2022年11月23日水曜日

私のラグビー観

 高校に入学してラグビーを始めて42年。始めた頃は、こんなに長く続けるとは思ってもみなかった。「若い頃しかできないスポーツ」という認識であったし、そんな意識を持っている人がほとんどではないだろうか。ラグビーをやっている人間でさえそうだろうと思う。それなのに今もこうして続けているのは考え方の変化もある。やってみると意外にできるものだということもある。実際、私のように50代の人間ばかりでなく、60代、70代、そして80代の人もやっている。もちろん、だんだんと激しさは薄れているが、それでもぶつかり合いに違いはない。試合が終われば体も痛い。

 高校生の時、指導してくれたOBの方が、「ラグビーは格闘技だ」と語っていた。しかし、ラグビーは相手を倒しても勝てないし、点を取らなければ勝てないという点で球技である。ただ、激しいボールの奪い合いがあるので、格闘技だと言いたくなる気持ちもよくわかる。実際、学生時代は「相手を怪我(退場)させたら気分がいい」という気持ちを持っていたのは事実。公式戦の前などは1週間も前から体調管理に気を使い、試合に向けて気持ちを高めていったものである。今はもうそういう感覚はない。

 出身母校のOBチームは某私立高校のOBチームと毎年定期戦をやっている。参加者は30代から80代までいて和やかな交流である。わが母校のOBはチームとしては活動しておらず、個々人が分散してやっている。自分のチームの練習がない時には、某私立高校のチームに参加させてもらって練習しているため、お互い顔見知りになっている。それもあって「相手を怪我させてやろう」などという気持ちは起きない。それどころか、試合の時に「怪我のないようにやりましょう」などと一見、矛盾したようなことを言い合っているくらいである。

 そういう私も普段は自分のチームに参加しているが、考えてみれば所属するチームがあるというのはありがたいこと。仲間がいるから練習もできるし、試合もできる。ポジションを任せてもらえて、試合ができるからこそ楽しめている。そういう意味で、基本的に練習や試合には欠かさず出席している。好きな時、都合の良い時だけ参加するというのでは、人数が必要なスポーツゆえに練習すらままならない。天気が悪い時などは休みたくなるが、自分の都合だけで休むわけにはいかないと考えている。

 その延長は相手チームにも言える。相手があって初めて試合ができる。そう考えれば、相手チームの人たちは「敵」ではなく、「同志」と言える。だからと言って試合でタックルを加減するなんて事はしないが、試合が終わればたとえ負けても気持ちよく握手する。レフリーも当然「同志」の1人。だから試合中に相手の反則を取ってくれなくても、「見てなかったんだな」と納得する(結構みんな文句を言うのである)。反則もレフリーが認めてこそ反則なのである。そして基本的にレフリーは中立であると信頼している。

 若い頃との違いを感じるのは肉体のダメージである。すぐに筋肉痛になるし、試合などで痛めたところはなかなか治らない。治ってから試合に出ようなんて考えていたらいつまでも出られないことになりそうである。最近では首は1年以上おかしいままだし、膝は2ヶ月近く痛みを抱えている。週末はなんとか走れても月曜日はびっこを引いて歩いている。その繰り返し。そしてそれに腰の痛みが加わっている。どちらも試合に出なければ自然と治りそうなのだが、出ているので治らない。どちらを選ぶかと考えると、試合というのが回答である。

 スポーツはなんでもそうだが、万全な体調でやるのが一番であるが、得てしてそうはいかない時が多々ある。特にラグビーなどでは常に怪我と隣り合わせだし、学生時代からテーピングなどで誤魔化しながら練習や試合をこなしていたものである。その感覚が今でもあるので、多少痛いところがあろうと基本的にやるという考えは揺るがない。「どうすれば動けるか」考えるだけである。歯を食いしばって無理してやっているのではなく、それが自然のスタンスである。

 フルバックというポジションは、試合で自分が一番やりたいポジション。今のチームではそのポジションを任せてもらっているのが大いなる喜びである。人数が多ければ前後半のうち半分だけとなるが、昔と違って今はそれで不満もない。逆に人数がギリギリの時は、交代要員がいないというプレッシャーがかかる。15人いないとできないスポーツであり、1/15の責任は常に持つようにしている。ただ、責任感だけでやっているのではもちろんない。突き詰めればそれは「楽しいから」に他ならない。

 若い頃、将来はテニスでもやろうかと考えていた。女性と一緒に楽しめるし、体にもいい。その昔、付き合っていた女性と軽井沢のホテルに泊まってテニスをしたことがある。その時は、「やっぱりテニスっていいな」と思ったし、その女性と結婚していたらテニスの道に進んでいたのかもしれない。それはそれで良かったかもしれないが、今は結果としてラグビーにどっぷりと浸かっている。もうテニスの道に進むこともないのだろう。仲間との交流も楽しいし、自分はこれでいいと思う。

 思わぬ生涯スポーツと巡り合ってしまったが、これからもずっと楽しんで行きたいと思うのである・・・

victordernitzによるPixabayからの画像 

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