2017年6月11日日曜日

働き方改革

最近、働き方改革ということがよく言われている。電通社員の自殺事件を受けて、特に「長時間労働」をなくしていこうと政府も本腰を入れて取り組み始めている。「プレミアム・フライデー」なるものが登場し、定時に退社しようという流れが起こっている。政府主導の動きではあるが、どうだろうか、定着するだろうかと考えると、なんとなく尻すぼみになりそうな気がする。

政府主導の動きだからうまくいくわけがないとバカにしていると、過去にはそれでクールビズが定着した経緯もあるからなんとも言えない。ただ、クールビズは純粋にメリットしかなかったが、長時間労働の削減にはデメリットもあるから同様には考えられない。そのデメリットとは、「時間外手当の減少」だ。これはお金の問題だから抵抗も大きいだろう。

早く帰るに越したことはないが、それで収入が減るなら別問題。自殺したくなるくらい働いているならともかく、普通に8時、9時まで働く程度なら、収入を減らしたくないと考えるのが普通だと思う。同じ仕事をするにも、全力で1時間で終わらせるのと、ゆとりを持って2時間かけて終わらせ、しかも後者の方が収入が多いとなったら、人は全力で1時間で仕事を終わらせるかという話である。

それに日本人の気質もある。1人仕事が終わったからといって、隣の同僚が忙しそうにしていたら、それでも「お先に!」と言って帰れるだろうか。数年前のこと、同僚が中国人の働き方について語ってくれたが、その時「中国人は自分の仕事が終わると、隣の人が忙しそうにしていても平気で帰る」とのことだった。日本人的には違和感を持つが、本来「仕事が終わったら余計な残業などしないで帰る」という考え方に立てば、そうするのが普通となる。

大前研一氏が日立に勤務していた頃、1人仕事をさっさと片付けて定時に帰っていて、変人扱いされたそうである(最も半端でない実力があったから周りも何も言えなかったらしい)。日本人はとかく集団行動を好むところがある。飲み会には参加しないと「付き合いが悪い」と思われてしまうし、そして肝心なことであるが、そういう部分が「評価」に響いてしまったりする。

自分はどうかと言うと、かつての銀行員時代は、「時間外」を随分と稼いでいた。それは「敢えて」である。もちろん、純粋に仕事が終わらないと言う時もあったが、そうでなくても「周りを見ながら」、「ペース配分をして」仕事をしていたものである。その方が角も立たないし、収入も増える。今の会社は、役員だから「時間外手当」などないし、みんな定時に帰るからそう言う問題はないが、銀行にいたら「働き方改革」を鼻で笑いながら同じように残業していただろう。

長時間労働で問題なのは、それが本人にとって苦痛になっている場合である。そうではない、時間外労働をしてもその分収入が増えるならその方がいいと言う人は、当然改革には反対だろう。政府としては、プレミアム・フライデー的な発想になるのは仕方ないとしても、これはやはり個人で対処すべき問題であるように思う。もちろん、対処できない人がいるから問題になっているのであるのは承知の上で、そう思うのである。

自分の仕事であれば、ある程度コントロールできるだろうし、コントロールできれば死ぬほど追いつめられることもないだろう。また、それなりに実力もつけば、社内でも自由がきくようになるだろう。「働き方改革」というのなら、単に残業を減らすのではなく、そういう方向へ持っていけるよう、またそんなやり方があることを身につけられるように教育なりなんなりする事が必要だと思う。

自分もかつては大変だったこともあるが、それがまた経験にもなっているし、近年は仕事をコントロールして適度に時間外手当を稼いできたし、今は今で、休みの日も会社にかかってきた電話を転送で受ける対応を自ら進んで引き受けたりしていて働いている。大変と言えば大変であるが、好きでやっているので仕事は楽しいと思う。世の中の「働き方改革」とは無縁である。

今の課題は、いずれ社会に出る我が子供達に、そうした働き方をうまく伝えたいということである。いかにしたら楽しく働く事ができるか。それをうまく伝えられるように、考えていきたいと思うのである・・・



【今週の読書】
 
   

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