先週末、久しぶりに歯医者に行った。夕食の最中、突然昔詰めた銀歯が取れてしまったためである。歯医者に行くのは久し振りで、たぶん30年近く前に行ったのが最後だと思う。個人的に医者自体あまり好きではないが、中でも歯医者はその最筆頭であり、最も行きたくない医者である。迷った末に、「詰めるだけなら大丈夫だろう」と思い切って予約を取ったのである。30年近く前と言ってもその時は親知らずを抜いた時で、虫歯の治療では小学生の時が最後である。今回取れたのもその時のもの。50年近く前の詰め物である。
予約したのは職場の近くの医者。それでもとネットで「名医」と検索して探すところが自分でもいじらしいと思う。ちなみに、親知らずを抜いた時は、最初の時が一番大変でこりごりしてやはり本屋で「名医」を探して行ったのである。そうしたら噂にたがわず簡単に抜いてくれて感動的であった。ただ、それは抜きやすい上の親知らずということもあったが、下の歯もスムーズに抜いてくれた。その時、虫歯も見つかったのだが、「痛くなったらくればいいよ」と言っていただいた。その考え方も「名医」に相応しいと思う。
さて今回であるが、受付で渡されたのがタブレット。そこにいろいろと情報を入力していく。情報を手軽に管理するという意味では現代的である。内部は白で統一されていて清潔感あふれている。完全予約制と謳っており、患者は少ない。必要以上に待たされることもなく、見込んでいた1時間もかからずに終わった。予約はかなり埋まっていたが、合理的なシステムだと思う。担当は若い女医さんで、若干の不安が頭をもたげる。よく観察すれば何人も医師がいる。「名医」は嘘だなと思うももう遅い。
ネットの情報も玉石混交であり、よく「◯◯ベスト10」などがある。地方に出張に行った時にお土産やラーメン屋などを検索する時に必ず出てくる。こういうサイトはアクセスを稼ぐ目的だったりするから気をつけないといけない。お土産やラーメン屋ならともかく、「名医」は何を持ってそう判断しているのかわからない。住所だけで掲載しているのかもしれない。1人医師の歯科医ならまだしも、何人も医師がいる医院では全員が名医というわけではないだろう。「痛くなったらくればいいよ」というような医師こそが名医だと個人的には思うが、そんな医師はいるのだろうか。
さて、若い女医さんだが、軽く診たあと、レントゲンを撮りましょうという。なんで歯に詰め物をするだけなのにと思うも、そこは指示に従う。そのデータに基づいて丁寧に説明してくれるのだが、気になった他の歯の状況も見てくれたようである。穿った見方をすればそこで悪い歯を見つけて治療を促すのかと言えなくもない。そして治療。なぜか麻酔をしてくれる。それも注射器ではなく、ハンドガンのようなタイプのもの。「痛くない」というのを徹底しているのだろうか。
今は銀ではなくプラスチックのようである。なぜプラスチックになったのか、そもそもなぜ銀だったのかは興味深いところである。医療も進歩しているのでプラスチックもいいのだろう。その場で簡単に終わったので加工のしやすさというところもあるのかもしれない。例によってドリルで削られたが、記憶に残っているような嫌な音をけたたましく立てるものではなく、静かであった。麻酔のせいか痛みもそれほどでもなく、なんとか治療も無事終わった。
終わってホッとしていると、女医さんに歯石が溜まっていますと告げられる。そういえば治療中、関係のないところをいじってくれていた。「酷かったところをとりあえず綺麗にした」ということであった。確かにそれも大事なのかもしれない。やってもいいかなと思ったが、虫歯の存在を指摘された。そして「次に治療しましょう」とのこと。それはあの名医が「痛くなったらくればいいよ」と言ってくれたところ。まだ痛くならないから放置しているのである。
医師として間違ってはいないが、正解ではないと思う。「論語と算盤」ではないが、「医師と算盤」なのかもしれない。丁寧でいい先生だとは思うが、まだ「名医」の域には達していないなと1人思う。個人的にはこれからもあの名医の先生の言葉に従おうと思うのである・・・
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| Rubén GonzálezによるPixabayからの画像 |

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