2019年10月14日月曜日

世界にバカは4人だけか?

「世界的なビジネス・コミュニケーション本がついに邦訳」という謳い文句で、『世界にバカは4人いる』という本が出ていたので思わず手にした。コミュニケーションについては、どちらかと言えば苦手意識を持っていることもあり、この手の謳い文句には弱いのである。しかしながら、どうにも違和感を感じて途中で読むのをやめてしまった。なんとなく「あわない」と感じる本を読了するのも苦痛なのである。その違和感の正体はなんなのか。

この本は、著者のトーマス・エリクソンが、これまでに何千人もの人たちを指導してきた経験からこれまで出会った性格丸出しの“バカな連中"と、どううまく付き合っていくかを「DiSCモデル」というものをもとに解説していくものである。その最大の特徴は、著者のいう“バカな連中"4つに分類しているものである。それぞれの特徴は以下の通りである。

1.   赤タイプ(主導型):何でも1番でないと気が済まない。仕事は速いがそもそも目的を間違えたまま突っ走る。他人に興味がなく自分が中心。
2.   黄タイプ(感化型):他人にはまったく興味なく、思いついたアイデアや自分のことを延々としゃべり続ける。仕事を最後まで完遂しないまま次の興味へと進む。
3.   緑タイプ(安定型): 口論を最も嫌い、他人に手を差し伸べることで安心する。仕事はするものの指示されたこと以外は自分の時間を大切にする。
4.   青タイプ(慎重型): 資料やマニュアルを重視し、プロセスに納得しないと仕事をしない。データや数字を重視するあまり、仕事が遅い。

 そもそもの違和感は、「自分に当てはまるものがない」という単純な事実。そうして読み進めてみると、当てはまるものがなければ、その主張するところにも納得感を感じられず、それゆえにギブアップしてしまったのである。しかし、よくよく考えてみると、人間を四つのパターンに当てはめようとするのがそもそも間違いである気がする。人間はそんなに単純ではないと思うのである。自分の根本にそういう考え方があるゆえに、この本に対する違和感につながっていったのだと思う。

 同じような例として、「血液型性格診断」もある。これも巷に随分浸透しているが、私はこれも受け入れてはいない。人が勝手にいろいろ言うのは自由だからとやかくは言わないが、人間の性格は四つに分類できるものではないと考える。しかも血液型が思考に影響を与えるということに対しても、直感的に受け入れ難いものを感じるのである(もちろん、専門家が相関関係を発見でもしているなら受け入れる余地はある)。人の考え方は、主として環境の影響を受けるものであり、同じ血液型でも性格の異なる弟を有している身としては、到底受け入れられるものではない。

 もっとも、先の本も血液型もきっかり四つの分類していると言うものではないのは当然である。強いて言えば、「そういう傾向がある」とでも言うべきものだろう。そこは目くじらをたてるものではないと思う。例えば仕事で部下が「A型で青タイプ」だとわかったら、「プロセスを丁寧に説明して、納得させた上で仕事を進めさせるようにしたらいいかもしれない」というような利用方法をすればいいというのだろう。もちろん、そういうノウハウがあるのだったら、喜んで授業料を払ってでも勉強するだろう。

 しかし、例えば血液型で言うとA型は、『A型の人はとても優しく、自分の意見を無視してでも相手のをたてるような相手への気配りに長けた人です。誰に対しても優しく接するので、初めてあった人からは「優しい人」といった印象が強くつきそうです。真面目で曲がったことがきらいです』(4つの血液型別!性格の特徴と相性を全パターン解説【血液型占い】)だと言う。我が妻を見ればまったく当てはまらない。これ一つ取っても当てにならないものだということがわかる。もちろん、当てはまる人も中にはいるだろう。だからこそ世の中に広く浸透しているのだと言えるのだし、それを否定するつもりはない。

では、なぜ当てはまる人がいるのかと言えば、それは簡単で、日本人が12000万人だとすれば、4つの血液型診断に対し「当てはまる人がいるのと同じくらい当てはまらない人がいる」というシンプルな理由だろう。先の本にしても同じ理屈が言えるわけで、「当てはまる人に対してはこうすればいい」と考えればいいのだろうと思う。そう大らかに捉えればいいと思うし、「著者の母国スウェーデンで85万部を突破し、現在、世界40カ国で翻訳が決定している異例のベストセラー」を否定するつもりはない。ただ、自分としては読む気になれないと言うだけである。

考えてみれば、人は他人が何を考えているのかなんてわからないわけだし、だからこそコミュニケーションギャップが生まれ、人は人間関係に悩むのである。それを解消しようと、「人付き合い系」の本が受けるのも無理はない。繰り返すが、自分も人間関係が完璧にうまくいく方法があるならそれを習得するのに躊躇はしない。ただ、スウェーデン発のこの本も血液型もその役には立たないと思うだけである。

ちなみに別のサイト(【当たる血液型診断】)で、両親の血液型も含めた分析をしてみたら、自分は下記のように表示された。
《行動的で、頼れるリーダータイプ。パワフルで何かと目立つうえに、自己顕示欲も高め。自己中心的な側面もあり、それが恋愛に表れると、障害のある恋ほど燃えることに。逆境にも強くタフな生命力を持つので、仕事で成功する人も少なくない。》
 これは思わず「その通り!」と言いたくなる。案外、こうした「賞賛」こそが多くの人に支持される所以ではないかと、アマノジャッキーとしては思うのである・・・




【今週の読書】
 
   
   
   

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