2020年2月19日水曜日

サラリーマン金太郎


 小中学生の頃、マンガ小僧だった私は今でもマンガ好きである。最近はスマホで読めるということもあって、帰宅後の食後のコーヒーとともに楽しんでいる。新しいマンガももちろんだが、古いマンガを読み返すのもまた楽しみである。そんな中で、古くてもまだ読んだことがなかったのが、本宮ひろ志の『サラリーマン金太郎』である。本宮ひろ志と言えば、『俺の空』を筆頭に『さわやか万太郎』、『硬派銀次郎』、『男樹』等々読んだ記憶があるが、どれも熱い男が主人公の物語である。

 そんな本宮マンガの例にもれず、この金太郎も実に熱い男である。元暴走族のヘッドであるが、ある時ヤマト建設会長の命を助ける。これをきっかけにヤマト建設に入社してサラリーマンになる。最初はえんぴつを削っているだけだったが、やがて頭角を現す。アラブの失敗しかけたプロジェクトに派遣されたり、吹き溜まりのような関連会社に出向させられたりするものの、そこで奇跡的な実績を挙げる。その間、会長、社長はもとより富豪のお婆さんやその道の実力者を味方につけていく。

 もちろん、そこはマンガなので予定調和ではあるのだが、だからといってバカにするものでもない。金太郎は普通にいけば入社はできない。何と言っても大学も出ていない工業高校中退の元暴走族のヘッドである(ただ1万人のヘッドではある)。しかしながら人間的な魅力でまわりの人たちを引きつけていく。特にパチンコ屋で知り合った薄汚い婆さんにも金太郎は偏見を持つことなく接し、それがゆえにあとで実は富豪だとわかるお婆さんに気に入られる。アラブでの危機を救ったのも人間力である。

 その金太郎の人間力とは、すなわち「筋の通った生き方」とも言える。学歴がないからこそ、人を見かけで判断しない。「この人と付き合ったら有利」などと損得で考えない。怒る時は怒る。他人の子どもであっても間違っていたら遠慮なく怒る。それが偉い人間であっても同じように怒る。マンガであることを差し引いても、そういう姿勢は誰でも持っていたいものだろう。

やがて社内で頭角を現すと、それに目を付けた目ざとい連中の策略によって組合の委員長になるが、その途端に会社は500人のリストラ計画を打ち上げる。経営陣のお気に入りであることから利用されたのである。指名解雇方式で名前の挙がらなかった者はみな逃げ出していく。金太郎も経営幹部から逃げ出せと指示される。ところが、解雇される人を見捨てるのは金太郎の生き方に反する。

 誰もが我が身大事。「家族がいるから」という大義名分の下、安全な道を選ぶものである。家を建て、子どもが生まれればよけいに筋を通した生き方などできなくなる。もちろん、この窮地に死ぬほど悩んだ金太郎はやっぱり己の信念を通し、最後は大逆転勝利を収めて留飲を下げてくれる。こんなに筋を通して働けたらさぞかし痛快であろう。現実にはなかなか家族に迷惑をかけるような冒険はできない。もちろん、金太郎の奥さんのように美人で良くできた奥さんの心強いサポートがあれば話は別であるが・・・

 本宮マンガを読むとやっぱり「かくありたい」と思うようになる。使用年の頃の私の人格形成にもかなり影響を与えてもらったと思う。そしてそれは今でも変わらない。「マンガだから」と言って終わりにするのではなく、自分も少しでもそんな風に筋を通して生きるカッコいい男でありたいと思う。そしてそれは程度の差はあると思うが、難しいことでもないと思う。「それって変じゃないですか」とひと言言えるかどうかで、世の中の会社の不祥事のいくつかは減るような気がする。

 基本的に小説もマンガも映画も表現方法が変わるだけで、その本質は変わらないと思う。文豪の小説ならいいが、マンガはダメということもない。特に考え方に影響を与えてくれるようなマンガなら、自分の子どもにも大いに読ませたいと思う。本宮ひろ志のマンガはそんな子どもに読ませたいマンガであると思うし、改めて自分も金太郎のように生きてみたいと思うのである・・・


【本日の読書】
 


0 件のコメント:

コメントを投稿