2010年11月12日金曜日

情報感度

ある男が赤の広場で、「スターリンの大馬鹿野郎!」と叫んでいた。
さっそく秘密警察に逮捕され、強制収容所送りになる。
刑期は二十五年。その内訳は……
国家元首侮辱罪で五年。
国家機密漏洩罪で二十年。
                              ロシアン・ジョーク
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夏休みにグアムでシュノーケリングをした。
まばらにいた魚たちに餌をばら撒いた途端、たくさんの魚たちがあっという間に集まってきた。
何かで知ったが、サメはほんのわずかな血の匂いを嗅ぎつけて近寄ってくるという。
大海原に住む魚たちの、その感度たるやすごいものだと感心させられたものである。
そんな事を思い出させてくれたのが、今世間を賑わせている「中国漁船の衝突映像」がYoutubeに投稿された事件だ。

私もその朝、ネットでニュースをチェックしていて投稿の事実を知り、その場でさっそく見た。
全部で44分と言っても、大半は中国漁船と並行して航行しながらの映像だったため、ダイジェストで端折って見る。さすがに朝はそんなに時間もない。
肝心な衝突シーン前後を含めて15分程度は見たであろうか。

帰ってきたら、もう削除されたとのニュース。
見ておいて良かったと己の行動に自画自賛。
それにしても・・・
投稿されたのは、その前夜9時頃だと言う。
私が見たのが朝の6時だから、その間9時間。
それで嗅ぎつけてしまうマスコミも凄いものだ。
常時ウォッチしている人がいるのだろうかと思ってしまう。
普段はマスコミには批判的な私も、こういうところは凄いと思う。

さて、優越感に浸ったその映像も、テレビで繰り返し流されてしまうと、もはや何の珍しさもない。
おまけに削除されたはずのYoutubeでもいまだに映像は見られる。
オリジナルは削除されてしまっても、すばやくコピーした人が再投稿したようだ。
この反応の良さにも舌を巻いてしまう。(あるいは単なるヒマ人なのかもしれないが・・・)
国会議員だけで、こっそり鑑賞しようと思っていたマル秘ビデオも、今や誰でも見られるシロモノになってしまったのである。

どうやら投稿した海保の職員が特定されたようである。
現在は細かい捜査が行われているようであるが、先行きがどうなるのかちょっと気になる。
犯人の職員に対する処分を巡っては、またまた議論がある。
世論は始めから「犯人探しをするな」という論調が多かったようである。
もっとも、それはマスコミがそう世間を煽っているだけなのかもしれない。
しかし、これはやはり厳重処分にすべきであろう。

そもそも卑しくも政府が公開を認めていないものを、個人の勝手な判断で、しかも公務員が公開してしまうというのはとんでもない事だ。
漁船のビデオだからいいというものではない。
もっと他の重要なものだったら、と考えると許されざる行為だ。
「義憤」などという言葉を使うマスコミの論調もいかがなものか、である。
ここは徹底的に調べ、厳重処分すべきだろう。

それにしても海保の情報セキュリティのお粗末さには呆れるばかりだ。
私も職場は金融とあって、情報セキュリティは窮屈なくらい厳重である。
自分とは関係のない職場の情報に簡単にアクセスできる仕組みなど信じ難い事である。
たぶんその他の役所関係も、みな似たり寄ったりなのだろう。
恐ろしいものである。

グアムの海で見た魚たちのように、良い意味で情報感度の鋭い人間でありたいとは思うが、そんな魚たちの餌にだけはなりたくないものである・・・


【本日の読書】
「ヨコミネ式子供が天才になる4つのスイッチ」横峯吉文
「スギハラ・ダラー」手嶋龍一
 
    

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