2025年7月10日木曜日

外国人と生きる

 身の回りに外国人が溢れている。コロナ禍が明けて以来、再びインバウンドの観光客をいたるところで見かける。観光客だけでなく、コンビニの店員さんや温泉に行けばホテルや旅館のスタッフや建設現場などでも外国人が珍しくなくなっている。人手不足もそれを後押ししているのだろう。以前は移民を認めるか認めないかの議論があったが、今やなし崩し的に外国人が国内に入ってきている。一方で外国人観光客が慣れない日本の道路事情の中で交通事故を起こして問題になっているが、問題は解決するだけの事であり、もはや外国人とどう共存していくかというステージなのではないかと感じている。そんな我が社も今年外国人を3人採用した。

 我々の業界もエンジニアの人手不足とは無縁ではない。我々中小企業ではなかなか高い給料は払えない。そうすると応募者は外国人の割合が増えてくる。もちろん、採用は誰でもいいというわけではないが、「仕方ないから外国人を採用する」というわけではなく、それなりに、否、下手な日本人より惹かれるものがあったりするのである。特にわざわざ外国(日本)に行って働こうという人は志も高く、努力もしている。元気のない日本人を採用するより、こうした外国人をむしろ採用したいという気にさせられる。

 最近、中途採用で人材紹介会社から多く紹介されるのはミャンマーの方。現在ミャンマーは軍事政権下で政情不安という事情もあって多数日本に来ているのだと思う。まず日本語という壁があり、それも話すだけではなく複雑な漢字を覚えるという努力をした上で、エンジニアとしてのスキルを磨いている。日々是勉強という姿が胸を打つ。日本語も所々で発音がおかしかったりするが、一生懸命話す姿にそんな細かい事を忘れさせられる。自分が英語を話す(たどたどしいレベルだが)場合を考えると、聞くのも話すのもかなりの集中力が必要である。それを1日やるのであるから大変だろう。

 今年採用した新卒の韓国人は、母国で軍務に就いてき義務をこなした後、お金を貯めて日本の専門学校に入学したという苦労人。その分、年は取っているが、新入社員研修に真面目に取り組む姿勢は、同期の新入社員の刺激になってくれればいいなと思う。一方で同期入社ながら3日で辞めた社員と比較すると、その差は歴然としている。日本はというより、「日本人は」大丈夫なのかと思わざるを得ない。もっとも日本人でも努力家はいる。当たり前だが日本人でも外国人でも頑張る者もいればそうでない者もいる。ただ、日本に来るのは頑張る者だという事なのだろう。

 少子高齢化で日本人は減っていく。「だから移民を受け入れよう」という考え方には今でも強く反対する。ただ、志を持って努力して日本にやってくる者を拒む気持ちはない。外国人観光客がたくさんやって来てたくさんお金を使ってくれるのは、日本経済のためにはいいように思う(ただ、「インバウンド価格」には閉口してしまうが)。そしてそれを外国人スタッフが支えてくれるというのも、日本にとってはいいことなのだろうと思う。努力して言葉を覚え、一生懸命働くのは、誰であろうと良い事である。

 一方、先日面接に来た日本人の方であるが、年齢的にはそろそろリーダー的役割を果たしてほしいところであるが、将来的にも一担当者のままがいいという意向。考え方は人それぞれであるからそういう考え方についてとやかく言うつもりはないが、人としてはともかく、ビジネスマンとしては魅力の欠片もない。辟易するような野心を持てとは言わないが、やはりある程度の野心というより向上心は持たないと、と思う。

 よく「金持ちは3代で潰れる」と言う。初代が苦労して成功して金持ちになるも、その息子はまだしも、3代目は生まれた時から金持ちとして生活するので苦労知らずで育ち、身を持ち崩したりして身代を潰すというのである。日本人も金持ちの3代目になっているのかもしれない。戦後の混乱期を苦労して経済大国にした祖父に対し、息子の代はまだその苦労と余録が残っているが、生まれた時から恵まれている3代目は、苦労知らずで育っているため、ハングリー精神に欠けている。

 我々はいつまでも経済大国として余裕をかましていられるのだろうかと思う。もしもそれを支えるのがハングリー精神あふれる外国人たちだったら、それは果たしていい事なのだろうか。ハングリー精神にあふれ、努力する外国人が増えることはいい事だと思う。我が社の若手社員も含めて、それに刺激を受けた3代目のボンボンが少しは目覚めてくれたら、と願わずにはいられない。我が社の若手社員には少しはハッパをかけてみようかと思うのである・・・


Stéphane CHADOURNEによるPixabayからの画像

【本日の読書】

 日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学 (講談社現代新書) - 小熊英二  霜月記 - 砂原浩太朗





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