2020年10月8日木曜日

子どもと野球

 将来子どもを持つとしたら、「一姫二太郎」つまり上が娘で下が息子がいいなとその昔思っていた。そしてその通りに子どもを持てた。娘はともかく、息子が産まれた時は、おおきくなったらキャッチボールをしたいと思った。息子を持った父親なら誰でもそう思うかもしれない。高校時代からラグビーをやっていて、世の中で一番面白いスポーツはラグビーであると思っているが、そこは「キャッチボール」なのである。

 今、小中学生のレベルでラグビーをやろうと思ったら、普通はラグビースクールに行くしかないだろう。小中学校のレベルでラグビーをやっている学校は数少ないと思う。それゆえにそういうラグビースクールに通う子は、多くが親の意向だろうと思う。私も息子にはラグビーをやらせたいと思っているが、ラグビースクールに入れるところまではあえて考えなかった。何となくそれには抵抗感があったのである。

 子どもも小学生ころまではたいてい親の意思に従う。私も習い事は、水泳をやったり書道教室に通ったりした。少年野球のチームにも入った。英語の塾にも通った。すべて自分の意思というより、「やったら?」という母親の勧めに迷わず従ったものである。中学生くらいになると、自分の意思がはっきりしてきて、塾は拒否したりするようになった。みんなそういうものだと思う。

 息子も妻が水泳教室に通わせたり、ダンス教室に通わせたりしたが、言われるがまま通っていた。そしてメインとしてやらせたのは野球である。ラグビーをやらせたいという気持ちはあったが、あまり最初から1つのスポーツにどっぷり浸かるのもどうかと何となく思い、強くは勧めなかったのである。それよりもまずは野球をやらせたいと思ったのである。野球も国民的スポーツであり、男なら「たしなみ」の1つとして野球くらいできないといけないという気持ちがある。

 幸い、息子は私に似て運動神経が良く、足も速いとあって今ではチームのキャプテンを務めている。私は、「二番ファースト」という位置付けの選手だったが、息子は「一番キャッチャー」という位置付け。選手としては、私よりもちょっといい選手かもしれない。今年が中学最後の年で、高校に入っても野球部に入りたいと今は言っている。と言っても甲子園を目指そうというほどのものではなく、「やるなら野球」というレベルである。

 息子がラグビーをやってくれたら、親としては嬉しいと思うが、今のところ息子にその意思はなさそうでちょっと残念である。でも、それはそれで仕方がない。今のところ一生懸命野球をやっているので満足である。それに、私自身高校に入るまで「野球か陸上か水泳かバスケットボールか」で悩んでいて、ラグビーをやろうなどとは欠片も思っていなかったのである。息子もまだどうなるのかはわからない。

 先日、2人で夕食を食べる機会があった。その時になぜ野球をやらせようと思ったのかを息子に語った。その時、「サッカーという考えはなかったのか」と息子に聞かれた。「サッカーをやらせるくらいならラグビースクールに入れていた」と答えたが、サッカーに関してはその通りの意見である。息子もそれを聞いて笑っていたが、サッカーをやりたいとは思っていないようなのが幸いである。

 昔のラグビー仲間が、ラグビージャージに身を包んだ子どもの写真を公開しているのを見ると何となくうらやましく思う。息子が大好きなラグビーをやっている姿を見るのは幸せな事だろうと想像する。しかしながら、息子に野球をやらせた選択は間違っていなかったと思うし、時間を戻してもう一度同じ選択を迫られたらやっぱり野球をやらせるだろう。それは自分自身、小学校4年から6年間野球をやって良かったと思っていることもある。

 思えば、スポーツに関して言えば、小学校3、4年で水泳を習い、4年から野球をやり、中学ではバスケットボール部に入った。そうした経験はすべてやって良かったというもので、最終的に辿り着いたラグビーはその集大成である。息子がこの先どうなるかわからないが、ずっとラグビーでない方がむしろいいとさえ思う。ひょっとしたら、高校に入って気が変わるかもしれない。まだ少しだけ希望は持っていたいと思うのである・・・


【本日の読書】
 



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