2022年10月23日日曜日

果たして理想的に行動できるか

 この週末、趣味にしている深夜の映画鑑賞で、『The Crossing ザ・クロッシング Part III』を観た。1945年から1949年にかけての中国を舞台にした二部作構成の映画である。『Part II』のクライマックスは、「太平輪沈没事故」。国共内戦で国民党が敗走する中、上海から台湾に逃れようとする人たちを満載した太平輪という船が、貨物船に衝突して沈没した海難事故である。海に放り出された人たちが近くに浮いていた荷物等にしがみつくだけでなく、他人の浮き輪や救命胴衣を奪ったり、他人が捕まっていた板を奪い合うシーンを観ていて考えてしまった。「果たして自分だったらどうするだろうか」。

 金城武演じる医師は、見ず知らずの子供を助けて板の上にのせる。そこに現れた男がその板を奪おうとする。医師はみんなで掴まれるからと必死に訴えるが、男は医師をナイフで刺し板を奪う。法律的には、自分の命が危機にある時、助かろうとして他人の生命を危険に晒しても、それは「仕方ない」と判断される。いわゆる「緊急避難」というもので、罪に問われることはない(もっともナイフで刺す行為が緊急避難にあたるのかどうかはわからない)。自分も同じ状況下に置かれた時、どう振る舞うだろうか。

 自分1人の時と、家族などと一緒の時とでは違うだろうが、1人の時であればとにかく自分が生きる方法を模索する。基本的に浮き続けるのは疲労もあって困難だろうから何か掴まるものを探すだろう。だが、その時、他人のものを奪うようなことはしないだろう。たとえ力づくで奪えると判断したとしても、それをする事は自分の考えに合わない。他のものを探すとか、何か別の方法を探すだろう。ただし、明らかに何人かで掴まれるものを独り占めしている者がいたら、そこは説得するだろうし、応じなければ力づくで奪うかもしれない。

 もちろん、それはあくまでも何の心配もいらない机に座っている状態で思うだけのことで、実際の現場になったら死の恐怖から他人を溺れさせても助かろうとするかもしれない。ただ、あくまでも映画を観ながらぼんやり考えた範囲での話である。あくまでもその範囲ではそのように行動する(したい)という考えである。もともと他人を押し退けてということに心地良さを感じない性分である。電車の中で座ったり、駐車スペースを探したり、混んでいる中で注文をしたり、そういう中で「人をかき分ける」ということができない性格なのである。

 「いざとなったらわからない」とは思うものの、「いざとなっても大丈夫」という思いもどこかにはある。昨年、理不尽にも働いていた会社の社長が勝手に会社を売って失業してしまった。意趣返しで、関連会社の経営権を合法的に手に入れたが、その関連会社にあった資産はかなりまとまったもの。正直言って独り占めしようと思えばできたが、他に同様に酷い目に遭った社員に声を掛けて分け合う事にした。その結果、元社長とは法廷バトルとなり、それは自分1人が前面に出て対応している。損なことをしているが、独り占めするのは性分にあわないので悔いはない。

 「奪い合えば足らぬ、分け合えば余る」とは、相田みつをの言葉であるが、その精神には深く同意する。みんなが理不尽な思いに覆われている時に、自分だけいい思いをしたいとは思えなかった。それは綺麗事ではなく、何をもって自分は「心地良い」と感じるかなのだろうと思う。会社で言えば、社長は儲けた中から社員に給料を払い、残った中から自分の給料を取るというのが基本的な考え方。逆になるととんでもない。自分の場合、役員であるが、まずは社員にしっかりと払い、最後にたくさんもらうというのを好む。そのためにたくさん儲けないといけないし、他の人より多く欲しければ、それだけ儲ければいいのである。

 会社では、しっかり働き、しっかり休む。そこで気にしているのは、みんなもそう出来ているかどうか。休みはしっかり取れているか。自分の部下だけでなく、社員みんなが休めているかは常時気に留めている。それは前職でもそうであったし、現職でもそうである。「ノブレス・オブリージュ」という言葉がある。一般的に「財産、権力、社会的地位の保持には義務が伴う」ということのようであるが、それは財産や権力や社会的地位がなくても果たすべきものであるように思う。

 昔からこんな考えを持っていたわけではない気もするが、最近では特にそんな風に思う。関西人の妻が私を評して言う「ええカッコしい」かもしれないが、何が気分的にいいかを大事にするなら、そんな「ええカッコしい」もいいんじゃないかと思う。もう人生も後半戦に入った身であるし、自分ファーストで人から軽蔑されるより、リスペクトを集める方が心地良い。いざとなってもそんな風に行動できる自分でありたいと思うのである・・・


MichaによるPixabayからの画像 

【今週の読書】


   



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