2019年2月17日日曜日

日大悪質タックル事件に思うこと(その3)

日大タックル指示、200人聴取し映像解析で否定 刑事捜査は真逆の結論
日本大アメリカンフットボール部の悪質反則問題で、警視庁捜査1課は内田正人前監督(63)と井上奨(つとむ)前コーチ(30)による危険タックルの指示はなかったとし、日大の第三者委員会などの調査とは正反対の結論を導き出した。日大関係者ら約200人への聴取、試合映像など客観証拠の精査の結果、第三者委などが「指示」の根拠として挙げた関係者の証言や両氏の発言は、傷害の共犯、教唆を裏付ける材料にはならないと判断。捜査幹部は「グレーではなくシロ」と強調する。
2019.2.5 21:40
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 この問題は、私も当初から関心を持っていてずっと気にかけてきたが、とうとう「シロ」という結論が出たようである。前回のニュースでは、真相は藪の中で「グレー」という印象を持っていたが、捜査幹部が「グレーではなくシロ」と強調する以上、相当の自信があるのだろう。もともと「そんな(悪質タックルの)指示など出すだろうか」と単純に疑問に思っていたが、この結論の方がしっくりくる。

 そして思っていた通りマスコミはこの結論をおざなりにしか報じない。あれほど大々的にお昼のワイドショーなどでも繰り返し採り上げ、日大の内田監督と井上コーチを日本中に悪役としてのイメージを植えつけたのに、シロと判断されても名誉回復はしてくれない。そんなのニュースバリューがないから当然であるが、当人たちにとってみればあまりに酷い扱いだろう。なんとか救済手段があればいいのにと思う。

 当のご本人たちは、第三者委員会の「クロ」決定で解雇されている。「第三者委員会」はこうした不祥事があるとあちこちで組織され、なんとなく公平感のある人たちに思えるが、所詮は素人。マスコミによる「まっ黒」イメージから抜けられるものではなく、結局ワイドショーレベルの情報で結論を下しているわけである。ご本人たちはどんな言い訳をするのか聞いてみたいところである。おそらく、「警察ほどの調査能力はない」とでもいうのだろうが、それならそれで安易な結論を出すべきではないだろう。

ご本人たちも今さら「シロ」でしたと言われても、失ったものはあまりにも大きい。せめてニュースでもっと大々的に無罪告知してあげたらいいのにと思うが、そんなことは期待できないだろう。そもそもマスコミは、旬を過ぎてしまえば関心の欠片も持たないだろう。今さら無罪でしたなんて面白くもなんともない。報道の自由も大切であるが、この節操のなさは実に嘆かわしいと思う。これでも就活の時はマスコミ(それも報道部門だ)も考えたものであるが、やめておいて良かったとつくづく思う。

関西学院大アメリカンフットボール部は、悪質反則問題で当面中止とした日本大との定期戦について、「19年度は予定していない」という方針は変えていない。監督の指示はなかったとしても、日大選手の悪質なタックルでクオーターバックが負傷したのは事実であり、これはこれでやむを得ないだろう。ただ、「安全にできるか、何らかの検証が必要」と言っているらしいが、そんなことは不可能であり、「何を言っているんだか」と思わざるを得ない。「具体的にどうするのか」というイメージを持たずに、ただ理屈だけをこねるのはビジネスの現場でもよくあるが、こういう発想の人には本当に困らされてしまう。

個人的には、マスコミなんていい加減な集団で信用なんてカケラもできないと思っていて、それは100%間違いないと思っているが、それでも役に立つこともあると思っている。最近の児童虐待の報道など、その内容には顔を背けたくなるような酷いものであるが、それでも学校や児童相談所の問題点などが槍玉に挙がり、それで改善に動くのならそれはそれでいいと思う。マスコミとハサミは使いようだと考えれば今のあり方も仕方ないのかもしれない。

それにしても、先日観た映画『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』はいい映画であった。実話を基にしているが、ワシントン・ポストが政府の意向に逆らって報道の自由の下に政府のベトナム戦争に関する隠蔽を暴いたのであるが、こういうガッツは日本のマスコミにはないだろうなと、観ていてつくづくと思った。まぁ、そんな「ないものねだり」をしていても仕方がない。大事なのは、「自分はどうするか」である。

今回は、ラグビーと似たアメフトであるからこそ最初から「おかしい」と気がついたが、他の問題だったら疑問に思えたであろうか。自分としてはマスコミの報道はなんでも「おかしい」と思っていれば間違いがないと思っているが、それだけではなく、しっかりとした「批判の目」も持っていたいと思う。マスコミもひどいがそれに安易に操られる大衆の1人にはもっとなりたくない。

 今回の「成果」を糧に、これからもマスコミの偏向報道からは自由な思考を持っていたいと思うのである・・・





【今週の読書】
 
 
 

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