2022年7月14日木曜日

不安

 生きていく上で、避けたいが避けられないものとして「不安」がある。「不安」とは広辞苑によると、「安心のできないこと。気掛かりなさま。心配」とある。「どうなるかわからないという心配」、「起きてはほしくない事が起きる恐怖」と言えるかもしれない。酷くなると他のものが手につかなくなるし、夜も眠れなくなる。ここまでになるとなかなか辛い。

 私もそうしたひどい不安を味わったことがある。近年では銀行を辞める際であったし、その後の前職では会社の借入に個人保証を入れたあと、資金繰りが厳しくなった際である。どちらも夜中に背筋の凍るような思いをして目が覚めるという経験をしたが、これは2度としたくはない経験である。そこまでの激しい不安とまでいかなくとも、小さな不安は日常に溢れていて、ひとつが過ぎてもまた次の不安が頭をもたげる有様である。どうしてそうなのであろうか。


 人が不安を感じる最大の理由は、「未来がわからない」事によるものだと思う。未来がわかればほぼ不安はなくなる。失職した時に感じた不安の正体は、「家族を養っていけるかという心配」と、「住宅ローンが払えなくなる=住む家を失うという恐怖」であるが、無事就職してそこそこの収入を得られるということがわかっていれば不安は感じないで済む。「未来がわかれば」不安は感じなくても済むのである。だが、人間には未来を知る能力はない。ゆえに不安からは逃れられない。


 逃れられないのであればどうするか。克服するしかない。ではどうやって克服するのか、あるいは果たして克服できるのか。できる、できないで言えば、できるものとできないものがある。できるものとは、例えば受験生が不合格の不安を解消すべく懸命に勉強するようなものである。私も宅浪時代は、110時間のノルマを己に課して必死に勉強した。終わった瞬間、もうこれ以上勉強できないと感じたほどである。勉強している時間は、不安を紛らわせることができる。


 一方、試験が終わって後は発表を待つばかりとなると、もうこの不安は解消できない。自らの力ではどうにもならないからである。今はネットでだいぶ早く結果がわかるようになっているが、当時は2週間この不安に苛まされたものである。もっとも、やるだけやったと割り切れればこの限りではない。割り切れなければじっと不安に耐えるしかない。不安を克服する手段としては、忘れるくらい必死に努力するという方法と、じっと耐えるという方法がある事になる。


 後は、最悪の事態を想定して覚悟を決めることだろうか。「最悪でもここまで」と割り切れるのであれば、まだ不安を鎮めることができる。何より未来がわからないからこその不安であるが、それが想定できるのであれば不安を軽減できる。私は小さな不安に襲われるたびに毎回この手法を使っている。今抱えている裁判でも、負けてとられれてもここまでというのがわかっている。後はそれをどうするかであるが、それも対応策ができている。負けたくはないが、負けてもここまでというのがわかっているので、比較的不安は鎮めることができている。


 そう考えてみると、不安に対処するために必要なのは、「準備」だと言える。万が一の時はどうするのか。最悪の状況をどこまで見積り、それにどう備えるか。それに尽きると言える。もっとも、モノによってはそんな準備など何にもならないものもある。例えば恋の告白だろうか。いくら準備しても万全とはいかないし、そもそも準備とは何かという問題もある。最悪の事態は振られることであるが、これは考えるだに恐ろしい結末であり、これを考えるから不安になるのであるから想定すること自体、無意味である。


 「案じるより生むが易し」とはよく言ったもので、確かにあれこれ考えて不安に慄くよりも、行動することが一番かもしれない。実際、過去の大きな不安もそれで乗り切ってきた。心配しても事態は実は変わらない。合格発表を待つだけの受験生は、いくら不安を感じても結果はなるようにしかならない。であれば、合格した幸せの結末を想像するか、不合格となった時の対応の準備に入るかしかない。そしてそう割り切るしかない。


 今も小さな不安はいくつか抱えているが、そう割り切っている。不安に慄くよりもやれることはある。それが例え気晴らしだとしてもいいと思う。案じて変わるのなら案じればいいし、どうしようもない不安であれば、神頼みでもいい。私も過去に毎朝神社に通った経験がある。それで心が落ち着くのであれば、大いに意味はある。避けたり逃げたりはできない以上、「with不安」の生活の方法を考えるしかない。


 今後2度と夜眠れなくなるような不安は味わいたくないが、対処の仕方だけは心しておきたいと思うのである・・・


mohamed HassanによるPixabayからの画像 


【本日の読書】

  



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