2021年1月7日木曜日

課長のしごと

 学生時代、ある会社でアルバイトをしていた。防水工事の小さな会社で、社長1人、専務1人と工事のおじさんと経理のおばさんという構成だったと思う。工事のおじさんにも何か肩書があったと思うが、社長はともかくとして、小さな会社で専務だなんだという肩書がおかしかった印象が残っている。今は社員総勢10名の小さな会社に属しているが、やはり部長がいて課長がいて、以前は次長がいた。そんな肩書に何の意味があるのかと言えば名刺の飾りでしかない。

 そう言ってしまうと身も蓋もないが、給料も違うのでやはりそこには違いが必要だと考えている。違いとは「働き方の違い」である。適当に「お前は部長」、「おまえは課長」というのではなく、「部長はどういう仕事をするのか」「課長はどういう仕事をするのか」ということを明確にし、給料の違いの説明がつくようにしたいと思う。以前、何かで読んだ笑い話だが、転職活動をしていた元部長さんが面接で何ができるかと聞かれて、「部長ができます」と答えたという。そんな人になりかねない。

 我が社では残念ながらそのあたりがあいまいである。会社の規模が大きくなれば必然的にはっきりしてくると思うが、小さな会社であってもはっきりさせた方がいいと思う。肩書のない一般社員はどちらかと言えば、「手を動かす」仕事が中心になる。それに比べ、課長以上は頭を働かせる仕事の割合が増えてくる。いわゆる「判断業務」というやつである。その割合を表すのなら、
部長→判断業務:作業業務=9:1
課長→判断業務:作業業務=5:5
一般→判断業務:作業業務=1:9
という感じかもしれない。

 しかしながらこの判断業務というのもなかなか難しい。普段から意識していないとできないだろう。人間はどうしても居心地の良さを求める。気がつけばルーティーンにどっぷり浸っているということはあるだろう。それに中小企業だとそれほど厳格に「管理職」という意識を持つのが難しかったりする(管理する部下が1名しかいなかったり、そもそもいなかったり、部長でも雑用をやらなければいけなかったり・・・)。それでも意識は持っていないといけない。

 ショッカーにたとえれば、部長はゾル大佐や地獄大使といった日本支部長で(死神博士なんてのもいたなぁ)、課長はさしずめ毎回登場する怪人、一般社員は戦闘員といったところである。日本の支配という大目標を推進するのは日本支部長たる部長の役目、そして戦闘員を率いてその邪魔をする仮面ライダーを倒すのが怪人たる課長の役目といったところである。怪人は毎回仮面ライダーを倒す策を独自に企てる。まさに課長に求められる役割そのものであると思う。

 課長は部下の仕事ぶりを見ていて、もっと効率的にやる方法はないかと考えてみたり、部長が手を取られているようなことがあれば自分ができないかと考えてみたりと守備範囲は広い。部下は目の前の仕事に追われていて大局的にみられなかったりする。「イー!」と叫んで闇雲に仮面ライダーにかかっていくだけだ。「ミスを防ぐ」という観点から効果的なやり方に変えるように考えるのも課長の仕事だろう。

 会社によっては肩書きも様々だ。官庁になれば課長というとかなり地位が高くなる。我が社のような小さな会社ではほとんど対外的な意味しかないのかもしれない。すなわち、社外の人と話をする時にある程度の肩書きがあった方が相手に安心感を与えるという意味である。そういうものと割り切るのも一つの考え方だと思う。私が学生時代にアルバイトさせてもらった会社はそのタイプだっただろう。

 我が社はどちらかといえば、やはり役職にはそれなりの働き方が伴うものとしたいと思う。何事につけ、建前のみというのは好きではない。やはり意味を持たせたいと考えてしまう。小さな会社であろうと肩書きがある以上はそれに意味を持たせたい。課長なら課長らしく、部長なら部長らしく。そんな働き方をしてもらいたいと思うのである・・・


Gerd AltmannによるPixabayからの画像 

【本日の読書】
 


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