しむ方が自分に向いていると思う。そして現在はそれがうまくいっている。今の仕事はとても楽しい。

 楽しい理由は簡単で、自分で思う通りに仕事がコントロールできるからである。これが言われた事をやるだけとなると、楽しみはぐっと減るだろう。それはそうだが、誰もが初めからそうできるわけではない。初めは言われたことをこなすことからスタートする。そこからどう抜け出せるかはやり方次第である。少なくとも言われた事だけをこなしているだけだと、いつまでもその状態を脱する事はできないかもしれない。

 今の会社に猛烈な指示待ち族のベテラン社員がいる。頼んだ仕事はきちんとやってくれるが、頼まれない仕事は見事にしない。たとえ時間が空いていても、である。私であれば、手が空けば何かできることはないかと見まわし、できそうであれば「やってもいいか」と許可をもらい自分の仕事にしてしまう。やろうと思えば我が総務部にはいくらでも仕事はある。長年未整理の棚の整理だってできる。だが、言わなければ決して自分からはやらない。そういう人には、こちらも徹底して指示すればいいのであるが、ただ残念だなと思う。

 言われた事だけやっていれば楽でいいと思う。よけいな事をすれば手間もかかるし、同じお金をもらうなら仕事は少ない方がいいだろう。ただ、指示する側としては、そういう人に重要な仕事を任せたいとは思わない。私もその人にお願いするのは基本的に「作業」である。責任のある仕事を任せることはない。年齢的にも「もういいや」と思っているのかもしれないが、私なら単なる作業員ではつまらなくて仕方がないと思う。

 現代社会はゆとりある社会。仕事も生存のためだけに必死にこなすものではなく、レジャー化しようと思えばできる。どうせ働くなら(働かざるを得ないなら)、生存のためではなく、余暇のために働きたいし、余暇も兼ねて働きたいと思う。自ら仕事を探し(増やし)、いつの間にかその職場では「なくてはならない人」になれば、いつまでもいてほしいと思われるだろうし、もっと重要な仕事をやって欲しいとなるだろうし、いつしか指示する側にまわり、自分の仕事をコントロールできようになるだろう。会社を動かせるようになればさらに仕事は面白くなる。

 何のために働くのか。生活のためでもあるがむしろ働くことがレジャーである。問われれば今はそう答えたいと思うのである・・・

นิธิ วีระสันติによるPixabayからの画像



【今週の読書】
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