2009年9月25日金曜日

ブラック・ジャック

 
「古和医院」より

 娘が何やら熱心に読んでいると思って見てみたら、読んでいたのは「ブラック・ジャック」だった。娘も漫画を読むようになったのか、とちょっと嬉しく思う。読んでいたのはダイジェスト版のようなやつだった。ほとんど読んだ事のある話だったから、私の「読書経験」も大したものかもしれない。

 ところがどのお話が良かったかと訪ねたところ、ストーリーとは関係のない部分のギャグシーンを上げてきたのでがっかりした。そんなところにしか興味がいかないのか、と。そこでブラック・ジャックをテーマに話をした。

「無免許医って何だかわかるか?」
「どうして無免許だと悪いのか?」
「免許があることと人の命を救うこととどっちが大事?」
そうしてあらためて気がついたが、この漫画は実に奥が深い。

 ついでに読んで印象に残った「古和医院」というお話。ある山村を走るバスの中でブラックジャックはバセドー氏病の少女を見かける。気になって途中下車すると地元の古和医院へと入っていく。古和医師が治療するが症状がひどくなる。ブラックジャックの助言で古和医師は少女を手術し事なきを得る。

 ブラックジャックは古和医師との会話から、医師が無免許である事を見抜く。必死にその事実を隠そうとする古和医師にブラックジャックは敬意を表する。長年医者のいない山村で診療にあたり人々に尊敬されるあなたは立派だ、と。一年後、ブラックジャックは某医大で古和医師に再会する。古和医師は50歳を過ぎてあらためて医師になるべく勉強をしていたのである。

 ここで終わるのであるが、実に深いストーリーだ。何が正しくて、何が悪いのか、その問い掛けは簡単には打ち返せない重いボールだ。無免許の医療行為は確かに悪だが、無医村の村で医療行為を行い、地元民に愛されてきた古和医師は、果たして犯罪者なのか。また、そんな無免許での限界を感じてあらためて勉強しなおす事にしたその心意気。

 たぶん、晴れて免許を取ったら元の山村に戻るのだろう。無免許だからこそバレない山奥にいたのだろうが、そのままごまかすつもりなら免許など取ろうとは思わなかったはずだ。それに免許を取ったからといって都会で儲けようとも思わないはずだ。高額報酬を取るブラックジャックもわざわざ途中下車するところをみると、やっぱり病に苦しむ人が気になるのだ。悪役を演じながらも悪役になりきれない男の姿である。本を閉じた後もそんなところまで想像させてくれる。

 娘にはそこまで読み取るのはまだ難しそうだ。だが、一つ一つのストーリーを一緒に読んで感想を話すのはいい経験になるだろう。そうして感受性を磨いていってほしいと思う。他にも珠玉のストーリーがいくつもあった。たかが漫画とバカにする者はそこから得られる果実の甘みに気づく事はない。本も大事であるが、漫画だって同じくらい役に立つのである。

 子どもたちにそんな「漫画の効能」を語ってあげられたなら、かつて漫画少年として過ごした日々を役立てることができるなと思うのである・・・

【本日の読書】
「心眼力」野口嘉則
「裏ビジネス闇の錬金術」鈴木晃
   

     

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