読書の効能はいたるところで語られているから、今さら改めて強調する事でもない。私自身これまで多くの本を読んできた。その中には読み直したいと思える本もあれば、読んだことすら忘れてしまった本もある。何で読書がいいのかと改めて考えてみると、たぶん、今の自分の思考の基礎になっているからと言えるだろう。会社で問題が起こった時、あるいは社長に何かを相談された時、その時の自分の対応、受け答えについて「何でここでそう考えるのか」と自分に問うと、その答えはたぶん「過去の読書の蓄積」としか言いようがない。読書によって積み重ねられてきたいろいろな考え方の集大成だろうと思うのである。
今、大学生の息子はあと2年すれば社会に出て行く。その時、是非とも読書の習慣をつけるようにアドバイスしたいと考えている。ただ、どんな本を読んだらいいのかと聞かれたら、何て答えるか。それはちょっと悩ましい。と言うのも、先にも述べた通り、自分でもこの本が良かったというのは特にない(まぁ、何冊かはあるにはある)。基本的に時代も違うし、まったく同じ本を読めばいいというものでもないだろう。これから出てくる良本もあるに違いない。時代を経ても古びない本もあるから、そういうのは勧めてもいいだろうと思う。アドバイスできたらいいと思うのは、1つは「本の選び方」かもしれない。
自分は極めて乱読である。ビジネス書から文学小説までその時々によってさまざまである。最近はもう学びつくしたというわけではないのだが、ビジネス系は減って哲学や自然科学系の趣味に走る事が多い。大まかに読書の分野を「ビジネス・仕事術系」・「思考・考え方系」・「お金・ライフスキル系」・「自己理解・キャリア系」と分けてみると、「仕事術」・「お金・ライフスキル系」・「自己理解・キャリア系」はもういいかなという気がする。「思考・考え方系」はこれから学ぶという部分もあるが、(自分の考え方が間違っていないか)確認という意味合いも強い。
これから社会に出るのであれば、すべてまんべんなく読むべきだろう。小説だからビジネスに関係ないという事はない。物語の中での登場人物の行動によって学ぶものもあるだろうからである。そういう意味で、手あたり次第本を読んできた感のある私であるが、数撃ちゃ当たる理論でいろいろ読む中でこれといった本からさまざまな知識、思考を少しずつ身に着けてきたとも言える。息子にもそんな読み方でいいと思うが、それはそもそも私が読書好きという面もあったところもある。そうでないと絞って読むとなるが、それでも読まないよりははるかに良い。
今は会社の採用担当(入社してからの新入社員研修期間は育成担当でもある)という立場を利用して、内定者には「入社までにビジネス書を1冊読破する」という義務を課している。それによってビジネス書に接する機会を強制的に設けている。本の購入費用は会社持ちとしている。大半の社員が初めてビジネス書を読むようだが、それによってビジネス書という存在に気づいて、できれば以後は自分で読んでほしいと思っての強制である。残念ながら、それ以後も読んでいるという社員は極めて少ないが、これはこれで続けていきたいと考えている。
息子にも同じ事を考えている。社会人になってからというよりも、学生のうちから少しでも触れていればと思い、1冊手渡した。入学直後という事もあって、モチベーションも高かったのだろう。素直に1冊持って行ったが、入学から時間が経ち、授業や部活やアルバイトなどが始まる中で、どうやら意欲も薄れてしまったようである。まぁ、それはそれで仕方ない。それでも「就活」なんて言葉が出てくるから、もう少ししたらもう一度勧めてみたいと思う。多少なりとも読んでいれば、面接での受け答えも違うのではないかと思ってみたりする。
自分もまだまだ学び続けたいと思うし、学び続けないといけないとも思う。当然、自分でも読み続けていこうと思うが、先にも述べた通り、これぞという分野が狭まっているのが事実。あまり興味のないまま読んでも為になるかという事もあるし、悩ましいところ。それでもいろいろな人が経験や学んだところを語ったものなどはまだまだ興味深い。いわゆる「思考・考え方系」であるが、これはアンテナを張っておきたいと思う。この分野は尽きる事がないと思う。いろいろな人がいろいろな考えを発信している。その人なりの経験から得られた考えであり、自分の狭い世界だけではなく、そういう人の経験も自分の肥しとなるのであれば何よりである。
わずか2,000円前後の金額でこういう考え方に触れられるのなら安いものである。父親として息子に何をしてやれるか、何を残してやれるかと考えた時に、金銭的な財産は残念ながら心もとない。その代わり、自分で生き抜いていくための知恵を得る方法についてはできると思う(本人が受け入れてくれればであるが)。自分が無駄に生きていなかった証としても、是非とも実践したいと思うのである・・・
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isaiah KimによるPixabayからの画像 |
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