2020年9月20日日曜日

論語雑感 公冶長第五(その4)

論語を読んで感じたこと。解釈ではなくあくまでも雑感。
〔 原文 〕
或曰。雍也仁而不佞。子曰。焉用佞。禦人以口給。屢憎於人。不知其仁。焉用佞。
〔 読み下し 〕

ある
ひといわく、ようや、じんにしてねいならず。いわく、いずくんぞねいもちいん。ひとふせぐに口給こうきゅうもってすれば、しばしばひとにくまる。じんなるをらず、いずくんぞねいもちいん。
【訳】
ある人がいった。――
「雍は仁者ではありますが、惜しいことに口下手で、人を説きふせる力がありません」
すると先師がいわれた。
「口下手など、どうでもいいことではないかね。人に接して口先だけうまいことをいう人は、たいていおしまいには、あいそをつかされるものだよ。私は雍が仁者であるかどうかは知らないが、とにかく、口下手は問題ではないね」
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 自分は饒舌なタイプか口下手なタイプかと考えてみると、実はよくわからない。否、よく考えてみれば、そのどちらでもないと思う。饒舌というと、とにかくよく喋るという感じであろうが、自分はあまりおしゃべりは好きではない。人の話は黙って聞いている方がむしろ好きである。かといって口下手かというとそうでもなく、自分の考えを人に話す時などはかなりしっかり話しているし、会議などでは黙っている方ではない。

 会社でも口下手な人はいる。口下手な人たちを観察していると、だいたい二つのパターンに分かれる気がする。一つは、自分の考えがうまく表現できないタイプで、もう一つは自信がないタイプである。前者は会議等で議論になってもあまり意見は出てこないが、では賛成かと言うと最後に反対し、しかも反対の明確な理由は語らない。誠にイラつくタイプである。後者は、ずっと黙っているが、意見を問えばきちんと答えてくれる。自ら積極的に発言するのは気後れするようである。

 前者のタイプは、口下手というよりもロジカルシンキングができないと言える。自分の考えを筋道立てて説明するというのは、私にしてみれば簡単であるが、苦手な人もいるだろう。一つのコツは「なぜ」と自らに問うことではないかと思う。「自分はなぜそう思うのか、それはなぜか、それはなぜか」。トヨタの改善方式ではないが、「なぜ」を5回繰り返すといつの間にか筋道立てて説明できるようになっていると思う。会社の同僚は2回くらいで結論に着いたと思い込んでしまっている(だから切り返しに弱い)

 後者の人は、多分自分の意見を否定されると心が傷ついてしまうのかもしれない。意見を問えば答えてくれるが、その答えに異論を挟めばもう意見は出てこなくなってしまう。もともと人前で話すことに対して気後れするタイプだったりすると尚更である。プライベートではその人の個性としていいと思うが、どちらのタイプもビジネスの世界では大きなハンディになる。

 ビジネスの世界では、会社を良い方向に動かしていかなければならない。それには社員の叡智を結集する必要があり、あるいはリーダーたる社長が社員を鼓舞する必要があり、それには「言葉」が必要である。以心伝心は通用しない。人が集まって協力しあう場では言葉は必須である。その言葉を発することこそが会社にとって必要なことであり、口下手で会社にとって有益な意見が埋もれたまま会社に不利益が生じた場合、その人は会社にと「いい人」ではなかったことになる。

 また、「うまく言えない」のも、結局きちんと筋道立てて考えられていないということで、そういう考えが本当にいいかどうかは疑問である。「うまく言えない」のではなく、「きちんと考えられていない」意見が、果たして有益であろうか。なんとなく「思う」のと、きちんと「考える」のとは大きく違う。「口下手でうまく表現ができない」という前に筋道立ててきちんと考えているかどうかを疑った方がいいと思う。

 もちろん、逆もまた真なりで、饒舌であればいいというわけではない。やたらめったら意見を言えばいいというものではないことは当然である。そこにはやはり「きちんと考えられた意見」がないといけないのは言うまでもない。底の浅い意見を言ってばかりだと、やがて発言を重視してもらえなくなる。わかりきった意見をわざわざ聞くのも苦痛の一つである。

 いずれもビジネスの現場でも話であり、プライベートの場ではこの限りではない。口下手でも滲み出る人柄の良さで人に好かれると言うことはよくあることで、むしろそういう人物の方が好感を持たれるかもしれない。「沈黙は金」と言うことわざもあるくらいである。実際、人の集まりの中でも喋らないでいられるならそれに越したことはないと私自身考えている。沈黙の心地良さは格別である。

 口下手がいいのか悪いのか。それは、そのシチュエーションによると言えると思うのである・・・


【今週の読書】
 




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