2011年5月7日土曜日

ひどいニュース

 何ともひどいニュースを目にしてしまった。
焼肉屋でユッケを食べた6歳の男の子2人+大人2名が食中毒で亡くなったというニュースだ。同じ6歳の男の子の父親としては、見逃せないニュースだ。店で出されたユッケを食べたのが原因だと言うが、何を信じたらいいのかわからなくなる。特に一人の男の子は、お父さんの頼んだものを一口食べたのが良くなかったという。オーダーさせたのなら、多少なりとも親の監督責任もあろうかと思うが、「一口」くらいなら親として平気だと思うのは普通の感覚だ。親もたまったものではない。

 マスコミも相変わらずお得意の池に落ちた犬を叩くような報道ばかりだが、見れば見るほど肝心な事は伝わってこない。報道振りからすると、何やら焼肉用の肉をユッケとして生で出したと言う事らしいが、報道を見ていくと、どうやら生食用などというものはそもそも国内では流通していないらしい。そうすると巷に出回っているユッケは、どうなっているのだと新たな疑問も湧いてくる。

 牛角とか安楽亭は一斉にユッケの販売停止に踏み切った。まあ企業スタンスとしては当然だと思うが、それは全体の35%で、残りは引き続き提供しているようである。ならばそこのユッケはみんな焼肉用を転用しているという事になる。それなら問題は「焼肉えびす」だけの問題ではない。

 えびすの社長の記者会見やインタヴューを見たが、きちんと逃げずに応じているし、自らの非も認めている。その点では私も潔いなと感心した。東電の社長だったら入院しているところだ。被害者にも誠意をもって賠償したいと語っているし(まあ現実的にはこの会社は潰れるだろうから、限度はあるだろう)、悲痛な表情や詫びる姿勢は東電の社長には見られないし、両者を比較すればはるかに立派だ(まあ同じ経営者といっても東電のような大企業のスーパートップエリートと一緒にするなと言われるかもしれない・・・)。

 その「えびす」社長は、焼肉用を悪意的に生食提供したかのような質問には色をなして反論している。事実、その点に関しては他の焼肉店も同じなのだからその言い分は最もだ。マスコミはそれを「逆ギレ会見」と悪意的に報道しているが、向きになって否定する「態度」を問題視するのではなく、「内容」で判断すべきだ。その内容は極めてまともな反論だ。「逆ギレ」と偏向報道する前に、責めるべきところは責める、世の中の問題点は問題点として報じるべきだろう。「悪人の言う事はすべて悪である」という前提での報道には呆れるばかりだ。

 それに食中毒を起こす3日前の4月18日には日本テレビの「人生が変わる1分間の深イイ話」で取り上げられ全員一致の深イイ話として紹介されていた。これを見たら「行ってみよう」と思うだろう。おいしい食べ物にはすぐに食いつく我が家だったら、まず行くはずだ。このテレビを見て行った人がいるかもしれないし、それに責任があるとは思わないが、間接的に仕向けたと言われても仕方がない。

 肉を卸した業者もひどい。「生食用の肉は卸していない」とコメントしているらしいが、責任回避も甚だしい。せめて「当社の卸した肉でこのような事になり、誠に残念です」と言った上で、「当社は生で食べても安全な肉を卸している、他では何の問題も起きていない、当社としてもどうしてこのような事になったのか真相解明願いたい」くらい言えば、責任はないと間接的にもわかるというもの。「売った相手がどう使うか興味はないし、知ったこっちゃないから責任もない」と言っているように聞こえるし、それはつまりは「あなたの売る肉はきちんと焼かないと危なくて食べられないわけですね」と言うことなのかと思ってしまう。

 しかしながら、同じようにやっていても、他の業者は問題を起こしていないし、富山・福井・神奈川と離れた地域で、「えびす」のチェーン店が問題を起こしているわけだから、原因は絶対この会社の管理方法にあったわけである(社長も認めている)。それは責めるべきで、もうこのチェーンの存続は許されるべきではないだろう。
それにしてもここのユッケは、単価が280円だったらしい。量はわからないから同列に比較する事はできないが、一人前として「牛角」は590円、我が家ご用達の「牛蔵」は580円、「叙々苑」に至っては1,500円だ。際立つ安さの裏にはやっぱり、コスト削減の中での「管理コスト」削減があったのだろう。

 これからもユッケは食べても安全なのか、それとも「君子危うきに近寄らず」なのか。わからない消費者は取りあえず回避するしかない。それは一種の風評被害と言われるものの正体だが、それもしかたないだろう。マスコミもその視点からまともな報道をしてほしいものである・・・
    


      

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