2018年7月1日日曜日

プロセスと結果

サッカーのW杯が盛り上がっている。日本代表が決勝トーナメント進出を決めたのも嬉しいニュースである。自分はもともとラグビー派で、サッカーには興味がない。故に試合もまったく観ていない。それでも日本人であるから、日本代表が何であれ活躍するのは喜ばしいことである。そのサッカーであるが、決勝トーナメント進出を決めたポーランド戦はちょっとした議論を呼んでいる。決勝トーナメント進出権を得るため、最後の10分間は攻めることなくパス回しをして負けたのだとか。

この試合、日本は負けても1点差なら、なんでも「フェアプレーポイント」なるものの差で決勝トーナメントに進出することができるため、あえてそういう試合をしたのだとか。攻めれば点を取れる可能性もあるが、逆に点を取られるリスクもある。ならばボールをキープし続けて相手にも攻めさせない。相手も勝っているからデメリットはない。観ていないからわからないが、会場は大ブーイングだったらしいし、それを批判する海外メディアも少なからずあるようである。

「勝つためには手段を選ばない」ということなのであろう。そしてその通りに「決勝トーナメント進出」という「結果」を手に入れたわけである。「正々堂々と最後まで勝利を目指して戦う」という姿も確かに美しいが、それでもっと点を取られて決勝トーナメント進出を逃してしまったら元も子もない。要は「正々堂々と戦う」という「プロセス」より、「決勝トーナメント進出」という「結果」を重視したわけである。重視すべきは「結果」なのか「プロセス」なのかは議論の多いところであろう。

同じようなケースで思い起こすのは、2015年のラグビーW杯の日本代表対南アフリカ戦だ。日本代表は、戦前の予想を覆し後半ラストプレーまで29-32と大善戦。そしてラストワンプレーというところで相手ゴール前で、南アフリカがペナルティを犯し、日本はペナルティゴールを狙えば同点という大チャンスが訪れた。まずゴールを狙えば外す位置ではないので、「奇跡の同点引き分け」を確信して私も歓喜したが、キャプテンのリーチ・マイケルの選択は「スクラム(つまりトライをとるぞという意思)」。エディヘッドコーチはベンチから「ゴールキック(=引き分け)」を指示したらしいが、キャプテンは「勝負」を選択した。「引き分け」という確実な快挙=結果よりも、もっと大きな奇跡の大勝利を目指すというプロセスを選んだとも言える。結果は、狙い通り逆転トライにつながり、日本の勝利は世界に衝撃を与えた。

実は私にも似た経験がある。大学4年の大阪市大との最後の定期戦。やはり3点差で負けていたラストプレーで同じようにゴール前でペナルティーキックの権利を得た。ラグビーでは通常こういう時にはキャプテンがプレーを選択する。ゴールを狙えば同点で引き分けに持ち込める。だが、その時誰ともなしに「(トライを取りに)行こう!」と声が出た。キャプテンも迷わず「行く!」と決断しスクラムを選択した。だが、そこは日本代表とはレベルも違い、我々はトライを取れず3点差で敗退した。結果こそ得られなかったが、チームメイトは誰1人としてその選択を後悔してはいない。

結果が大事だということを否定するつもりはない。大舞台になればなるほど、結果が問われることになる。ビジネスの現場でも結果は何よりも大事である。そんなことは十分理解しているつもりだが、それでもやっぱり自分は「プロセス」を大事にしていきたいと思う。それはたとえ結果に繋がらなくても、必ず「次に繋がる」と思うからである。子供の教育においては特にその点が絶対だと思う。だから我が子に対しては、結果が出なかったとしても頑張った点を褒めてあげるようにしている。

決勝トーナメント進出を果たした日本代表。次回の相手はベルギーだという。FIFAのランキングはどうもよくわからないからランキングだけで判断するのは難しいが、容易に勝てる相手ではないことだけは確かであろう。テレビ観戦して応援する気はまるでないが、同じ日本人として頑張っていただきたいと思う。

 勝利という結果は得られなかった大阪市大戦ではあるが、実はその試合のことはもうほとんど忘れてしまっている。ただ、あのゴール前で、みんなで「行こう!」と決めたことは今でも心に残っている。あの時、プロセスを重視して得られたものは、勝利という結果でこそなかったものの、それ以上に限りない誇りと満足感とを我々にもたらしてくれた。
 そういう意味では、やっぱりプロセスこそが大事だと思うのである・・・







【今週の読書】
 
   
   
    

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