2017年5月21日日曜日

国立にて

JR中央線の国立駅は、私が大学時代毎日通った街である。その後、銀行に入った後も3年間ほど国立にある支店に勤務していたことがあるので、これを含めると都合7年ほど通勤通学で通ったことになる。それはそれぞれ30年、20年ほど前のことである。今も大学のラグビーグラウンドには学生の試合を観に行ったり、シニアチームの練習に参加しに行ったりする時にちょくちょく訪れている。そんな本日も、グラウンドに行く前にちょっと時間があったので、ゆっくりと散歩してきたのである。

人生で初めて国立駅に降り立ったのは、かれこれ34年ほど前の受験の時である。北口の改札を出ると、まっすぐ伸びる大通りがあって、その沿道を歩いて行くと、やがて緑に覆われたキャンパスに到着する。そのアカデミックな雰囲気を一発で気に入ってしまい、この大学に入りたいと心から思ったし、将来はこの地に住みたいとすら思ったのを覚えている。

かつて駅前にあった本屋さんはもうないが、銀行と信用金庫の大きな店舗は健在である。30年前から残っている店も結構多い。フランス料理のレストランもそのまま。学生には敷居が高すぎて、その後も結局チャンスがなくて行ったことはない。その代わりなんども行った喫茶店が健在なのはうれしい限り。

銀行員時代に取引先だった店舗がある。もう社長さんもいい歳だろうなどと思ってみる。何気なく入って行けば、今もあの頃のように店番をしていたりするのだろうか、それとも代替わりしたのだろうかなどと思ってみる。入って行ってみて、仮に社長さんが今も店番をしていたとしても、私のことなどもう覚えていないだろうと思う。

キャンパス内は、さすがに大きな変化はない。講堂関係は昔のままだし、緑の中で悠然と佇む様は壮観である。それだけ見ていると、時間の流れを感じさせない。今でも30年前の感覚が蘇ってくる。私は、当時の大半の学生の風潮と異なり、授業にはかなり真面目に出ていた。授業とラグビーとで、一週間に7日間国立に通っていた。各教室内の雰囲気も味があって良かったと今でも思う。

街を歩いていて、そこかしこに思いが及ぶ。普段はすっかり忘れていても、そこに来ると思い出すことがある。それは学生時代のことであったり、銀行員時代のことであったりするが、そこに来た瞬間、「ああそう言えば」と思い出すのである。そう考えてみると、この街には私の思い出が埋まっていると言うこともできる。だからだろう、散歩していても飽きると言うことがない。それどころか、「あそこはどうなっているだろうか」などと次々に連鎖して行くから、全部行こうとしたらとてもではないが、「ちょっと散歩」と言うわけにはいかないだろう。

今日はほどほどに切り上げ、グラウンドへと向かった。5月とは思えない夏日の1日。人工芝の上でボールを追い、流す汗が心地良い。ここはいつも気軽に来ることができる。30年前は、土と雑草のグラウンドだったが、今では立派な人工芝。あの頃、こんなグラウンドでやりたかったなとつくづく思う。
高架式になり近代的になった国立駅から帰りの中央線に乗る。昔の味わいのある駅舎は残念ながらもうない。変わったようでいて変わらず、変わらないようでいて変わりゆく街。

次に行くのは、また来月の練習日。また少し早めに行き、今度は今日歩かなかったところを歩いてみようかと思ったのである・・・





【今週の読書】
 
   

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