2016年2月21日日曜日

ドナルド・トランプ氏と差別意識

全世界が注目する米大統領選挙。
候補者の動静が日本でも報じられているが、個人的に目が行くのは、不動産王ドナルド・トランプ氏である。
と言っても、次期大統領としてではなく、その「暴言」でである。

「ムスリムは入国禁止にすべきだ」と言ったり、「メキシコとの間に壁を築くべきだ」と言ったり、「不法移民1,100万人を強制送還させるべき」等々、なかなか過激である。
日本でこんな発言をしたら、間違いなく政治生命を断たれると思うのだが、アメリカでは支持率を伸ばしているという。

最近ではついにローマ法王が、「キリスト教徒ではない」と発言したという。
ローマ法王の発言は、これはこれでびっくりさせられた。
これに対し、トランプ氏は「宗教指導者がそういう発言をすべきではない」ともっともな反論をしており、屈する気配はないから、「現代版カノッサの屈辱」のような事態にはなりそうもない。
だが、ローマ法王まで巻き込むなんてと思わずにはいられない。

それにしても、「ムスリム入国拒否」発言をして、それが批判を浴びながらも支持率が伸びているということは、やはり共感している人がいるということに他ならない。
白人の間に根付く人種差別意識は、やはり今でもあるということを聞いたことがあるし、そうした意識によるものか、はたまたテロに対する恐怖からか、心の中では共感する人が多いのだろう。

日本だったら大バッシングであろうが、そうはならない。
それはもともとの国民気質の違いかもしれない。
事実、日本では最近不倫騒動で宮崎議員が議員辞職に追い込まれたが、アメリカは大統領が「不適切な関係」を結んでも、「ごめんなさい」で済んでしまう。
「政治家たるもの品行方正清廉潔白でなければならない」とする国民性と、「政治家の手腕とプライベートは別」と考える国民性の違いなのであろうか。

トランプ氏はまた、「ロシアのプーチン大統領とは仲良くできる」と発言しており、これも見方によっては「同じ白人同士だから」と取れなくもない。
やっぱり「白人至上主義」的な意識があるのかもしれない。
歴史を紐解けば、世界に破壊と混乱をもたらしてきたのは白人である。
テロも元をたどれば、冷戦時代の陣取り合戦と武器供与があるからであり、遠く大航海時代にまで遡っても、白人が大人しくしていたら、世界はきっともっと穏やかだったであろう。

近年、人権意識が高まり、人類は皆平等ということが当たり前になっている。
だが、心の中では密かにそれを快く思っていない人が多いのかもしれない。
我が日本人も、朝鮮人や中国人に対する嫌悪感がある人は多いだろう。
「人種差別」などという大げさなものではなくとも、ある種の「嫌悪」は誰にでもあるだろう。
自分はどうかと考えてみると、中国はともかく、韓国は確実に嫌いである。
ただそれは「韓国政府嫌い」というのが正確かもしれないが・・・

同じ日本人同士でも嫌いな奴はいるし、なんとなく人種差別とは違うと思っているが、そんなに大きな差ではないのかもしれない。
個人的にも嫌いなものは嫌いとはっきり言うと思うし、だから決して立派な立場に立つにはふさわしくはないし、まぁそんな心配もないだろう。
ただ、やっぱり公の場で、政府の代表となる地位を目指そうとする人物は、そんなことではいけないだろう。
自分の心に正直であったとしても、適切な態度を取るのが公人である。

他国の代表をどうのこうのとは言えないが、上辺だけでも「品行方正清廉潔白」を求められる環境の方が、良いように思う。
「英雄色を好む」のは事実かもしれないが、「能ある鷹」であることを求められる社会である方が良いと思うのである・・・




【今週の読書】
 
    

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