2026年1月11日日曜日

論語雑感 子罕第九 (その20)

論語を読んで感じたこと。解釈ではなくあくまでも雑感
【原文】
子謂顏淵曰、惜乎、吾見其進也。未見其止也。
【読み下し】
顔淵がんえんいていわく、しいかな、われすすむをるなり。いまとどまるをざるなり。
【訳】
先師が顔淵のことをこういわれた。「惜しい人物だった。私は彼が進んでいるところは見たが、彼が止まっているところを見たことがなかったのだ」

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 「惜しい人物だった」という表現から、この時点で顔淵という人物は亡くなっていることがわかる。亡くなった人に対しては、日本人的には悪く言わないものであるが、中国の当時の状況はわからないので何とも言えない。ただ、孔子が褒めていることは間違いないことであり、また、たびたび論語にも登場するくらいなので、孔子に負けず劣らず立派な人物であったのだろう。「進んでいるところは見たが、止まっているところを見たことがない」という表現も何となくではあるが、よくわかる気がする。

 「進んでいる」と言われて連想するのは、「すぐに動く」ということ。仕事でも何か言われてすぐ動く人とそうでない人とがいる。我が社の役員会でも、とある役員は会議で話題になると、すぐに動いている。それは資料を集めたり調べたりすることだったり、ざっと計画を作って意見を求めてきたり、AIを駆使してパワポで資料を作ってみんなに提示したりである。特に社長からの意見に対しては敏感に反応している。私にはないスピード感で、最近では私も負けじと同じように動くようにしている。

 一方、これに対するのがなかなか動かない人である。何か指示されると期限を確認してくる。そして期限ギリギリになって提出してくる。もちろん、手元の仕事もあるだろうから、期限を睨みながら手元の仕事との優先度合いを確認しつつ、期限までにやるのは悪いことではない。しかし、それほど忙しくはないであろうと思われる人物が、できる限り先延ばししているのが見え見えというケースがある。おそらく、あくせく仕事をしたくはないのであろう。なるべく先送りしようとしているように思われる。

 最近がっかりしたことの一つは、我が社でも新規事業としてある分野の入札を進めていこうとしていることに対して、現場の責任者から今期スタートした中期計画(3ヵ年計画)において、2年目の後半からスタートするとしていることであった。なぜ、2年目の後半なのか。それは特に理由もなく、単なる先送りである。おそらく1年目は何もしないのであろう。2年目の後半スタートだったとしても、1年目のスタートに何をやり、それから何か体制整備や人員トレーニングなどの準備があるというのならわかるが、そういうものは何もない。単なる先送りである。

 また、今期から主要重点先として数社の取引先をピックアップした。当社としても今期力を入れて売り上げを伸ばしていこうという先である。しかし、期初の10月の初めに出てきた計画は、11月に挨拶に行くというもの。挨拶ならなぜ10月に行かないのかと問うと、「手ぶらで行くわけにも行かないので計画を立てている」という。それはそれでもっともらしく聞こえるが、私であればまず挨拶に行き、そこで相手の抱えている問題や課題を聞き出し、次の訪問では当社がそれに対して何ができるかを提案するだろう。

 私は財務・人事採用担当であり、なかなか現場のことには口出し難いのであるが、それでも考え方がおかしいと伝えている。しかしながら、結局、挨拶は延ばし延ばしになり、ようやく初回が終わったのは12月で、先によっては今月新年の挨拶を兼ねていくということになっている。何ともはやのスピード感である。孔子の言い方に倣えば、「止まっている」と言えると思う。ニデックの「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」ではないが、前へ進むには「すぐやる」精神は重要である。

 実際の顔淵がどんな人物だったのかは知る由もないが、我が社にいたらこんな働き方をしていたのではないかと想像できるところはある。私もまだまだこの会社で存在感を示さないといけない。私も「止まっているところは見たことがない」と言われるようにしたいと改めて思うのである・・・


Kateřina HartlováによるPixabayからの画像


【今週の読書】

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