2021年5月16日日曜日

イスラエルの空爆に思う

「心はイスラエルと共に」 中山防衛副大臣がツイート
2021年05月12日22時27分
イスラエルとパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスの衝突が激化していることに関し、中山泰秀防衛副大臣は12日、「最初にロケット弾を一般市民に向け撃ったのは誰だったのか? 私たちの心はイスラエルと共にあります」とツイッターに書き込んだ。日本政府は両者に自制を求める中立的な立場を取っており、議論を呼ぶ可能性がある。
時事通信社

************************************************************************************

 昔からパレスチナには興味があり、それに伴ってパレスチナ問題には関心がある。現在、またハマスとイスラエルの対立が武力行使を伴って起こっている。ハマスがイスラエルにロケット弾を打ち込み、イスラエルが軍事行動で応戦するというお馴染みの行動である。日本人としては中立的な立場で良いと思うし、それ以外にはないと思う。早期の解決が望まれるが、もう1000年も続いている争いだけに、解決も難しいのだろうと思う。

 ところで、今回気になったのは、冒頭のニュース。中山防衛副大臣のツイートを取り上げたものである。ツイートを読むと、中山防衛副大臣はイスラエル寄りの心情だということがわかる。これは私も同感でなんの問題もないと思うが、上記の記事を書いた記者はそうは思わないらしい。微妙なのは、「議論を呼ぶ可能性がある」という表現である。暗に中山防衛副大臣のツイートを批判しているのであるが、そうあからさまには書かず「可能性がある」とごまかしている。マスコミお得意の表現だと思う。

 日本政府は中立的な立場なのに、イスラエル寄りの発言をしていいのかという批判を込めている。しかし、中立の立場と個別の機会の考えは別だろう。いくら中立だからとは言え、ロケット弾攻撃に出たのはハマスであるなら、それは批判されるべきであろう。今回はエルサレムでパレスチナ人とイスラエル警察との衝突に端を発し、ハマスがイスラエルにロケット弾を打ち込み、イスラエルが報復の空爆に出たという図式である。軍事力ではイスラエルが圧倒しており、故にハマスの方の被害の方が大きい。したがって、イスラエル批判が起こりやすいのであろう。

 しかし、中立だから双方に何も言わないというのはおかしいだろう。中立とは、「どちらの肩も持たない」ということで、「何も言わない」ということではない。悪いと思えば悪いと「中立の立場」で批判すればいいだけのこと。パレスチナ人とイスラエル警察が衝突した件について批判するのはいいと思うが、ロケット弾を打ち込むのは明らかに「悪い」ことだろう。それを批判することは「中立の立場」を外れることでも、イスラエルの肩を持つことでもない。逆にイスラエルが先に空爆をしたなら、当然それを批判すべきである。

 また、中山防衛副大臣の発言や考えとは別に、そもそもハマスは「イスラム原理主義」を標榜し、イスラエルに対する武力闘争方針を掲げている組織である。そもそもそこをきちんと理解しないといけない。一方、同じパレスチナの代表であるファタハは「穏健派」である。イスラエルとは利害が対決しているが、その問題を武力で解決しようとはしていない。だからイスラエルもファタハが実効支配するヨルダン川西岸地区は空爆していない。あくまでもハマスが支配するガザ地区だけが対象である。

 ここのところをあまりよくわかっていなくて、イスラエルだけを批判する人たちがいるが、問題の本質を理解する必要があるだろう。なぜガザ地区が厳重な壁に覆われ、イスラエルから締め付けを受けているのかと言えば、それはハマスがロケット弾をはじめとしてイスラエル憎しの攻撃をするからである。それをやめて話し合いで解決する方向に舵を切れば、イスラエルもそうした締め付けを解くだろう。逆に締め付けを続けようとしても、国際社会的にも難しいだろう。

 パレスチナ問題は、あくまでも平和的に解決されるべきものだと思う。それにはまずハマスが攻撃姿勢を解くところから始まるだろう。穿った見方をするならば、ハマスはイスラエルの空爆を誘発し、多数の死傷者が出ることでイスラエルに対する国際世論の批判を呼び込もうとしているとも捉えられる。軍事力で勝てない以上、そうした国際世論を味方につけようという戦略はありうる。私がハマスの指導者であるなら、仲間に多数の死傷者が出るような行動(ロケット弾攻撃)は控えるだろう。

 なんでも「軍事行動=悪」と考える人たちは、表面的なところだけを見てイスラエルを批判する。批判する前にもう少し考えようよと言いたい。なぜならそうした「問題の本質」を理解していないと、当然ながら「問題の解決」には繋がらないからである。イスラエルの空爆を批判してパレスチナ問題が解決するのかと言えばそうではない。我々がパレスチナ問題の解決について何かできるわけではないが、少なくとも「イスラエルに対する批判が高まっています」というマスコミ報道に使われることを避けることはできると思う。

 マスコミも冒頭の記事を見るまでもなく、問題の本質を理解していない記者は多い。深く考えもせずに「イスラエルが悪い」と思ってしまう人が増えることを懸念する気持ちは強い。それこそハマスの「思う壺」だと思う。何も考えずに表面だけ見てわかったようなつもりになって批判するようなことは避けるべきである。

 ところでこの問題、私が生きている間に解決するのだろうかと思ってみる。解決が実現すれば、個人的にはベルリンの壁崩壊と同じ興奮を味わえるように思う。朝鮮半島の統一とパレスチナ問題の解決は、生きているうちに是非とも見てみたいニュースだと思うのである・・・



【今週の読書】
  



0 件のコメント:

コメントを投稿