2023年5月14日日曜日

出張

 転職して以来、出張に行くようになった。新卒採用のためであるが、主として地方の専門学校、情報大学系の学校回りである。行く先は今のところ札幌、新潟、鹿児島、沖縄である。今後、増えていく可能性は高い。仕事なのでどこへ行こうがかまわないのであるが、仕事である反面、普段簡単に行くことができないところに行くわけで、「せっかく行くのだから」という気持ちから楽しみたいと思うのも正直なところ。しかしながら、出張に行った時の「仕事と楽しみとの境界線」にいつも迷う。

 そんな風に思うのも、過去に遊び半分(以上)の主張を目の当たりにしてきた経験があるからである。いずれも銀行員時代だが、最初はある半官半民の組織に出向していた時のこと。主として調査業務を行う部署であったが、そこで官から出向してきていた人たちは、「出張に行ける場所」で調査案件を選別し、不必要な出張を繰り返していたのである。ある案件では、大阪で1時間で終わる仕事を丸2日間かけて行っていた。民間なら日帰りで終わらせられるところである。

 そんな「出張」にどうにも納得がいかず、ある案件で調べる必要があるのか疑問に思う出張に行くのに異を唱えたら、煙たがられて他のチームに移動させられてしまった。それはそれで構わなかったが、自分のお金でないからと言って無駄遣いするのにどうも違和感が拭いきれなかったのである。以来、公務員なんてみんなそんな感覚なのではないかと疑っている。何せ予算は「使ったもの勝ち」の組織である。コストに縛られる民間の方が、無駄遣いが少ないのは間違いないと思う。

 2度目はやはり銀行の関連会社に出向していた時のこと。当時の役員が地方銀行に営業と称して出張を繰り返していた。地方銀行のそれなりの立場の人と会うのはおかしなことではない。ただ、その成果が見えなかったし、部下に何かを還元するわけでもない。さらに憚ることなく、「今度はどこで何を食べよう」などと話している。我々部下にあたる者はみな陰で顔を顰めていたものである。上に立つ者のスタンスとしていかがなものかと今でも思う。仕事をしているつもりだったのかもしれないが、我々から見れば「会社の経費で遊びに行っている」ものにしか見えなかった。

 そんな経験があるから、自分が出張に行く立場に立つとどうしても周りの視線を意識する。「やましいところはないだろうか」というところである。今回は地方の某学校にて合同会社説明会と希望者に対する面接会があった。説明会は午後からであったが、朝から行けば間に合わないこともないが、リスクはある(現に今回飛行機の遅れで遅刻してきた企業があった)。なので前日移動して宿泊したが、移動日の午前中は仕事をした。以前の公務員の方たちなら朝から出社せずに移動しただろう。そして土曜日の午前中に面接を実施し、午後に帰京した。

 出張に行く前には部内のミーティングで出張内容の説明をしたし、来週のミーティングでは成果を報告する予定である。これはいつもやっていること。その際「無駄はなかったか」はいつも気にかけている。部下は誰も私に文句など言わないが(かつての私も直接役員に文句は言わなかった)、それでもそんな風に思われたくはない。経費の精算も細かく使途を記し、領収書を添付している。かつての公務員の方達は、ディスカウントチケットを取り、正規料金を経費として請求することをしていたが、そんなことは当然しない。

 もちろん、行った先々でその土地ならではの美味しいものを食べたり、家族に頼まれたお土産を買ったりすることはしている。そこまでガチガチに自分を律するようなことはしていないが、公私のケジメは意識している。さらに言えば、航空運賃も時間帯をずらせば値段も変わる。安い時間帯は朝早くだったり夜遅くだったりする。経費節減を推進する責任者でもあるから無理のない範囲で安い時間帯を選んでいる。しかし、驚くことに23日より34日の方が安かったりするケースもあって、そういう時は悩んでしまう。経費を安くしようとすれば、遊んでいる時間が増えるのである。

 それは現代のマジックの一つだろう。前回は週末の自分の予定を優先させたくて値段の高い23日を選択したが、今後もどうするか悩ましい。また、今回は何かの事情なのか市内のホテルがことごとく取れず、やむなく取れたのは郊外の観光ホテル。温泉地だったので温泉にも入れて満足したが、後ろめたかったのも事実である(他の東京からきていた会社の人は市内にホテルは取れたものの、アパホテルが25,000円だったそうである。当然、我々の方が市内までの往復の交通費を入れても安かった)。

 もっと気楽に行けばいいのにとは思うものの、性分なので仕方がない。もしかしたら私の部下はそんなことなど気にも留めていないかもしれない。そうだとしても、やはり誰が見ていると言えば、自分自身が見ている。多少の遊びはあっても過度なものにはならないようにしたい。今回は「やむなく」温泉宿に泊まって朝晩湯船に浸かって疲れを癒せたが、それはそれで良しとしたい。やはり仕事であるし、会社の経費を使っていることは間違いないので、これからも出張に際しては襟を正していきたいと思うのである・・・


Jan VašekによるPixabayからの画像

【本日の読書】

  



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